その1・いままで受けた相談の中で一番腰が砕けたあほらしいものってナニ?

……あー、まぁ、いろいろありますが、なんというか、こちらにとってどんなにあほらしい質問であっても、質問者の方は真剣に悩んでいらっしゃるワケですね。だから厳密に言うと「あほらしい質問」というのはないわけですよ。
ただ、いろんな人がいるもんだなぁ……と思わせてくれる質問なら山のようにありますけどね。
いままででかなり濃い部類に入る質問としては、中年の女性の方で「わたくしには天候を自在に操る能力があります。この力を世のため人のために活用したいと思い、事務所を設立することにしました。ついては、どちらの方角に事務所を開けば良いでしょうか」と聞いてこられた方がいらっしゃいましたが……。
ただ、天候を自在に操るというのは、自然界の法則に反することですからねぇ……と言うと「わたくしは自然界の法則を乱すようなことはいたしません。ただ、お子さんの結婚式や遠足の際に、天気を良くしてくれと頼まれた時にだけ、その力を用いるのです。そうすれば、台風の真最中でも、その日だけは好天になり、皆様に大変感謝されております。どなたにも迷惑はかけておりません」とぷんすか怒ってお帰りになりました。
僕はただ、雨を待っているお百姓さんにとってはいい迷惑だということを言いたかったのですが……。
あと、その事務所をどういうネーミングにするのかということにも、とっても興味が持てますね。

あと「彼の仕事運を占ってください」という、若い女性のお客さまがいらっしゃいました。
なんでも最近、彼の仕事がうまくいっていないそうなのです。
「彼の仕事がうまくいってないというのは本当なんでしょうか。初めは月二十万という契約だったのに、最近は仕事がうまくいってないからって十万そこそこしか渡してくれないんですけど。奥さんにばれたんでしょうか」
これもかなり腰が砕けますね。どんな契約を交わしたのかは、世間に疎い僕にはわかりかねますけど。

その他、腰が抜ける、というケースもあります。
赤ん坊を連れてこられたお客さまがいたんですけど、鑑定の途中で赤ん坊がむずかりだしたんですね。
お客さまは少しも慌てず騒がず、おもむろに服を脱ぎ、乳をべろりとむき出しにすると、赤ちゃんにお乳をやりながら、何ごともないように「はいはい、それで」とこちらの話しに戻りました。母は強し、とはよく言ったものですね。

その2・どの占いが一番信憑性があるの?

これはケースバイケースというか、質問の内容によって違ってくるでしょう。
やっぱ、それぞれの占い方には、得意分野、不得意分野というものがありますから。
もちろんひとつの手法で、ありとあらゆる質問に対し、なんでも答えられますっていう人もいます。
一般的には、手相や人相は、持って生まれた才能や性格、一生に関わる問題を、かなり長期的なスパンで占うことは出来ますが、逆に「いま現在交際している人と結婚にまでいたるかどうか、相手は自分のことをどう思っているか」ということに関し、手相だけで占うというのは難しいでしょう。
また、西洋占星術や四柱推命など、星の運行によって占う手法では、性格、持って生まれた運の強弱、良い時期・悪い時期など、長期的な予測から短期的な事柄まで、かなり多くのことを調べることは可能です。
ただ、人間の気持ち、精神状態を見るには、ちょっと難があるかもしれません。
調べようと思えば調べられますが、少なくとも僕にとっては面倒です。
タロットや易といった偶然性に頼る占いは、「いま、この瞬間の質問者の精神状態」を見るには一番簡単だろうと思います。また、恋愛問題などで相手の気持ちなどもかなり具体的に知ることが出来ます。
ただ、タロットは「いまのままの状態で進んだ場合の可能性として起こってくるであろう未来」を調べる占いだと僕は思っています。
たとえば、占星術では「恋愛の大チャンス!」の時期であっても、つい一週間ほど前に別れた彼氏のことを引きずっていては、そのチャンスにも気付かないでしょう。新しい出合いはあっても、本人がその気になれないと、結果的には何もないのと同じことです。
そういう時は、やはりカードでは新しい出合いの暗示は出ないことが多いようです。
しかしそこで、質問者が「そーか、じゃあこうしよう」といままでとまったく違った方向に一歩を踏み出せば、一週間も経たぬ間に、前とは違う結果になることもあり得ます。
また、質問が具体的であればあるほど、答えも具体的に出てくれます。ですから僕個人としては、「特にこれといったことはないけど、なんとなくこれから先のコト」という質問は、タロットでは恐くて占えません。(仕事ですから占ってますけど、何を言っていいのかわからなくてしんどいです)

