アラスカ活劇


フリーズ 地獄の相続人(1996年/監督:ニルズ・ゴーブ)

クリストファー・ランバート

1899年、インディアンの血をひくハドソン(クリストファー・ランバート)は、“ノース・スター”と呼ばれるインディアンの聖域を、金の採掘による破壊から守っている。悪徳鉱業家マクレノン(ジェームズ・カーン)は、その土地を手に入れようと、ハドソンの命を狙う。

極寒の大地アラスカで繰り広げられる壮絶なアクション……じゃないよ。主人公は逃げ回ってばかりいて、カッコ悪いし、敵役のカーンは、目ン玉むくだけのクサイ芝居だしで、作品としては二流です。

だけど、時代的にも場所的にも『スポイラース』なんかと同じアラスカ西部劇に分類できるんで紹介だけしておきます。

 

スポイラース(1942年/監督:レイ・エンライト)

1900年のアラスカを舞台にしたアラスカ活劇。

ゴールド・ラッシュにわくノームの町は、一攫千金を夢見る荒くれ男たちで溢れていた。殺人や鉱山横領は日常茶飯事で、鉱山監督官のマクナマラ(ランドルフ・スコット)はロイ(ジョン・ウェイン)とデキシー(ハリー・ケリー)が所有するミダス鉱山を狙っていた。酒場のマダムのチェリー(マルレーネ・ディートリッヒ)は、ロイが好きだったが、ロイが判事の姪・ヘレン(マーガレット・リンゼイ)と仲良くしているので、心ならずも別れてしまう。マクナマラは判事と共謀してミダス鉱山を差し押さえるために、ロイが邪魔でヘレンをロイに近づけたのだった。マクナマラの悪計は成功するかのように見えたが……

原作はレックス・ビーチで5度映画化されていますが、これは4度目の作品。ラストのロイとマクナマラの壮絶な殴り合いが見せ場なのですが、ジョン・ウェインとランドルフ・スコットの殴り合いは、半分以上がスタンドインによるものでしたね。つなぎのカットも多くて今イチ迫力に欠けます。

それでも、全体的にはユーモアを散りばめた嬉しくなるようなシーンが至る所にあって満足していますよ。冒頭でホテルが満室で男が帰りかけたら、射たれて階段を転がり落ちてきた男を見てホテルの支配人が一室空いたといって男を呼び止めるシーンには笑いましたね。

それから、ディートリッヒに一途な想いを寄せているサロンの支配人が、サイレントの名優リチャード・バーセルメスだったのにはビックリしました。

 

 

アラスカ魂(1960年/監督:ヘンリー・ハサウェイ)

サム(ジョン・ウェイン)と相棒のジョージ(スチュアート・グレンジャー)、ジョージの弟ビリー(フェビアン)の三人は、ゴールドラッシュのアラスカで金鉱を見つける。採鉱機を買いにサムがシアトルまで行くついでに、ジョージの婚約者を連れて帰ることになるが、婚約者はすでに他の男と結婚していた。サムはサロンでミシェール(キャプシーヌ)と仲良くなり、彼女を連れてアラスカに帰る。悪党のフランキー(アーニー・コバックス)は、町で昔馴染みのミシェールを見つけ、サムの金鉱を横取りしようと持ちかけるが彼女に断られる。フランキーは悪計をめぐらして……

これはアクション映画というより喜劇として愉しむ作品ですね。悪党のアーニー・コバックスは『スポイラース』のランドルフ・スコットと違って喜劇人ですからね。肝心のアクションシーンは、完全にスラップスティック・コメディー(パイ投げ)のノリです。ウェインとグレンジャーがからかわれるのを見たフェビアンが怒って殴りあいが始まるサロンの格闘シーンと後半の泥まみれの格闘シーンには大笑いしました。小屋にとじこもったキャプシーヌとグレンジャーにやきもきするウェインの演技も完全にコメディーですね。

ジョニー・ホートンが歌う主題歌がナレーションになっているも洒落ているし、フェビアンが歌う劇中歌「If You Knew」もムードがあってよろしいですよ。

好きだなァ、こんな西部劇!

 

黄金の荒野(1979年/監督:ピーター・カーター)

1897年、ジャック・ロンドン(ジェフ・イースト)は、相棒のスローパーと一攫千金を夢見てアラスカの町スキャグウェイにやって来る。ジャックがソリ犬の調教師にムチ打たれている犬を救ったことから、持主のスミス(ロッド・スタイガー)に恨みをかうことになる。スミスは町のボスで、ジャックとスローパーは犬を連れて町を脱出する。二人の目指す目的地はクロンダイク平原……

「野生の呼び声」や「白い牙」などで世界的に有名な作家ジャック・ロンドンの若き日の冒険物語。全体的に今イチ迫力不足で、クライマックスの犬橇レースでも手に汗握るようなシーンはありません。

ロッド・スタイガーの憎々しい悪役ぶりがだけが目立つ作品で〜す。

 

 

トップ    シネマ    目次