どっちがいいの?注文住宅vs建売住宅

 

注文住宅と建売住宅。建物を取得しようとするとき、あなたならどちらで検討されますか?「どっちもたいして変わらないんじゃない?」と思われました?それとも「注文住宅は土地持ちの人が、建売は土地を持っていない人が」と思われましたか?実はどちらも正解でもあり不正解でもあります。

ここでは、注文住宅・建売住宅それぞれのメリット・デメリットを考えてみることにします。突き詰めて考えていくと今まで意識しなかった事柄が見えてくるかもしれませんよ。
 
○いざ比較!注文住宅 vs 建売住宅!!(順不同)

注文住宅

建売住宅

(建売に比べて)高い傾向にある

工事費(価格)

(注文に比べて)安い傾向にある
工事費とは別に必要になる

設計料

販売価格の中に含まれている
最初は図面しかないため立体をイメージしにくい傾向にある

イメージし易さ

現物が既にそこに存在しているので全体を把握でき、家具のレイアウトも設定し易い
基本的に自由設計なので要望に即した形にすることができる

間取り自由度

ない(現状優先)
納得いくまで煮詰めるため満足度は高い傾向にある

間取り満足度

要望にピッタリはまった物件ならよいが、たいていはどこかしらに不満点があるもの
予め持っているか、なければ取得しておく必要がある

土地

土地付きで販売されているため、事前に準備する必要がない
基本的に自由設計なので要望に即した形にすることができる

外観自由度

ない(現状優先)
既に土地持ちの場合にはそこに住まうことになり、選べない

住まう地域

気に入った建売物件の所在地により住まう住所が決定する
要望に即した最適な構造・構法を設計段階で決定できる

構造・構法

最近は2'×4' が多い。また出来上がり品なので購入者が選べない
在来軸組工法なら容易

増改築

最近は2'×4' が多いため非常に困難
建築士による工事監理により適正なチェックを遂行。また建築工事そのものが目に見える形で進むため、施主様自身でもある程度のチェックができる

品質チェック

出来上がってしまっているもののため、後から品質や手抜き・欠陥について購入者様レベルでチェックすることは非常に困難で、何かしらの症状が出て初めて気づくケースがほとんど
設計事務所に工事監理を依頼すれば(設計した設計事務所はほとんどの場合自社で工事監理までしてくれます)、施主様と工務店との間に立って公正・公平な目でチェックをしてもらえる
※ただし「設計施工」を謳っている工務店で
 一括注文した場合は建売の場合と同様

工事監理の適切さ

建売業者が建築士事務所兼務の場合、社内で工事監理を行ってしまっている → 施工優先でまともな工事監理がなされていないケースも → 何か問題があっても社内でうやむやになりがち
「建物ある限り面倒を見ますよ!」という意識の工務店がほとんど

アフターサービス

会社によりまちまちだが、あまり期待できないかも??
皆無とは言えないが、適正な工事監理下においては極小であろうと思われる

手抜き・欠陥

利益を追求するあまり、見えない部分では手を抜かれている可能性がある
設計していく中で必要なものを設定できるので無駄がない

装備等

欲しい装備が付いていなかったり、また必要ない装備が付いていたりする
いろいろある中から選べるので選択肢は広いが、それがかえって迷う原因にもなる

選択性

選べる種類が少ない反面、○×がはっきりし易く選ぶのに時間がかからない
気に入ったところに直接頼むので“顔”も見え、信頼関係を築きやすい

工務店

間に不動産業者を挟むため、どんな工務店が施工したのかわからない
どんな部材を使うのか設計図書に明記されているため把握しやすい

部材

どんな部材を使っているのかが明確になっていないケースが多い
 
○やっぱり理想は注文住宅か?
上記のように比べていくと、やはりというか、ごく一部の項目を除いては注文住宅の方がよりよい住宅を取得できるように思います。最近話題の「欠陥住宅」についても、問題になるような建物はそのほとんどが建売住宅であることを考えると、最初に多少費用がかかったとしても注文住宅にしておいた方がベターなのではないでしょうか?

テレビでもたびたび「欠陥住宅」について取り上げているように、後から補修することが可能なレベルの欠陥だったとしても、その度合いによっては小さな新築住宅がまるまる一軒建ってしまうのではないか、というくらいの費用を用意しないと欠陥を撲滅できないケースもあります。そうなると「安物買いの銭失い」に近い形にもなってしまうと思われるのです。

モチロン、建売住宅全てが欠陥住宅だとは思ってはいません。良心的に建築し販売されている会社もいっぱいあります。ただ欠陥住宅と呼ばれる建物の発生物件としては、やはり建売住宅が多い傾向にあることも、上記の比較を見ていく中でおわかりいただけるのではないでしょうか?

「ウチだけは大丈夫」「ウチに限って欠陥なんて........」と思っておられる方、今からその認識は改めた方がいいですよ。欠陥があることを指摘されるのは怖いことですし、できれば聞かずに済ませたい心理もよくわかります。ですが、もし欠陥があった場合、そのまま放っておいて治るものでは絶対にありません。小さな欠陥も、放っておくことで大きな欠陥になることもあります。早めの点検を受けて、早めに処置することで掛かる費用にも差が出てきますので、何事も早め早めが肝心です。
 
○建売住宅なら一度は受けてみよう欠陥検診
注文住宅なら建築途中でチェックできるためあまり神経質にならなくても大丈夫ですが、既にできあがってしまっていて後から確認することが困難な建売住宅を購入された方は、できれば一度は欠陥検診を受けてみた方がいいと思います。欠陥をチェックすることを仕事としているプロの会社や集団もありますが、簡単なチェックなら普通の設計事務所でも鑑定することはできますよ。

全ての欠陥を指摘してその補修費用の見積までとなるとプロの会社に頼んだ方がいいのですが、「とりあえずどんなものか.......」というレベルのチェックであれば設計事務所を活用してみましょう。そんなにお高くない値段(日当程度?)でとりあえずレベルは見てもらえると思います。


とりあえずレベルのチェックをしてもらうにしても、ただ見るだけではわからないケースが多々あります。そこで依頼する側としても、最低でも下記のもの程度は準備しておきましょう。
1.売買契約書
拝見しないかもしれませんが、建売住宅の場合どんな条件で売買されたのかによって見方が変わる場合があります。ですので一応準備しておきましょう。
 
2.建物の設計図一式
図面が全く無いということはないと思います。売買される際に添付書類として添えられていたりするのでわかりにくいかもしれませんが、図面らしきものは全て用意しておいた方がいいですね。
 
3.建物の確認申請書並びに確認済証、検査済証
販売される際に最低限確認申請書&確認済証は引き渡されるはずです。場合によっては検査済証は無いかもしれませんが、あれば用意しておいて下さい。