というわけで、僕はおおまかなアウトラインを占星術で調べておいて、具体的な質問に関してはタロットで的を絞って占う、というように、お互いの占法のいいとこどりをしながら占っています。
ちなみに、占星術でみるとすっげー悲惨な時期であるにも関わらず、カードではとてもいい結果が出ることもよくありますが、僕はそういう場合、上記の理由から、タロットで出た結果の方を重要視するようにしています。

この件に関しては、それぞれの占い師さんがそれぞれの得意分野を持っていますので、僕にとっては「この占いでこんなことわかんないよ」ということも、見事に占う人もいます。手相だけで、いま交際している相手の気持ちを見ることの出来る占い師さんだっているかもしれません。
ですからここに書いたことは、あくまで一般論というか、僕の考えとしては、ということです。

その3・どうやって占い師になったのか教えやがれ

はぁ、それはですね。もちろん小さい頃に神様から“あなたに不思議な力を授けましょう、その力を使って人を救い、導きなさい”というお告げを受けたわけではありません
僕は小さい頃は、占いっていうものには全く興味がなかったんですね。ま、恐い話なんかは好きでしたけど。
ただ、とあるマンガでタロット・カードというものを見て、綺麗なカードだなぁと思って一個買ってみたんです。
でも当時はタロットっていうのはめちゃめちゃマイナーだったので、使い方なんかまったくわかりませんでした。ただ絵を見て喜んでたんです。
それがある時、たまたまタロットの本を見つけ、世界のいろんなタロットの写真なんかを見ているうちに、ふつふつと興味が湧いてきた、で、その本を書いた占い師さんがたまたま関西の方だったので、電話でいろんなことを教えてもらったり、その先生が個人輸入しているカードを買ったりし始めたんです。中学生の頃ですから、いまでいうと完璧にオタクはいってましたね。
そんなこんなでその先生にお世話になっているうちに、今度ファッションビルの一角に占いの店を出すのだが、タロットの出来る占い師が少ない、手伝ってくれないかと誘われまして。で、高校3年生、受験まであと数カ月という無謀な時期にプロとしてデビューしたんですな、これが。
大学に入ってからはお店は辞め、学校の近所の喫茶店で占いをやらせてもらっていました。けっこう盛況でしたよ。
ただ、もちろんそれで食っていこうなんてことは考えてもいませんでしたし、夢にも思っていませんでし……、いや、ちょっとくらいは思ってましたけど、どーせ無理だと思ってましたね。
しかし。堅気のサラリーマンになる人生設計ががらがらと崩れ、卒業後はふたたびその先生のお店のスタッフになり、そうこうしているうちに独立してフリーになり、今に至る、ってとこですな。人生って偶然の積み重ねですよ、ホント。

その4・深刻な相談を受けたあと、どうやって気分転換しますか

……深刻な相談……言われて気がついたのですが、僕は深刻な相談を受けたことがありません
というか、他人の問題を深刻にとらえたことがないです。
もちろん「会社が潰れるかもしれない」とか「離婚するにあたって子どもは自分が引き取りたい、でも経済的にそれは無理っぽい」とか「持病のせいで仕事が出来ないのだけれど」とか「スカトロにハマってしまい、このままエスカレートしていくとどうなるかコワイ」といった質問は深刻なのかもしれませんが、その状況を変えることは出来ないし、そもそも他人の状況を「変えてあげる」とか、悩んでいる人を「救ってあげる」とかいうこと自体、僕ははなっから考えていません
僕にとっては、中学生の女の子の、「好きな男の子とうまくいくかどうか」という悩みも、40代の社長さんの「会社が潰れたら一家離散だ」という悩みもおんなじだったのだな、と改めて気付かされました。
なんかすっごい冷たい人間のように思われるかもしれませんが、僕は占い師なので、占いに出た結果やアドバイスを伝えることしか出来ませんし、それ以上のことをするつもりもないです。
もちろん昔は「こんな相談、僕なんかには荷が重すぎる〜!!!」と感じたこともあったように思います。ま、はるか昔のことですが。
でも、今ではどんな深刻な相談も「ふんふん、それで?」みたいな感じで占ってます。例えるなら、外科のお医者さんが、手術の後、平気で焼肉を食べられるのと同じような神経が身についてしまったといったところでしょうか。
……というワケで、気分転換も必要ないワケですな。るる〜♪
あ、でもやっぱり人の悩みに何らかの答えを出したりアドバイスをしたりする関係上、ストレスは溜まります。
そんな時はやっぱお散歩ですかね。家にこもってないで、いい空気を吸うことでしょうか。あと、お風呂に入るのもいいですな。ちなみに僕は昼風呂が大好きです。お風呂からあがってもまだ外は明るい、くーーっ、たまらんですなぁってそんなこと関係ないですね。
その他、洗濯をしたり掃除をしたりして、身の回りを清潔にしたり整理したりすると気分が変わっていいですよ。

