必殺仕掛人


『必殺仕掛人』(1973年・松竹/監督:渡辺祐介)

音羽屋半右衛門(山村聡)から頼まれた仕事を終えた仕掛人・藤枝梅安(田宮二郎)は、血の臭いを消すために仲間の徳次郎と湯治に行く。徳次郎の昔の盗賊仲間・孫八(川地民雄)が殺人現場を目撃しており、二人の後をつけた孫八は、湯治場で徳次郎を殺す。それから、しばらくたって、同心・峯山又十郎(室田日出男)の殺し依頼がくる。峯山はユスリとタカリで私腹を肥やしており、西村左内(高橋幸治)が峯山に近づく。峯山殺しを依頼したのは、香具師の平十で、平十の裏家業を知って脅していたのだ。博打と売春の裏家業を仕切っていたのが、孫八と平十の妾・お吉(野際陽子)で、彼らは峯山と結託して平十の身代を狙っていた。平十が死に、一家を相続した息子の為吉(森次晃嗣)は裏家業をやめようとするが、孫八とお吉は子分を引き連れて裏家業を独立させる。平十の弟分・聖天の大五郎(三津田健)が峯山に加えて、孫八とお吉の殺しを音羽屋に依頼するが……

テレビの人気を受けた映画化第1作目。キャストを替えたのは何故ですかね。田宮二郎はクールなところはあっても、人生の重みといったものが感じられないんですよ。高橋幸治も悪くはないのですが、少し重いかなァ。悪役の室田日出男、野際陽子、三津田健は各々味のある演技を見せてくれて申し分ありませ〜ん。

 

必殺仕掛人・梅安蟻地獄』(1973年・松竹/監督:渡辺祐介)

ある夜、梅安(緒形拳)は医師の山崎宗伯(小池朝雄)に間違われて小杉十五郎(林与一)に斬りつけられる。十五郎は薄幸な女郎・お仲(津田京子)の話を聞いて宗伯を狙っていたのだ。一方、梅安は音羽屋半右衛門(山村聡)から伊豆屋長五郎(佐藤慶)殺しを依頼される。長五郎は紀州藩の弱みにつけこんで商売を大きくしてきたのだ。長五郎と宗伯は兄弟で、さらなる要求を紀州藩にしたことから……

第2作目はテレビのメンバーに変更になりました。ただ、林与一の役は原作にない西村左内から原作通りの小杉十五郎に変更になっています。私としてはキャラ的には西村左内の方が好きなんですけどね。

テレビで親しんでいるせいもあるかも知れませんが、梅安は緒形拳が一番ですね。凄みの中に、ユーモアもあって、さらに人生の哀歓を滲ませているところは最高!

それと、悪党の用心棒役で沼田曜一が出演しており、彼らしい存在感を見せていました。

 

必殺仕掛人・春雪仕掛針』(1974年・松竹/監督:貞永方久)

盗賊・猿塚のお千代(岩下志麻)の一味が商家を襲って一家皆殺しにする。お千代を育てた小兵衛(花沢徳衛)は、お千代を立ち直らすために子分の勝四郎(夏八木勲)と定六(地井武男)を殺すように音羽屋半右衛門(山村聡)に依頼する。梅安(緒形拳)が彼らを探ると、お千代が全て指図していたことがわかり……

子分たちを殺すところが見せ場なのですが、銭湯で地井武男を殺すところは、市川雷蔵の『ある殺し屋の鍵』に似たようなシーンがありましたね。

梅安を殺しにきた浪人(竜崎勝)と小杉十五郎(林与一)の立回りは意外と迫力がありました。竜崎勝がいい味を出していましたよ。ラストの梅安がお千代を殺すシーンも、雪の中に遠くで読経が聞こえ、情感があってよかったで〜す。

 

 

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