明かりとその単位について

  
○明かりの種類について
常日頃、あまり意識しないかもしれませんが、現代生活においては照明器具のお世話にならない生活は考えられない、と言えます。明かりなしでは成立しない現代生活、とも言えます。

しかしその光源である明かり=ランプそのものについてまではあまり考えたことがないのではないでしょうか?おおざっぱに「白熱灯」「蛍光灯」の区別があるのは知っているとしても、それぞれの原理や特徴まで考えて照明選びをしていますか?

そこでここでは、日常生活の利用シーンでメインとなる「白熱灯」「蛍光灯」に絞って、それぞれの特徴を述べたいと思います。
またこの他の光源としては温度放射型で「ハロゲン電球」、放電型で「蛍光水銀ランプ」「メタルハライドランプ」「高圧ナトリウムランプ」などがありますが、一般家庭ではマイナーな存在なので割愛しています。

白熱灯

蛍光灯

温度放射型

光源の原理

放電型
暖かみのある色

色の特徴

一部電球色等の彩色タイプもあるが、基本はクールな感じ
有り

フィラメントの有無

無し
低(消費電力が多い)

電気効率

高(消費電力が少ない)
蛍光灯よりは短め

寿命

白熱灯よりは長め
自由度が高い

器具デザイン性

白熱灯に比べるとあまり選べない
調光器具をつけることで自由に可能

調光デザイン性

ない
器具のシェードや電球ガラス部分で色を変える以外は基本的に同系統の色のみ

彩色性

光色、演色性の種類が豊富
ただちに点灯する

点灯スピード

ただちに点灯するが、一般に白熱灯よりは遅く(同等のものもある)、タイムラグがある
低い

色温度

高い
暗い

明るさ

明るい
上記のうち、電気効率の違いに関してが一番わかりやすいかもしれません。白熱灯で60Wタイプとして設定されている電球を蛍光灯タイプに変える場合、わずか14〜20Wタイプの製品で同等以上の明るさを手に入れられます。ワット数が低いということは、すなわち電気の消費量が低いということであり、電気代の節約にもつながるのです。また、純粋に明るさを求める時には蛍光灯が優れています。

白熱灯の方は、「色の特徴」でも述べたように、暖かみのある色で照らしてくれるため、団らんを求める部屋や食卓の照明に優れています。
なお「温度放射型」とは、電気を流すことでフィラメント部分が熱を持ち発光することを利用し光として放射するタイプのことです。熱=温度を光に変換しているタイプ、と言うこともできます。

一方の「放電型」とは、ガラス管内のガス中で放電させた時に生じる光を利用するタイプのことです。小さな雷を詰め込んだようなものです。
  
  
○明るさの単位って?
明かりが光源の種類によって違いが出てくることは上記に述べたとおりですが、ではその“明るさ”って何でしょうか?何を持って「明るい」「暗い」を判断するかというと、明るさを表す各単位の数値によるところがほとんどでしょう。

日常生活においてもたびたび耳にする用語で、明るさに関する単位が結構いっぱい出てはくるものの、どれが何を表している単位なのかとてもわかりづらい、と思ったことはありませんか?ここでは、いくつかある明かり・明るさの単位について簡単に説明しようと思います。

明るさの単位にはどういったものがあるのか?

照明関連の単位でよく耳にするものに「ルクス」や「ワット」などがあると思いますが、それらが何を意味している単位なのかはとてもわかりづらいものです。それらをまとめると次のようになります。

専門用語

単位用語

単位

意 味

放射束 ワット

W

単位時間あたりに発散又は伝搬するエネルギー量のこと。数値が大きいほどエネルギー量が多く、消費電力も増える。
光束 ルーメン

lm

放射束を標準視感度(見え方)によって換算したもの。
照度 ルクス

lx

物が光に照らされたときの光の強さの度合いのこと。この数値が高いほど、視力や色の識別能力は向上し、作業効率が上がりつつ疲労も少なくなる傾向にある。
光度 カンデラ

cd

光源が放つ光の強さの程度のこと。数値が高いほど強い光を放つ光源である。
色温度 ケルビン

K

放たれた光の色により決まる温度のこと。数値が小さければ赤っぽく、大きければ青っぽくなる。白熱灯は数値が小さめ、蛍光灯は数値が大きめになる。
輝度 ―――

cd/m2

光源の表面の明るさの度合いを表す数値で、単位面積あたりの光度の度合いで決まる。
ご覧のように、一番聞き慣れていると思われる「ワット」はエネルギー量を示す単位なため、実は直接には明るさを表す単位ではないのです。原動機の出力を表したりする時にも用いられる単位なのです。最近ではクルマやバイクのエンジン出力も、馬力(ps)と共にワット数(クルマやバイクではキロワット:kw)で併記されるようになっています。


ケルビン」はクルマやバイクが好きな人なら耳にしたことが多いかもしれませんね。最近話題のHIDヘッドランプ(キセノンバルブともディスチャージランプとも呼ばれる、あの真っ白な眩しい光を放つライトのことです)に近い色温度を持つハロゲンバルブがこぞってこの数値を明記して販売しているからです。また、光量を表す時には「カンデラ」が使われますから、こちらも決してマイナーではないと思います。
ちなみに、HIDヘッドランプは蛍光灯などと同じ「放電型」ランプです。フィラメントを持たないため、ハロゲンバルブより高寿命で、消費電力も低くて済みます。なお一般に広く利用されているハロゲンバルブは、白熱灯と同じ「温度放射型」に分類されます。


日常生活の上ではなんと言っても「ルクス」が一番耳慣れしているのではないでしょうか?光源そのものではなく、例えば照らされている勉強机に当たる光の明るさを表す時など、光を受ける方の明るさを示しているため、一般にも理解しやすい単位だと思います。

ただ注意しなければいけないのは、「ルクス=照度」という単位は、ある面に入射する光量の大小を表す測光量であり、実際にそこにある物が見える明るさとは必ずしも一致しないのです。先ほどの勉強机の例でいうと、「照度」は勉強机に当たる光の強さのことで、その光に照らされた机の明るさ=見え方を表すものではない、ということです。