水戸黄門
『水戸黄門 来国次の巻』(1934年・日活/監督:荒井良平) 『水戸黄門 密書の巻』(1935年・日活/監督:荒井良平) 『水戸黄門 血刃の巻』(1935年・日活/監督:荒井良平) 大河内伝次郎にとって、サイレント映画最後の作品。マツダ映画所蔵で、弁士は澤登翠。 “来国次の巻”は、柳沢家への士官のため、旅を行く黄門さん(大河内伝次郎)の愛刀・来国次を盗んだ六衛と千世の兄妹に、六衛の竹馬の友・立花甚左衛門(大河内伝次郎の二役)と、千世に横恋慕する柳沢の家来・兼重靱負が絡んで起こる大騒動。 “密書の巻”は、将軍継承に絡む陰謀を記した密書を偶然手に入れた六衛が、仕官のために訪れた柳沢家で殺され、黄門さんが密書の謎を探る物語。 “血刃の巻”は、六衛の仇を捜す甚左衛門と、柳沢吉保の陰謀を粉砕する黄門さんの活躍譚。 |
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大仏次郎の新聞小説を山中貞雄が脚色していますが、新聞小説と同時進行していたせいか、物語の流れをそのまま踏襲した感じで、映画的なメリハリのきいた展開となっていません。 部分的には、山中貞雄らしいコミカルなシーンがあるのですが、全体のストーリーの流れとかけ離れたものになっていました。高勢実乗が出てくるシーンなんか抜群に可笑しいのですが、そこだけが浮いているんですよ。 |
水戸黄門(1978年・東映/監督:山内鉄也)
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加賀百万石のお家騒動を、黄門一行(黄門、助さん、格さん、風車の弥七、うっかり八兵衛)が乗り込み解決します。 人気テレビドラマの映画化ですが、テレビの延長のような粗っぽい作り方でガッカリ。 ラストで悪家老の陰謀を暴いた竹脇無我に城侍全員が斬りかかってチャンバラとなるのですが、悪家老が乱心者として竹脇無我を斬るように命令した段階で黄門さんが現われないとおかしいですよ。城侍の中には、家老の家来だけでなく、日和見主義者もいるわけで、チャンバラだけのために無駄な血を流す必要はな〜い。悪家老の悪事に荷担した侍だけが、事破れて斬りかかるのでなければ……。 竹脇無我が斬りまくった後で、ノコノコ現われて藩主に説教するなんてマヌケもマヌケ。おまけに竹脇無我が斬った(峰打ちじゃなかったよ)城侍の死体が消えています。画面の小さなテレビなら許されるだろうが、映画の演出としてはいい加減すぎます。 立回りも、三船敏郎を除いては、上体だけをつかった軽いもの(いわゆるテレビ・チャンバラ)で、チャンバラの面白みにも欠けていました。 |
水戸黄門海を渡る(1961年・大映/監督:渡辺邦男)
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松前藩の御用船が仙台で襲われ、蝦夷地の測量図が奪われる。ちょうど居合わせた水戸黄門一行は、松前藩で事件が起きていることを察知し、蝦夷に乗り込む。 蝦夷ではアイヌの反乱が起こっており、後ろで糸をひく人物がいることを黄門さんがつきとめる。 長谷川一夫が水戸黄門とシャクシャインの二役。助さんが市川雷蔵で、格さんが勝新太郎という豪華キャストによる娯楽大作です。 アイヌの描き方が西部劇のインディアンと同じなのにはマイッタ。アイヌが馬にまたがり、松前藩の荷駄隊を襲うシーンは西部劇ですよ。狼煙をあげたり、焚き火の周りでの踊りも、アイヌでなくインディアン。1961年当時のアイヌに対する、意識の低さを認識しました。 |
水戸黄門漫遊記(1958年・大映/監督:三隅研次)
家督を譲って隠居した水戸光圀(中村雁治郎)は、助さん・格さんを供に連れ、諸国漫遊の旅に出る。二本松藩で悪代官を懲らしめるが、これは家老が二本松藩に頼んだ光圀を喜ばす芝居だった。それを知った光圀は、置手紙を残し、ひとりで旅に立つ。途中で捨吉(勝新太郎)、大助(島田竜三)、お絹(中村玉緒)と知り合い…… 小国英雄の脚本はよくできており、悪代官の一件が芝居だったところは、パロディを意図したのではないでしょうが、テレビで『水戸黄門』に慣れ親しんだ私としては、大笑いしました。 中村雁治郎の演技がバツグンで、余計に可笑しさがこみあげましたよ。捨吉・大助の二人が偽の助さん・格さんになるのは読み筋とおりでしたが、最後に一捻りしていたのは嬉しかったですね。 変わり種の“水戸黄門”として特筆できま〜す。 |
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水戸黄門漫遊記・飛龍の剣(1951年・大映/監督:安達伸生)
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重い荷車をひく姉妹を助けた水戸黄門(大河内伝次郎)は、姉妹の父親が尾州藩士だったことを知る。奸臣・安藤内匠(月形龍之介)の悪政を領主に諫言して、藩を追われたのだった。助さん(坂東好太郎)と格さん(阿部九州男)を伴って、黄門さまは尾張に乗り込むが…… 戦後最初の黄門映画です。米俵に座った黄門さんが百姓の老婆に殴られたり、印籠で正体をあかしたりと、お馴染みの水戸黄門のお話です。新味はありませんが、それなりに楽しめました。 ところで、長谷川裕見子の姉役で出ていた鳩えり子という女優さん、私は初めて見ました。それから、坂東好太郎のクレジットが本間謙太郎となっていたけど、いつから坂東好太郎になったのだろう? |
地獄太鼓(1953年・大映/監督:荒井良平)
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西山荘で隠居していた水戸黄門(大河内伝次郎)は、命を狙われたことから、助さん(黒川弥太郎)・格さん(南条新太郎)を供に連れ江戸に出てくる。百姓の隠居として長屋に移り住んだ黄門は、柳原甲斐守(市川小太夫)の側妾になるのを嫌がって屋敷を逃げ出したお鈴(伏見和子)を匿う。お鈴は、黄門と同じ長屋に住む飴屋の辰三(鶴田六郎)と恋仲で、お鈴から甲斐守が自分の子どもを将軍の世継にしようとしている陰謀を教えられ…… 黄門さんが将軍側用人の悪計を粉砕し、天下の悪法“生類憐れみの令”を撤回させる物語。 鉄砲で射たれた黄門さんが負傷もせず(理由不明)に江戸に現れたり、都合よく事件の核心を握る女が黄門さんのいる長屋へ逃げ込んだりと、勝手に事件が解決していきます。 適当に作られたシナリオで適当に演出したような作品で〜す。 |