コメディ西部劇


『悪党谷の二人』(1969年/監督:バート・ケネディ)

西部の町で保安官として長年暮らしてきたフラッグ(ロバート・ミッチャム)は、グランディ老人(ダグラス・V/フォーリー)からマッケイ(ジョージ・ケネディ)を見たと知らされる。マッケイは昔、フラッグが逮捕しながら逃がしてしまった無法者だった。フラッグはマッケイの狙いが町の銀行に送られてくる金だと考え、町長(マーティン・バルサム)に自警団を作るように要請するが、町長はフラッグの妄想として逆に引退させてしまう。フラッグはマッケイを捕えに一味のキャンプに乗り込むが、逆にに捕まってしまう。一味のボスはワコ(デビッド・キャラダイン)という若い無法者で、マッケイはロートル・ギャングとして仲間から馬鹿にされていた。マッケイがフラッグを見張ることになり、一味は銀行襲撃に向かうが……

町に自動車が走り回る近代化の波が押し寄せる西部を舞台に、古き西部男二人が悪党相手に繰り広げるコメディ西部劇。バート・ケネディはこの手のコメディ西部劇を得意としているので手馴れたものです。手馴れ過ぎて目新しさがないのが欠点ですけどね。

それにしても、西部劇スターが高齢化してきた1960年代後半から初老のガンマンが活躍する西部劇が増えてきましたねェ。

 

『空かける強盗団』(1969年/監督:ハイ・アヴァーバック)

強盗たちが奪ってきた金を預かって、その上前をはねる悪徳銀行家キンケイド(ジョン・アンダーソン)の銀行を狙って、神父に化けたバイアス(ゼロ・モステル)とライダ(キム・ノヴァク)がキンケイドが市長をしている町にやって来るんですな。その銀行は警備員が24時間入口を見張り、ガトリング銃二挺によって守られているので、バイアス一味はトンネルを掘って銀行に侵入する計画をたてます。ところが同じことを考えていたのが、キンケイドの不正の証拠を掴むために財務省の秘密捜査員フォン(マコ)とテキサスレンジャーのベン(クリント・ウォーカー)で、洗濯屋に化けてトンネル堀り。さらに、メキシコの山賊ペドロ(エイキム・タミロフ)とキンケイドを信用していない無法者のスレイド(クロード・エイキンズ)も銀行の金を狙っていて、ドタバタと展開していきます。

穴を掘る音を歌と踊りで誤魔化すゼロ・モステルはミュージカル・スターの持ち味が出ているし、仲間を平気で射ち殺して、いつも俺は悪役だとボヤくクロード・エイキンズはとぼけた味わいがあるし、悠々と無法者を倒すクリント・ウォーカーは西部男の味が出ています。裸で馬に乗って、銀行の警備員を悩殺するキム・ノヴァクも妖艶女優の見せ場を作っています。他にもサム・ジャッフェとかエリシャ・クック・ジュニアとかいった味のある傍役が本領を発揮していて、良質のコメディ西部劇に仕上がっていま〜す。

 

『トラブル・バスターズ』(1933年/監督:リュウ・コリンズ)

意地悪な雑貨店にイタズラしようとしたテックス(ジャック・ホキシー)は、雑貨店の姪マリアンに嫌われてしまう。マリアンを好きになったしまったテックスは、マリアンを追ってプラサービルの町へ。途中でトラブル・バスターズと名乗る二人組と意気投合したテックスだったが……

コメディタッチの上映時間が1時間に満たないB西部劇です。主演のジャック・ホキシーはサイレント喜劇俳優のようなメーキャップで、演技もサイレント風です。

ギャグに見るべきところはありません。縛られた主人公の縄を解いたり、笑い顔を見せたりと、馬の演技が一番面白かったですね。

 

 

『荒野は最高!』(1985年/監督:フランク・Q・ドブス)

イカサマ賭博がばれて一文無しとなったベン(ロイ・クラーク)とブーガ(メル・ティルス)は、ショットガンを担保にお金を借りようと銀行にやってくるが強盗に間違われてしまう。保安官(パール・アイブス)に追われ、逃げる先々でも強盗に間違われ、追っ手がどんどん増えてくるが、パンチョ・ビラの残党に襲撃されている雑貨店に逃げ込んだことから……

主演のロイ・クラークとメル・ティルスはカントリー歌手らしいのですが、私は知りませんでした。騎兵隊の隊長役で出演していたグレン・キャンベルなら知ってましたけどね。彼ら以外にも、パール・アイブスやシェブ・ウーリーは役者としてだけでなく、歌手としてもよく知られています。そんな関係からか、カントリーソングにのって物語が進行していきます。良いのはこれだけで、ギャグはお寒いし、アクションも歯切れが悪いで〜す。

題名の『荒野は最高!』は、タモリがホストをしていたテレビ番組『今夜は最高!』をもじったものですね。ビデオ発売当時、人気のあったバラエティ番組で私もよく観ていました。パイオニアが番組提供しており、レーザーディスクがビデオより画像がよいことで評判になっていました。DVDの時代になって、あっというまに廃れましたねェ。

 

『フリスコ・キッド』(1979年/監督:ロバート・アルドリッチ)

ラビのアブラム(ジーン・ワイルダー)は神学校卒業生88人中87番目の成績だったが、ポーランドからサンフランシスコへ派遣されることになる。1850年のカリフォルニアはゴールドラッシュ、フィラデルフィアに着いたアブラムはサンフランシスコ行きの船に乗ることができず、陸路西部へ旅立つが3人の無法者に荒野に放りだされる。そんな彼を助けたのがトミー(ハリソン・フォード)だった。サンフランシスコを目指して二人の珍道中が始まる。

大笑いするようなギャグもなく、ほくそ笑むようなブラックジョークもなく、中途半端なコメディ西部劇です。ユダヤ教について知っていれば、宗教に関するギャグがあったのかも知れませんが、私には判断できませ〜ん。劇場未公開作品をビデオ化したのは、『スター・ウォーズ』以前のハリソン・フォードが出演していたからでしょうね。

男魂をゆさぶるようなアクション映画では素晴らしい仕事をするアルドリッチ監督も、コメディ作品では勝手が違ったかな。

 

 

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