IN THE EYE OF THE WIND
=1998=
風が伝える。奴らがやって来る。風見の笛を奪うために。

 あの時確実に殺しておけば良かった。
「もうすぐ来るね」
 まさか、こんなに力をつけるとは。自分の予測の甘さに苛つくね。
「吽毘羅」
「何?」
吽毘羅1

「お前と小太郎様だけは」

「…生き残れ」
 自己嫌悪におちいってた思考の中に
 不思議な言葉が響く。
 いつも寡黙な相方の言の葉。
「あらら~どうしたの?何?」
 分かっている。この先の自分達の末路。
「な、何って」
「突然何を言い出すのかと思えば」
 貴女も気づいてる。
 私しか居ない場。でも、貴女にその様な
 「こと」言って欲しくなかった、と
 ふっと笑ってしまう。

「し、しかし
 お前が死んだら小太郎様が…」

NEXT END