(The Assassanation of Jesse James by the Coward Robert Ford)
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(スタッフ) 監督:アンドリュー・ドミニク 原作:ロン・ハンセン 脚本:アンドリュー・ドミニク 撮影:ロジャー・ディーキンズ 音楽:ニック・ケイブ、ウォーレン・エリス (キャスト) ジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット) ボブ・フォード(ケイシー・アフレック) フランク・ジェームズ(サム・シェパード) チャーリー・フォード(サム・ロックウェル) ディック・リディル(ポール・シュナイダー) ウッド・ハイト(ジェレミー・レナー) エド・ミラー(ギャレット・ディラハント) ジー・ジェームズ(メアリー=ルイーズ・パーカー) ドロシー(スーイー・デシャネル) (2008年1月18日 春日部ユナイテッド・シネマ) |
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ジェームズ・ギャング団の最後の仕事となった1881年9月の列車強盗から、この映画は始まります。ジェームズ・ギャング団は1876年のノースフィールドの銀行襲撃に失敗してヤンガー兄弟を初めとする信頼できる仲間を失い、この時は寄せ集めの状態でした。ジェシーの兄フランクはそんな仲間に一抹の危惧を抱いているんですね。 ボブ・フォードが自分を売り込むためにフランクに近づきますが、ボブの本質を見抜いているかのように一言のもとに退けます。しかし、ジェシーはボブを受け入れます。ジェシーのブラッド・ピットもボブのケイシー・アフレックも掴みの演技としては上々ですが、このシークエンスでは仲間と距離を置いて黙って佇むフランクのサム・シェパードが最高です。 この映画はリアリズムに徹した心理ドラマとなっていて、西部劇特有の目をみはるガン・アクションもなければ、雄大な風景も出てきません。舞台劇の世界ですね。 列車強盗に成功するものの収穫は少なく、仲間たちは居候的逃亡生活を送ることになります。ちなみに、西部劇研究家のデニス・マクローリンによると、ジェームズ・ギャング団が15年間の強盗稼業で稼いだ金は総額30万ドルに過ぎないそうです。これをみんなで分けると、一人当り(特に子分)はたいした金額ではなかったと思われます。ジェシーに1万ドルの賞金がかかり、その賞金を狙う仲間が現れても不思議でない状況だったんですね。 |
サム・シェパード |
ジェシーは世話係用にボブを指名して一緒に暮らします。ボブはジェシーに強い憧れを抱いていたので有頂天になり、ジェシーと行動を共にする中でジェシーになりきろうとします。しかし、ジェシーは、そんなボブを可愛いと思う反面バカにしているんですね。ボブもジェシーと暮らしていて、ジェシーの本や新聞に書かれている姿と現実の姿にギャップを感じはじめます。この辺はシェークスピア劇ですよ。 やがてジェシーは裏切り者として仲間だったエド・ミラーを殺し、仲間たちに不信の眼を向けていきます。仲間のディック・リディルとウッド・ハイトが争いとなり、ボブはリディルを助けるためにハイトを殺します。ウッド・ハイトはジェシーに信頼されていたので、ボブと兄のチャーリーはジェシーに殺されるのではないかと恐怖を抱くんですね。次の仕事のために、ボブはチャーリーと共にジェシーに呼び寄せられます。しかし、計画は一向にたてられず、リディルが自首したことが新聞に掲載され、ボブはジェシー暗殺を…… 結局この映画は、アメリカ人なら誰でも知っている“ジェシー・ジェームズの伝説”を背景にして成り立っています。それを知らないと、ボブ・フォードの悲劇も、ブラッド・ピットのジェシー演技もピンとこないかもしれません。私は西部劇ファンとして楽しむことができました(それでも上映時間160分は長い)が、はっきり言って一般ウケしない映画だと思いま〜す。 |
ボブ・フォードの写真 |