○シックハウス症候群って最近よく耳にするけど? | ||
シックハウス(Sick-House)とは、直訳すると『病気の家』『病的な家』ということになりますが、建築業界でいう〔シックハウス症候群〕とは主に新築住宅入居後の不定愁訴のことを指します。
今まで住んでいた住宅では何ともなかったのに、家を新築(建て替え)して引っ越してから種々の症状が出る場合があります。症状の一例としては、皮膚に紅斑が出る、鼻出血、鼻詰まり、鼻や喉の乾き、車に酔うようになった、などで、いずれも新築住宅入居後に発症するケースがほとんどです。 これらの症状の原因の一つに、最近多い高気密・高断熱住宅と化学物質による汚染とが関係しています。最近の住宅は高気密・高断熱住宅が主流と言って差し支えないほど広く普及しています。 高気密・高断熱住宅とは言い換えれば『自然換気が期待できない住宅』と言えるほど密閉された住宅です。化学物質で代表的なものは、ホルマリン(ホルムアルデヒドを含んだ水溶液)や揮発性有機化合物(VOC)などです。これらは一般的な合板の中に含まれていたり接着剤として使用されているケースが多く、これらの化学物質が多量に存在する空間に入った際、「鼻がツ〜ンとする」「目がチカチカして涙が出てくる」といった経験がおありの方も少なくないと思います。 昔の住宅はいわゆる“スキマ風”が通るくらい自然換気ができる住宅だったのですが、これからの住宅は冷暖房効率のこともあり今後ますます高気密化・高断熱化が進んでいくものと容易に想像できます。 最近は『ホルマリンゼロ』『ノンホルマリン』を謳った建材も多く出回っています。今までの普通の建材に比べて少々割高になるケースが多いようですが、20年30年とそこに住まう人の健康を考えた場合、ぜひ採用していただきたい建材です。
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○化学物質過敏症との関係について | ||
〔シックハウス症候群〕という言葉は、住宅に起因する健康被害全般を捉えた言葉です。〔シックハウス症候群〕には低濃度中毒症状の他に、既に存在する疾患に対して化学物質が悪化要因として働いたケースも含まれます。また〔化学物質過敏症〕には新築住宅入居を契機とするものの他に、殺虫剤を使用したりした場合など様々なきっかけがあります。 つまり〔化学物質過敏症〕は室内化学物質汚染などによって発症するものなので、〔シックハウス症候群〕の症状の中の一つになりうるものといえます。 言い換えれば、〔シックハウス症候群〕の原因の一つに室内化学物質汚染が挙げられる、というわけです。 |
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参考記事:月刊【建築知識】1998年9月号 |