法律?条例?指導要綱?

 

○建築する際の規定の種類
建物を建築しようとするときには、建築基準法をはじめとする様々な規定をクリアしなければなりません。
俗に『法令』といわれていますが、これらにはどんなものがあるのでしょう?
1.建築基準法(昭和25年法律第201号)

建築する際に必ず関わってくるのがこの法律です。この法律があってその他の条例等が有効に規定されています。建築に関してのスタート地点に位置する法律です。

この法律の具体的な運用に関して、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)、建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号)があり、さらに建築基準法に基づく建設省告示が定められています。


2.都市計画法(昭和43年法律第100号)

この法律は先の建築基準法よりも若い法律ですが、建築基準法の上位に位置する重要な法律です。読んで字のごとく、日本の都市計画に関わる事柄を定めた法律で、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために設けられています。

従って、基本的に建築物を建築しようとするとき、事前にこの法律で規定している『開発行為の許可』を受けてからでないと確認申請もできませんが、一定要件を満たすものについては許可申請が免除されています。普通の市街地で、ごく一般的な規模の住宅であれば許可申請は不要です。

この法律の具体的な運用に関しても、都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)、都市計画法施行規則(昭和44年建設省令第49号)があります。

なお、建築する際によく耳にする【用途地域】は、実はこの都市計画法によって定められているものです。
建築基準法は、この都市計画法第8条によって定められた【用途地域】を建築に関する実務として運用しているに過ぎません。


3.消防法(昭和23年法律第186号)

建築物を建築する際、一般の方にはなじみが薄いですが、建築に関する消防の同意(防火指定のない地域における一戸建ての住宅は通知で可)が必要です。また一定規模以上の建築物になると各種消火設備が必要になるなど、建築とは切っても切れない法律です。

この法律の具体的な運用に関しても、消防法施行令(昭和36年政令第37号)があります。


4.その他の法律
1)建築する際に関わるもの



高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(俗にバリアフリー法と呼ばれるものです)及び同法施行令・同法施行規則・告示

建築物の耐震改修の促進に関する法律及び同法施行令・同法施行規則・告示

密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律

都市再開発法

土地区画整理法

国土利用計画法

下水道法及び同法施行令

浄化槽法

宅地造成等規制法及び同法施行令

道路法

駐車場法及び同法施行令

旅館業法及び同法施行令

文化財保護法

民法

住宅の品質確保の促進等に関する法律及び同法施行令・同法施行規則・告示

など

2)その他

建築士法及び同法施行令・同法施行規則・告示

建設業法及び同法施行令

宅地建物取引業法

労働基準法

など




○条例・指導要綱(基準)について

法律とは別に、地方公共団体が別に『○○条例』なるものを制定して建築に関する制限を附加していることがあります。これは建築基準法第40条によって、地方公共団体が建築に関する制限を条例によって附加する事を認めているためです。

このため建築に関する条例は建築基準法と同格の効力をもっており、守らなければならない“その地域の法律”なのです。一般的に各都道府県は何かしらの建築基準条例を設けておりますが、市レベルで設けているところもあります。

一例
東京都 東京都建築安全条例
神奈川県 神奈川県建築基準条例
横浜市 横浜市建築基準条例
川崎市 川崎市建築基準条例
横須賀市 横須賀市建築基準条例
静岡県 静岡県建築基準条例

など

市で条例が設けられているところは、一般に都道府県条例は適用されず、市の条例のみが適用になります。市で条例が定められているのは、政令指定都市が多いようです。これは政令指定都市は都道府県と同格なため、都道府県に束縛されない独自の行政を展開できることにあります。



一方、『○○市建築指導要綱(又は指導基準等)』などの名目で市町村が独自に規定を設けている場合がありますが、これは法律・条例ではありません。いわゆる〔行政指導〕といわれるものなので、厳密には法的効力はありません。

従って「絶対に従わなくてはならない」ものではないのですが、現実には従わないと確認が下りないといったことがあるため、半強制化されてしまっているのが実体です。