大映末期の時代劇


『秘録おんな寺』(1969年・大映/監督:田中徳三)

役人に追われたお春(安田道代)は芳照寺という尼寺に逃げ込む。芳照寺は将軍家の従兄妹・紫月院(しめぎしがこ)が門跡を務めており、町方はおろか寺社奉行さえも手が出せぬ寺だった。お春は尼となって寺に住み込むが、性格異常の紫月院の乱行は目にあまるものだった……

お春の目的は男狂いの紫月院に殺された兄の仇を討つためなんですね。地位をめぐっての中原早苗と長谷川待子の派閥争いを利用して証拠の日誌を手に入れるサスペンスより、尼になるための全裸の入門儀式、天井吊りやの水責め拷問、同性愛といったエログロが売りの映画で〜す。

 

『蜘蛛の湯女』(1971年・大映/監督:太田昭和)

商家の若旦那・友次郎と駆落ちの途中でゴロツキの寅蔵(地井武男)に乱暴されたお新(川崎あかね)は死にきれず、末広湯の湯女になる。そこには、父親を刺青男に殺されたお蝶(横山リエ)、仇討ち捜しのお滝(水上竜子)、由比正雪の残党を匿っているおふく(相川圭子)、自分で湯女風呂をはじめようと金を貯めているお杉(田中真理)といった、色々な事情を抱えた女が働いていた。お新が働いていることも知らず、寅蔵が末広湯にきたことから……

男たちとのHシーンとか、行水風呂の女(笠原玲子)たちとの取っ組み合いシーンとか、要はエログロが売りの映画です。当時の大映は新東宝末期と同じ状態ですね。

 

『秘録長崎おんな牢』(1971年・ダイニチ/監督:太田昭和)

火つけ・主殺しの罪に問われて長崎おんな牢に入れられたおみつ(川崎あかね)は、牢役人(近藤宏)に毎日拷問を受けていた。おみつは身に覚えがないため決して自白せずに耐えていたが、不眠の責めにより夢うつつのまま罪を認めてしまう。処刑が決まったある日、牢名主のお仙(奈良あけみ)が新入りのおつね(山口火奈子)に殺されそうになる。おつねは、お仙の情夫・亥之(上野山功一)が邪魔になったお仙の口を封じるために差し向けた殺し屋だったのだ。そして、亥之こそがおみつを冤罪にした真犯人だった。お仙とおみつは復讐のために、牢屋仲間(真山知子・原良子・横山リエ・荒砂ゆき)の協力で脱獄するが……

製作日数・俳優の質と量・セットとロケ・衣装、どれをとっても安くあげています。内容は極めて御都合主義で、結局ウリは女囚たちへの拷問シーンと、牢内でのリンチシーンです。安くても何処かに光るものがあればよいのですが、演出も平凡。三流週刊誌的な興味本位の企画で、映画会社としての情熱が感じられません。大映末期の状態が、この映画に表れていると思いま〜す。

 

『おんな牢秘図』(1970年・ダイニチ/監督:国原俊明)

島送りされるお清(北島マヤ)にお仙(桜井浩子)と一緒に奉行所から左遷された諫早三郎太(田村正和)が女だけが流刑される島にやってくる。奉行所与力と島役人は女衒と結託して、赦免になる女囚を死亡したことにして人買いに売って暴利を得ていた。ある日、島にペストが発生し……

絶海の孤島を舞台に、情欲にまみれ、リンチに憂さを晴らす女囚と島役人の対決を描いたキワモノ時代劇です。経営危機の大映と日活の提携作品です。新東宝がそうであったように、潰れかけてる映画会社は安い無名女優とスタッフを使ってエロ・グロ路線に走るのが相場のようですね。

画像は荒砂ゆき。ヒロインを苛める女囚が荒砂ゆきね。肌も露に乱闘シーンを見せてくれて、男性サービスに務めていました。

 

 

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