建てられる建物のエリアについて

 

○建物は用途地域に応じた用途の建物が建築できます

知っ得9「用途地域」で解説した種類の【用途地域】があることはおわかりいただけたと思います。では実際に建築する建物は、どの地域なら建築できるのかが疑問ですよね?

普通の一戸建て住宅ならあまり気にしない【用途地域】も、他の建物の場合には建てられるか否かを先に把握しておく必要があります。以下に抜粋を掲載します。

 

建築できます
 
一定の条件下で建築できます

 

建築できません

建 物 用 途

住居系

商業系

工業系

備  考

第一種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域

第一種住居地域

第二種住居地域

準住居地域

近隣商業地域

商業地域

準工業地域

工業地域

工業専用地域

住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿                          
兼用住宅で、非住宅部分の床面積が50 u以下かつ建築物の延べ面積の1/2                         非住宅部分の用途制限があります

店舗等

床面積  150 u以下  

1

2

3

             

4

1) 日用品販売店舗、喫茶
  店、理髪店及び建具屋
  等のサービス業用店
  舗で2階以下のみ
2) 1の他、物品販売店舗・
  飲食店・損保代理店・
  銀行の支店・宅地建物
  取引業等のサービス
  業用店舗で2階以下
  のみ
3) 2階以下
4) 物品販売店舗・飲食店
  を除く
床面積  150 u超  500 u以下    

2

3

             

4

床面積  500 u超 1500 u以下      

3

             

4

床面積 1500 u超 3000 u以下                      

4

床面積 3000 u超                      

4

事務所等

床面積  150 u以下      

                ※2階以下
床面積  150 u超  500 u以下      

               
床面積  500 u超 1500 u以下      

               
床面積 1500 u超 3000 u以下                        
床面積 3000 u超                        
ホテル、旅館        

              ※3000 u以下

遊戯
・風俗施設

ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場、バッティング練習場等        

              ※3000 u以下
カラオケボックス等                          
麻雀屋、パチンコ屋、射的場、馬券・車券販売所等                          
劇場、映画館、演芸場、観覧場            

        ※客席 200 u未満
キャバレー、ダンスホール等、個室付浴場業                  

    ※個室付浴場業を除く

公共施設
・病院
・学校等

幼稚園、小学校、中学校、高等学校                          
大学、高等専門学校、専修学校等                          
図書館等                          
巡査派出所、一定規模以下の郵便局等                          
神社、寺院、教会等                          
病院                          
公衆浴場、診療所、保育所等                          
老人ホーム、身体障害者福祉ホーム等                          
老人福祉センター、児童厚生施設等

                    ※600 u以下
自動車教習所        

              ※3000 u以下

工場
・倉庫等

単独車庫(附属車庫を除く)    

            ※300 u以下で2階以下
建築物附属自動車車庫(1・2・3については建築物の延べ面積の1/2以下かつ備考欄に記載の制限)

1

1

2

2

3

3

            1) 600 u以下で1階以下
2) 3000 u以下で2階以
  下
3) 2階以下
※一団地の敷地内について別に制限有り
倉庫業倉庫                          
畜舎(15 uを超えるもの)        

              ※3000 u以下
パン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋、洋服店、畳屋、建具屋、自転車店等で作業場の床面積が50 u以下のもの  

                原動機の制限有り
※2階以下
危険性や環境を悪化させるおそれが非常に少ない工場        

1

1

1

2

2

      原動機・作業内容の制限有り
作業場の床面積:
   1)  50
u以下
   2) 150
u以下
危険性や環境を悪化させるおそれが少ない工場              

2

2

     
危険性や環境を悪化させるおそれがやや多い工場                        
危険性が大きいか又は著しく環境を悪化させるおそれがある工場                          
自動車修理工場        

1

1

2

3

3

      原動機の制限有り
作業場の床面積:
   1)  50 u以下
   2) 150u以下
   3) 300
u以下
火薬、石油類、ガスなどの危険物の貯蔵・処理の量 量が非常に少ない施設      

1

2

              1) 1500 u以下で2階以
  下
2) 3000 u以下
量が少ない施設                        
量がやや多い施設                        
量が多い施設                        
卸売市場、火葬場、と畜場、汚物処理場、ごみ焼却場等 都市計画区域内においては都市計画決定が必要

以上はほんの抜粋なのですが、抜粋でもこれくらい区分できるくらい細かく定められています。ご覧のように、全ての用途地域において無条件で建築可能なものはほんのわずかで、大部分の建物用途は何らかの制限を受けています。一戸建ての住宅においても、「工業専用地域」では建築できないのです。

これらは全て「建築基準法・別表第2」の部分に記載されています。原動機の制限をはじめとする詳しい制限内用については建築士にお尋ねください。



○上記の建物用途に記載されていない用途の建物について
例えば、「オートバイ屋」さんなどは上記のどこにも明示されていません。「建築基準法・別表第2」にも記載がありません。似たような用途として「自転車店」や「物品販売店舗」、「自動車修理工場」などがありますが、いったいどれに分類されるのでしょう?

これについて、東京都の場合では次のように分類するそうです(都の判断)。
自転車店とみなす場合 オートバイやスクーターを単に販売するのみで、修理を行わない(修理スペースがない)場合で、原動機等の制限が「自転車店」の範疇の場合
物品販売店舗とみなす場合 オートバイやスクーターを単に販売するのみでかつ、原動機を置かない場合
自動車修理工場とみなす場合 上記以外の場合
実際問題として、販売のみを行ってまったく修理をしないバイク屋さんなんてものは聞いたこともありませんし、まずあり得ないでしょう。となると、「オートバイ屋」さんは事実上全て「自動車修理工場」に該当することになるでしょう(他の道府県では扱いが異なるであろうことをお断りしておきます)。

しかし現実的には住宅街に店舗を設けている「オートバイ屋」さんは少なからずありますし、またその方が多いように見受けます。これらのほとんどはテナントの場合が多く、建物新築時に厳しい目を向けられる反面、いったん建ってしまった建築物のその後の用途(使われ方)まで法律の目が行き届いていない、と言えるでしょう。

モチロン、建築基準法にもその後の用途(使われ方)を規制するための条文及び申請が存在していますが、現実的にはほとんど機能していないのではないでしょうか?

※同じ都内でも、特定行政庁(建築主事)が異なればまた別の解釈をしてもらえるかもしれませんことをお断り
  しておきます。
余談ですが、「オートバイ屋」さんの件を都にお伺いを立てた際、都の内部でもいろいろな意見が出てすぐには判断できなかったようです。「(自動車修理工場は)四輪車等の大規模な修理工場を想定したものだから(バイク屋は)自転車店扱いでいいんじゃないか」とか、「ガソリン等油製品をを扱うので自動車修理工場扱いが妥当では」、また「(バイクを)販売するのが主なのだから物品販売店舗でいいんじゃないか」などいろいろな意見が出て、上記の判断に行き着いた経緯があります。
従って、他の道府県ではまったく異なる扱いがなされるかもしれませんね。

要は建築基準法に明記がないということは、こと建築の世界においては「オートバイ屋」「バイク屋」の類は未だ認知されていないということなのでしょう。こんなにもモータリゼーションが発達し、二輪の世界においては生産量・レース成績・世界的認知度いずれも日本車がナンバーワンだというのに、ねぇ.....