野口博志監督によって6本製作されたサスペンス・アクション。といっても、原作が川内康範なので謎といっても“月光仮面”レベルで、放っておけばいいのに悪党が主人公にチョッカイをかけて、自然と事件が解決するというパターンです。 女性にやたらともてる銀座の快男児という主人公設定は“旗本退屈男”と同じです。美人の助手がいて、主人公を慕う小料理屋の女将がいて、主人公の捜査を手伝う情報屋と新聞記者がいる。そして、主人公の活躍に助けられる警察という構図は、時代劇を現代に置き換えただけですね。 このシリーズの欠点は、悪党も警察もマヌケすぎるので、主人公の行動までがバカに見えることです。小林旭のキャラだけで成り立っているシリーズで、普通に見たら評価に値しないものですが、逆に最低映画の魅力に溢れているといえるかもしれません。 |
『銀座旋風児』(1959年・日活/監督:野口博志)
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装飾デザイナーの二階堂卓也(小林旭)は、王徳宝(芦田伸介)という謎の中国人がキャバレー建設資金として大粒のダイヤを売りさばいているのを知る。情報屋の政(宍戸錠)の報せで香港に発った王徳宝の後を追った卓也は、王を殺そうとしている村越明子(浅丘ルリ子)と知りあう。明子の父は戦時中、特務機関員として国民から接収した宝石・貴金属を軍資金として売りさばいていたが、戦後、残ったそれらを国民に返そうとしていた。しかし、同じ特務機関員だった堀田・中村・木原・丸山よって無実の罪を着せられて殺され、宝石は彼らに奪われたのだ。彼らのリーダーである堀田こそ王徳宝だった。明子を連れて日本に戻った卓也は、東都タイムスに村越の名で彼らへの挑戦状を載せる。卓也の友人、東タイの荒木記者(青山恭二)は、木原の娘(稲垣美穂子)の恋人だったことから、木原に事情を聞こうとするが、木原は何者かに殺され…… 内容的にはアレレというシーンが続く凡作でが、現実離れしたアキラの能天気なアクションに面白味を感じるんですね。どこから見ても男には見えない浅丘ルリ子の変装や、アキラの意味のない変装には目が点になりますよ。 |
『銀座旋風児・黒幕は誰だ』(1959年・日活/監督:野口博志)
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殺し屋から狙われている印刷工を救った二階堂卓也(小林旭)は、背後に日本開拓公団汚職に絡む偽札事件があることを掴む。そのことで東タイの荒木記者(青山恭二)が日本開拓公団理事長の腰林(安部徹)に取材に行くと、腰林はあわてて料亭“きらく”に向かう。腰林が相談したのは、新日本生産促進連盟の黒川(植村謙二郎)だった。腰林の後をつけていた情報屋の政(宍戸錠)は、黒川配下の殺し屋・高見沢(内田良平)に狙われ…… 印刷工が悪党たちの秘密の地下室で偽札を作らされているところは、時代劇の雰囲気です。逃げ出した印刷工を殺そうとする殺し屋との戦いが、主人公登場の発端になるのは東映時代劇に似ています。そういえば、第1作の『銀座旋風児』では、“銀座退屈男”と言っていましたね。 爆発した料亭から脱出した主人公が、いつのまにか悪党たちの先回りをして待受けているイイカゲンさが、このシリーズの特色で〜す。 それにしても、内田良平の殺し屋が存在感あって良し。 |
『銀座旋風児・目撃者は彼奴だ』(1960年・日活/監督:野口博志)
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庶民経済会の前会長の殺人事件を追っていた刑事が殺される。小山田というサラリーマンが立ち去る自動車のナンバーを目撃したが、志村(内田良平)というヤクザに脅される。通りかかった二階堂卓也(小林旭)が小山田を救うが、恋人(白木マリ)の命が狙われているため、話そうとしない。事件の捜査を開始した卓也は、自動車から狙撃されるが危うく難を逃れる。情報屋の秀(小沢昭一)が狙撃者(二本柳寛)の顔を見ており…… 小沢昭一が宍戸錠に代わって、政の弟の秀役で登場。旋風児が捜査協力する相手も前2作の斎土検事(菅井一郎)から中村捜査課長(浜村純)に変更になりました。 ライフルから発射された拳銃弾がトリックになっているのですが、そんなことを警察が分からないなんてバカな…… |
『銀座旋風児・嵐が俺を呼んでいる』(1961年・日活/監督:野口博志)
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東タイの荒木記者(青山恭二)の友人、東京税関の木田が殺される。荒木は木田が殺される少し前に木田から恋人(松尾嘉代)の妹が誘拐されたことを告げられていた。木田の恋人は木田の上司(浜村純)の娘で、上司は税関で不正行為をしているようだった。二階堂卓也(小林旭)と情報屋の政(近藤宏)が事件捜査に乗り出すが…… 近藤宏が三代目・政で、周囲も三代目といっていたので、宍戸錠の政とは違う人物なのでしょう。中村捜査課長は山内明に代わっており、前作よりも重要な位置付けとなっていますがマヌケぶりも前作以上です。 タイトルで流れる主題歌の歌詞は、第1作の劇半ばでの小料理屋のお春(南風夕子)とのシーンで流れたものと同じですが、レコードには収録されていないんですよ。 ♪〜雨が呼んでるマイトガイ 俺の昔を聞かれても、誰も知らない、忘れたぜ テクニカラーの人生を、今日も明日も突っ走る 俺は、俺は、俺は銀座の旋風児〜 ちなみに、お春さんが登場するのは、この作品まで。 |
『銀座無頼帖・帰ってきた旋風児』(1962年・日活/監督:野口博志)
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二階堂卓也帰国新作発表会の舞台上で卓也の代役が射殺される。卓也(小林旭)は、香港の売春組織から3人の日本女性を助けだしたために、組織から命を狙われていたのだ。そして、卓也が助けだした3人は横浜港に着く寸前に、組織にさらわれ、その中の一人が殺される。日本に帰ってきた卓也は、情報屋の政(藤村有弘)と荒木(青山恭二)に連絡して…… この作品から助手は浅丘ルリ子の明子から松原智恵子の京子に変更になります。政は藤村有弘で、中村捜査課長は芦田伸介に代わっています。 旋風児が意味不明な変装を色々見せるのは、“七つの顔の男”ですね。もったいぶって謎解きをしなくても、黒幕の正体はすぐに判りますよォ。 |
『銀座無頼帖・風が呼んでる旋風児』(1963年・日活/監督:野口博志)
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7億円の密輸ダイヤを手に入れた須田(深江章喜)は、田沼医師(清水将夫)に仲間の秋山の太腿にダイヤを縫いこませて海外に持ち出そうとする。そして、口封じのために田沼医師の子どもを誘拐する。しかし、秋山は中村捜査課長(梅野泰靖)によって逮捕され、護送の途中で国際密輸組織のアンダーソン一味に殺され宝石を奪われる。ひょんなことから田沼医師の子ども誘拐を知った二階堂卓也と情報屋の政(高品格)が宝石捜索に乗り出すが…… 第5作まで登場していた青山恭二の荒木記者は出てきません。中村捜査課長は梅野泰靖に、政は高品格に代わりました。 高品格は、前2作で存在感のある悪党ぶり(特に『嵐が俺を呼んでいる』のモンキーのケンは秀逸)を見せていただけに、メチャクチャ違和感がありましたねェ。 |