長谷川一夫の銭形平次


銭形平次捕物控・幽霊大名(1954年・大映/監督:弘津三男)

江戸の町を騒がす辻斬りや婦女誘拐事件を捜査していた平次(長谷川一夫)は、大名の金森家が絡んでいることをつきとめる。当主の金森万之助(市川雷蔵)は目が悪く病床にあったが、万之助の幽霊が悪業を働いているという噂が流れていた。幽霊の正体は、他家の養子となっていた双子の弟・千之助(市川雷蔵の二役)で、金森家の跡目を狙っていた。お静(井川邦子)が千之助一味に誘拐され……

平次が大名の御家騒動を解決する物語。悪党たちが不必要な行動をして悪事がバレていくのは、この手の捕物帖の悪しき常道です。ミステリーらしいところは、相続人の証明となる家宝の茶入れの隠し場所を平次が推理する暗号解きぐらいかな。

市川雷蔵の映画出演2作目で、まだ試行錯誤している段階ですね。

 

銭形平次捕物控・人肌蜘蛛(1956年・大映/監督:森一生)

連続殺人が起こり、被害者の懐中から東海道五十三次の浮世絵が発見される。笹野新三郎(黒川弥太郎)から佃島から新吉(夏目俊二)が脱走したことを知らされた平次は3年前の材木買占め事件を思い出す。殺された二人とつながりのある上総屋と尾張屋(東野英治郎)がその事件に関係していたからだ。その頃、新吉の弟・新次郎(市川雷蔵)は上総屋の跡取り娘お絹(近藤美惠子)と恋仲だった。しかし、お絹が行方不明となり嫌疑が新次郎にかかり……

小国英雄の脚本は、複雑な人間関係をうまく捌いており、ご都合主義のところはあっても、最後までストーリーが破綻しません。事件の怪奇性と江戸の日常生活がうまく調和しており、悪くない出来ばえとなっています。

平次ファミリーのキャスティング(八五郎:堺駿二、お静:阿井美千子、お品:山本富士子、笹野新三郎:黒川弥太郎)もこれがベストじゃないかなァ。

 

銭形平次捕物控・雪女の足跡(1958年・大映/監督:加戸敏)

八五郎(船越英二)とお品(香川京子)が市中警戒をしていたところへ、江戸城から3万両を奪った花蝙蝠と名乗る強盗団が両替商を襲う。八五郎は居合わせた町民に協力を求め、袋小路に追い込んで一味を全滅させる。八五郎とお品が祝い酒に酔って帰る夜道で、ならず者たちに襲われるが、旅から帰ってきた平次(長谷川一夫)に救われる。しかし、協力した6人の男女は次々に殺されていき……

内容がメチャクチャですね。江戸城の御金蔵を破ったほどの強盗団が町方に追われて逃げまくり、捕り方の鉄砲隊に全滅するんですよ。あまりに手際が良いので、鉄砲隊(奉行所に鉄砲隊があるわけないだろう)を指揮した与力(田崎潤)が一味の黒幕かと思ったくらいです。

協力した町民が次々殺されていくのですが、その動機がわからないんですよね。犯人は強盗団のボスなんですが、復讐のためなのか、社会不安を起こすためなのか、余計なことをしたばかりに、平次に御用となるわけです。雪女に化けて、最初の殺人が行なわれるのですが、これが意味不明。一味は全滅したと思われているのだから、何もせずほとぼりをさましたら、御金蔵から奪った3万両を持ってトンズラできたのにねェ。

連続したアクションで演出的には悪くないのですが、プロットから破綻しているのでズッコケます。

ところで、ガラッ八が船越英二なので、これまでのガラッ八とは異質です。演技でカバーしていますが、知的で二枚目みたいなところが随所に垣間見えま〜す。

 

銭形平次捕物控・美人蜘蛛(1960年・大映/監督:三隅研次)

伊能忠敬の日本地図が盗まれ、外国に売り渡される危険があった。平次(長谷川一夫)と八五郎(三木のり平)は、犯人はお伊勢講にまぎれていると睨み、彼らを追って旅に出る。しかし、旅の先々でお伊勢講のメンバーが次々に殺されて行く。小田原の目明し・お芳(水谷良重)が犯人探索に乗り出すが……

トリックは単純ですが一応ミステリーになっており、悪党がムダに動いてボロを出さないので是としましょう。

三木のり平のガラッ八は、とぼけた味わいがあって、よかったですよ。

 

 

銭形平次捕物控・夜のえんま帳(1961年・大映/監督:渡辺邦男)

豪商の養子・秀太郎(北原義郎)は芸者の小染(中村玉緒)と恋仲だったが、そのことを知った母親に勘当される。秀太郎が祈願すれば願い事が叶うというえんま寺に相談すると、母親の死を依頼する証文に無理やり署名させられてしまう。母親が殺され、犯人として上州無宿の和助(林成年)が三ノ輪の万七(谷啓)に捕らえられるが、平次(長谷川一夫)は現場の状況から犯人は別にいると睨む。江戸では豪商が不審な死をとげる事件が続いており、平次は背後に犯罪組織があると考える。秀太郎のことを小染に相談された平次の女房お静(宇治みさ子)が、小染と一緒にえんま寺に行くと、小染に横恋慕している水落参之助(田崎潤)を頭領としている不良旗本たちが現われ捕まってしまう。和助の証言や、秀太郎を見張らせていた八五郎(ハナ肇)の報告から、平次はえんま寺に乗り込むが……

何もしなけりゃ見つからないのに、平次の命を狙って墓穴を掘るという、悪党たちの独り相撲ね。長谷川一夫の動きも悪く、殺陣は今イチです。作品的には褒められたものではありませ〜ん。

ただ、ハナ肇や谷啓以外にも、ハナ肇の弟分の下っ引き役で“無責任男”でブレークする前の植木等が、谷啓の子分役で犬塚弘が出演しており、お笑いを提供しています。ハナ肇が太鼓を叩きまくるシーンもあり、本業を発揮していますよ。

 

 

 

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