800 BULLETS

(2002年/監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア)

2003年6月7日 六本木ヴァージンシネマ(バスク映画祭)


 新しい家に引っ越してきた坊ヤが、ママの荷物からカウボーイ姿をしたパパとお爺ちゃんの写真を見つける。パパは坊ヤが赤ん坊だった頃に事故で死んでおり、お爺ちゃんとも逢ったことがなかった。お婆ちゃんから、お爺ちゃんが映画スターということを聞いた坊ヤは、お爺ちゃんが働いているアルメリアのウエスタン村へ一人でやってくる。

 ウエスタン村は寂れており、たまに訪れる観光客を相手にショーをしているだけだった。突然やってきた坊ヤに、ショーのリーダーであるお爺ちゃんはビックリするけど、パパと自分が一流のスタントマンだったことを自慢し、坊ヤを喜ばす。

 ウエスタン村で働いている人たちは貧しいけど明るく、坊ヤはウエスタン村をすっかり気に入ってしまう。

 坊ヤがスキーの合宿にきていないことを知ったママは、坊ヤを連れ戻しにウエスタン村にやって来る。ママは不動産会社のヤリ手の社長で、パパの死に関係しているお爺ちゃんとウエスタン村を憎んでいた。ママはリゾート施設を建設するために、ウエスタン村を買収する。

 お爺ちゃんはウエスタン村を守るために、実弾800発を用意するが……

 

 タイトル画像がマカロニそのもの。それだけで監督がマカロニ好きであることがわかります。

 それと、この作品はマカロニだけでなく、アルメリアでロケした西部劇全てに対してのオマージュあふれる作品です。モデルとなったウエスタン村は、マカロニのロケ地として有名で、多くの作品に出てきます。『荒野のドラゴン』で笑いの対象となった、西部の町並みのすぐ裏にメキシコの村が出てきた時は嬉しくなりましたよ。

 埃だらけの展示室に、『荒野の用心棒』でクリント・イーストウッドが着ていたポンチョだとか、『エル・シド』でチャールトン・ヘストンが使った鞍とか、『ドクトル・ジバコ』でオマー・シャリフとジュリー・クリスティーが乗った橇とかがあったのにはニンマリ。映画好きには、こたえられません。

 お爺ちゃんが、新しく採用したショーのエキストラに、『100挺のライフル』で、ラクウェル・ウェルチに誘われてアレしたことを自慢するホラ話には笑えたなァ。

 笑いの中に、癒えることのない心の傷跡からくる悲劇をサラリと描ききっており、長く記憶に残る作品になりそうです。

 

 

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