その5・占いをするうえで気をつけていることがあったら教えろ

いろいろありますが、まずは「質問者の言うことを鵜呑みにしない」ということですかね。
「え、なんで!!?」と思われるかもしれませんが、たいていの質問者は、自分の視点で感じたことをこちらに伝えるわけです。恋愛で言えば「彼が最近冷たくなったみたい。以前程マメに電話をくれないし、そのうえ、この間は他の女(男)と歩いてた」なんてその最たる物です。それを鵜呑みにしてしまうと冷静な占いは出来ません。そこにあるのは「彼からの電話が少なくなった」「この間、他の女(男)と歩いてた」という事実だけで、質問者がそれを「冷たくなったみたい」と判断しているだけです。
もしかすると、単に彼は忙しくなったのかもしれないし、電話料金を滞納して電話を止められているのかもしれないわけです。他の女なり男なりと歩くことだって当然あるでしょう。ない方がこわいくらいです。
ただ、なかにはそういうことを訴え、相手がいかに不実で、自分がいかにそんな彼に尽くしているかを認めてもらいたくてやってくる人もいます。1時間のうち、50分を彼に対する愚痴に費やす種類のお客さんですね。
以前は「こんなのでお金もらっていいのかな、ほとんど占いらしいことしてないのに」と思っていましたが、最近になって、そういう人は「答え」や「アドバイス」に対してお金を払うのではなく、自分の話を聞いてもらうことに対してお金を払っているのだとわかりました。それによってお客さんがスッキリするのなら、それでいいじゃん、と今では思っています。
ま、この問題に関しては他にもいろいろありますので、おいおい書いていきたいと思いますが、とりあえずいま思いついたことを書いてみました。

その6・鑑定する時、どんなカッコしてんの? セーラー服?

ははぁ、そういえばこれもよく聞かれますなぁ。皆さん占い師っていうのはすごいカッコで占うもんだと思ってらっしゃるみたいで……。
僕の場合、普段の鑑定の時は、普通のカッコですな。ダンガリーのシャツだとかセーターだとか……。体を締め付けないカッコが好きです。リラックス出来るので。拘束衣なんてもってのほかです。ゆったりと深呼吸の出来るようなスタイルが理想的なんじゃないでしょうか。
ただ、イベントなんかに出演する時は、さすがにちょっとはおしゃれなおにいさんします。
といっても、ちょっと凝ったデザインのシャツだとかスーツだとかを着る程度ですけど。
ラジオ・シティのゲイナイトではそんな感じでしたね、みんなおしゃれして来てましたから、負けてらんないでしょ。
ファイナルの時はタキシードでやりましたけど、店員さんと間違われました……。
ちなみにセーラー服は、通学の時以外は着ません

その7・占いの料金ってどうしてピンキリなの? どれくらいが相場なの?

