(THE MISSING)
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(スタッフ) 監 督:ロン・ハワード 原 作:トーマス・イードソン(The Last Ride) 脚 本:ケン・カウフマン 撮 影:サルヴァトーレ・トチノ 音 楽:ジェームズ・ホーナー (キャスト) サム・ジョーンズ:トミー・リー・ジョーンズ マギー・ギルクソン:ケイト・ブランシェット リリー・ギルクソン:エヴァン・レイチェル・ウッド ドット・ギルクソン:ジェンナ・ボイド ベーシュ・チャイディン:エリック・シュウェイグ ブレイク・ボールドウィン:アーロン・エッカート カイタ:ジェイ・タヴァレ 騎兵隊中尉:ヴァル・キルマー (2004年5月11日 日比谷スカラ座) |
(解 説) 1985年、ニューメキシコの荒野で二人の娘(リリーとドット)と暮らすマギーは、恋人ブレイクに助けられながら治療師として平和な日々を送っていました。そこへ、20年前に妻子を捨て、インデイアンと生きることを選んで、音信不通だった父サムが現れます。父を憎んでいるマギーは、一晩泊めただけで、けんもほろろに父を追い返します。 しかし、町へ祭り見物に行ったリリーが、騎兵隊を脱走したアパッチの斥候に襲われ、ブレイクは殺されリリーは誘拐されます。保安官も騎兵隊も頼りにならず、マギーはしぶしぶ父親に協力を仰ぎ、どうしても付いて行くという幼いドットを連れてリリーの救出に向かいます…… この作品は、西部劇を題材として家族の絆を描いているんですよ。そして、その絆の変化は、移りゆく風景の変化によって表されています。 最初は、どんより曇った冬の寒々とした風景から始ります。マギーには恋人がいますが、彼と結婚する意志はありません。過去の結婚生活において幻滅を感じているからです。リリーは母に意に反して、西部の生活を嫌って都会の暮らしに憧れています。そこへ、困窮の中で母と弟を亡くし、苦労の根源であった父が現れます。家族の絆なんて、どこにもないんですよ。 しかし、一緒に追跡をしているうちに、序々に心のつながりができてきます。風景も、少しづつ陽がさし始めてきます。 ドットの靴が小さくて足に合わないので、サムは自分のインディアン妻が履いていたというモカシンをドットに与えますが、マギーはそれを拒否します。すると、嵐が襲ってきます。靴が岩の間に挟まって動けなくなり、ドットは鉄砲水で溺れそうになるんですよ。実にわかりやすい展開です。でもって、ラストはもちろん青空で〜す。 |
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ケイト・ブランシェットとトミー・リー・ジョーンズは、持ち味が出ていて是し。 『メン・イン・ブッラク2』のトミー・リー・ジョーンズは団しん也でしたが、この作品では三国連太郎ですね。 この二人より、存在感があったのが、ジェンナ・ボイドとエリック・シュウェイグ。アメリカの子役って、なんであんなに巧いんだろう。 ジェンナ・ボイドが演じたドット役は、マギーの心を見透かす存在として位置付けられているんですね。マギーが入っていたトイレの扉が、ドットによって開けられるオープニングシーンに、それが象徴されています。 エリック・シュウェイグは悪の象徴。この作品では、インディアンを同情的に描いていません。単なる野蛮人としても描いていません。パワーあふれる悪党として描いています。呪術師としての超自然的パワーは私としては気に入らないのですが、アクション場面における凶暴性には満足で〜す。 |
1985年といえば、ジェロニモが最後の反抗をしていた時期で、エリック・シュウェイグ演ずるベーシュは、西部劇全盛時に恐怖の対象として描かれていたジェロニモを再現しているようです。現在ではジェロニモの史実が周知になっているので、単純にジェロニモを持ってくることはできないですからねェ。 主人公のサムは、騎兵隊の斥候として同朋を追跡するアパッチを軽蔑しており、「お前も、いずれフロリダに送られるぞ」とアパッチ斥候に言ったセリフが印象に残ります。実際、ジャエロニモが捕えられた後、アパッチは全員フロリダに送られることになるのですから。 考証面では、アパッチの会話(英語字幕が出る)に、チリカワ・アパッチの言語が使われていたのが嬉しかったです。西部劇をよく知っているロン・ハワードの、期待通りの作品でした。 |