これは難しい質問ですなぁ。ちなみに僕は、対面鑑定の場合1時間〜1時間半で1万円です。メールでの相談はもっと安くする予定ですけど。(註・これは自宅鑑定をしていた頃の料金です。現在は一件2千円・二件3千円です)
以前は1件につき五千円だったんですが、やっぱり1件でも1時間くらいはかかるんですよね、で、「じゃあついでに仕事のことも観てください」なんてことになったら、3時間近く時間をとられるわけです。でも1万円。
というわけで、1時間から1時間半の間なら何件でもOKです、というシステムに変えたんです。
それが高いかどうかはお客さんの満足度、納得度でしょうからなんとも言えません。
ただ、「1万円も出すんだったらいいや」という人は確かにいますね。占いハウスなんかだと2、3千円で占ってもらえるわけですから。
ただ僕は、じっくりと時間をかけて、いろんな角度から納得のいくまで占いたいし、お客さんにも充分納得してもらいたいと思っています。そのためには1時間くらいの時間は必要になってくるし、その代価として1万円くらいがちょうどいいんじゃないかな、と思って、この料金を設定しました。
それともうひとつ、たとえば病気になった時、診察料を問い合わせて、少しでも安いところにいくでしょうか、ということです。本当につらい時、死にたいほど悩んでいる時、その悩みが解決するとしたら、1億円でも安いのではないかと思うのです。
そんなに詳しくでなくていいから、ちょっとでも安い方がいい、という人は安いところにいけばいいでしようし、少々高くてもじっくりと時間をかけて、納得のいくまで観てもらいたいという人は、じっくりと鑑定してくれるところにいけばいいんじゃないでしょうか。僕に言わせると、自分の悩みを解決するためにかけるお金としての1万円というのは、とても安いと思います。ただ、マスコミに取り上げられている有名な先生だから高い、というのはちょっと違うんじゃない? と思いますけど。
また、占い師さんの考え方もそれぞれで、占いは人助けであってお金を取るべきではない、という考え方の人もいます。
その考え方もわかりますが、僕にとって他人を占うということは、自分の時間、いままで培って来た知識や経験、占いの技術などをその人のために総動員して使い、その時間だけは100%の力を発揮して相談にのる、ということです。その時間代、および技術代とでもいえばいいんでしょうか。ちょっとうがった考え方みたいにとられるかもしれませんけど、まぁこれが僕の考え方です。
それにちょっと附随しますが、占いっていうのは形のないものです。それに、絶対的なものでもありません。
そういう物に値段をつけるというのは、とても難しいですね。
ただ、それだけに軽く見られがちなのは悲しいことです。
初対面の人に職業を尋ねられ「占い師です」と言えば、必ずといっていいほど、「ちょっと占って」と言われます。
これ、僕にとっては最高に失礼な言葉ですから、少なくとも僕には絶対言わないでくださいね。きれますよ。
それって、宝石店を経営している人に「ちっちゃいのでいいからダイヤちょうだい」っていうのと同じことなんですよ。違いますか?
少なくとも僕は、お金をいただかないと占いはしません。僕にとって占いは、形はないけれど「情報」というれっきとした「商品」を売ることであり、それで生活しているわけです。そこらへん、わかっていただきたいですね。

その8・ノストラダムスは自分の死期を知っていたらしいけど、そんなことも占えるの?

この質問をいただいた時の僕の感想は「ほほう、そいつは初耳だわい」でした。
したがって、ノストラダムスがいかなる手段で自分の死期を予言したかは知りません
ただ、人の寿命や「この時期ちょっとヤバイぜ」という程度の時期なら予測可能なハズです。
ここでこんなこと説明しても面白くもなんともないと思いますが、占星術では「何座生まれ」というのと同じくらい重要なポイントとして「上昇宮」というのがあります。これは生まれた時間に黄道十二宮のどの星座の何度が東の地平線に上昇していたかというポイントで、太陽、月とともに性格や運勢を見るうえでの重要なものなんですが、その支配星や太陽などが他の星とどーいう角度でどーいう影響を受けているかを調べれば、長命か短命か、死は自然死か事故死か、あるいは病死かなどはわかります。
また、「死」に関する位置、「健康」「不慮の災難や事故」に関する位置にある惑星、およびそれらの惑星と他の惑星との絡みを調べれば、かなり具体的に死因も特定出来ると思います。
それがいつ起こるのか、ということも、運行中の惑星の配置を調べればわかるはずです。
昔は、様々な伝染病や、若くしての不慮の死というものに対する不安は常に日常に潜んでいたワケですから、そういったことを占うのも占師の重要な仕事だったと思われます。
ただまぁそれは現代においても同じことで、現代では、エイズに罹りやすいタイプの人、感染の危険のある時期の特定法などの研究がさかんになされているようです。ここだけの話、僕は下の病気に縁がある配置を持ってまして、そのせいか、あるいは単なる遊び過ぎか、いままでいろいろやらかしたもんです。

病気と言えば、僕が盲腸で入院した時、お医者さんに「占いでこの時期は気をつけないと、とかわからなかったの」と言われましたな。しかも腹膜炎になってベッドの上でうんうん唸っている最中に。
のたうちまわっている患者にそんなこと聞く医者も医者ですが、「本当は上旬の方が事故や手術に縁のある時期だったんですけどねぇ」と苦しい息の下から答えた僕も僕です。プロ意識が感じられるいいお話じゃありませんか。それに、医者と患者がそんな会話をしている様というのも、なんかほほえましい光景ですねぇ、いま思うと。

あ、でもこんなこと書いたからって「僕は何歳まで生きれますか」なんて質問、よこさないでくださいね。
個人的な理由で申し訳ないですけど、僕は他人の生き死にに関して、および病院で検査を受けた方が早いんじゃないの、という相談は受け付けないことにしておりますので、あしからずご了承くださいませ。

その9・占星術では生まれた時間がわからないとダメなのか

これはよくある質問ですが、厳密に言えば答は「YES」です。
というのも占星術では、「その8」の中でちょっと出て来た、「上昇宮」、および上昇宮を起点に、それぞれに意味を持つ「ハウス」というものを作って、どのハウスにどういう星が入っているか、その星が他の星とどういう関係にあるかなどを観ていくワケです。
で、生まれた時間がわからないと、ちょっと曖昧になってしまうんですねぇ。
具体的に、たとえばどういうことかと言うと、「結婚において何らかの制限や抑圧を受けやすく、そのため晩婚になりそうである」という程度のことまでは、出生時間がわからなくてもわかります。ただその「何らかの制限や抑圧」というのが、仕事なのか、持病のような健康上の問題なのか、家庭の事情なのか、はたまた自分の考え方なのか、あるいは容貌に恵まれなかったせいかというところまで絞り込めないワケです。
ただ、ですな。実際問題として自分の出生時間まで知っているお客さんというのは少ないです。
「朝方って聞いたことはあるんですけど」程度では占星術においては意味がありません。なにしろ北海道の根室で生まれた人の場合、+四十二分の、沖縄生まれの人の場合、−二十九分の時差が出てくるという世界です。
とはいうものの「アンタは生まれた時間がわからないから占えないよ」では占いも役に立ちません。
そこを補うのが占師のカンであり経験だと言えます。また、曖昧とはいえ、充分な未来予測は出来ます。占星術だけで一生のことを綿密に調べると言うのなら別ですが、「転職を考えているのだけどいつがいいか」とか「恋愛のチャンスはいつ頃か」とか「結婚するならどちらの人の方が相性がいいか」などという日常的な質問に対する答を出すだけなら、出生時間がわからなくても充分です。
というワケですので、生まれた時間がわからない人は占えない、ということはまったくありません。特に僕はタロットがメインの占法で、占星術は補足として用いていますので、生年月日だけでもわかれば恩の字です。

その10・パフォーマンス占いは当たるのか

そういえば、お正月なんかにテレビを見ていると、2、3日前の小林幸子か美川憲一を彷佛とさせる衣装を身にまとった占師さんが、ほほぅ、これはまた独創的なという占い方で今年の運勢なんかを占ったりしてますなぁ。
これは僕個人の考え方なんですが、××を××したり、●●で●●をしたりすることによって(具体的なことを書くと占師さんを特定してしまうため伏せ字)占いが出来るとは思えません。
ただ、テレビではああいうことを要求されるんですよ。見せ物の世界でしょ。視覚的に面白くないと視聴率が取れん、なんか派手で目立って、なおかつ面白いことやってくれってなモンですわ。
僕も何度かテレビには出させていただいたことがありますが、初めて出た時、プロデューサーの人に「マントを着て下さい」と言われて丁重にお断りした覚えがあります。
マスコミ関係の人、特にバラエティー番組担当の人の頭ん中には「占師=怪しいカッコ」という図式が出来上がってるんでしょうね。占師がセーターなんか着てるのは許されんワケですよ。
それに視聴者だって、普通のカッコした占師が暦とにらめっこしながら「今年は火星が逆行しつつ海王星とスクエアになるのでうんたらかんたら」なんて言ってても面白くないでしょう。
「なにコレ、ばっかみたい」とかいいつつ、ぎんぎらぎんの衣装を着た占師が○○で○○したりして「きえぇぇぇーい、はああ〜っ!!! 出ました!!! うんたらかんたらですっ!!!」などと叫ぶことを期待してるワケですから、まあ需要と供給が成り立ってていいんじゃないですか、それはそれで。
ただ、パフォーマンス占いをやっている人すべてがヘンな人だとは思わないであげてほしいですね。
僕の友だちでもパフォーマンス占いで有名になった人がいますが、その人は、普段の鑑定ではごくごく普通の格好で、キチンとした鑑定をしていますし、とても常識的で勉強熱心ないい占師さんですよ。
ちなみにその人の場合は、占いの質問をあらかじめ聞いておいて、控室でちゃんと占ったうえで本番に臨んでたみたいです。

パフォーマンス占いに関しては、占師の中でも「あんな低俗なことをする輩がいるから占師の社会的地位が向上せんのだ」という意見が多いみたいですし、それはそれで一理あると思いますが、彼らの名誉欲、行動力、営業力はかってもいいのではないかと僕は思ってます。たとえそれが単なる自己顕示欲だとしたって、有名になりたいがためにあそこまで出来るってのはすごいことではないでしょうか。
僕は個人的にはああまでしてテレビに出たっていいことはないと思ってますし、もっと違う方向にエネルギーを向けた方がいいんじやないかな、と思ってますケド。
これを読んでる占師さんで、なんとかもっと有名になりたいと思ってる人がいたら(まあそんな人いないだろうけど)、一言「テレビや雑誌に出たからってお客さんが増えることはありません」と言っておきます。

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