外伝 レイと過ごした日々INアメリカ(2




2013年 日本第三新東京市

ネルフ本部内第1実験ホ−ル

ここで、レイによる零号機の起動シンクロ実験が行われる。今まで、何度もこの実験を行ってきたが、いまだ1度も成功した子度が無かった

モニタ−室

リツコなどこの実験のスタッフがとその後ろにゲンドウがいた

実験の準備が終了しリツコがゲンドウに聞く

「司令、準備できました。よろしいですね?」

「ああ、やってくれ」とゲンドウは許可を出す

それを聞くとリツコは無線を開いて零号機の中にいるレイに聞く

「レイ!実験やるわよ。準備はいい?」

「はい・・・・・・」とレイは返事をする

「じゃあ、実験開始!」とリツコはマイクを使ってスタッフ全員に聞こえるように言った

『主電源接続!・・・・・・A−10神経接続・・・・・フェイズ2へ移行・・・・・パルス反応無し。起動しません』

またしても実験は失敗に終わった。その結果を聞きゲンドウがリツコに

「赤木博士!あとで私の部屋に来てくれ」と言うと部屋を出て行った

「・・・・・みんな!いまの実験のデ−タを解析して失敗の原因を探って」とリツコは指示を出すと部屋を出て行った

同本部内総司令室

ゲンドウとリツコがいる

「赤木博士!零号機の実験の失敗は何が原因なのかね?」といつもの姿勢でリツコに聞くゲンドウ

「詳しいデ−タが無い為断言はできませんが・・・私の個人的な意見では・・・・エヴァにシンクロするにはA−10神経が重要な役割をします。A−10神経とは人の心の部分を表しています。レイにはこの部分が無いんです。その結果シンクロに失敗したのだと思います」

「・・・そうか・・・・分かった。それに関したはこちらでどうにかしよう」

この結果レイはアメリカでシンジと会うことになったのだ

 

 

翌日 アメリカ合衆国ネバタ州

ネルフアメリカ第二支部

シンジは今日、初めてファ−ストチルドレン、綾波レイに会う

名目上シンジはレイの教育担当という立場であり、その立場で最初はレイと接する事になる。

支部内会議室

ここでシンジがレイに自然科学から社会科学までのあらゆる分野を教えるのである

シンジはその部屋の前までやってきた。そしてドアを開けると、その中には赤い瞳を持ったレイが椅子に座っていた。シンジはその姿をしばらく“ぼ〜”となって見ていた

(やっぱり、何かわからないけど、他の人と違うな)とシンジはレイを見ながら感じる

レイの前にやってきてシンジは話し掛ける

「始めまして、碇シンジです」といつもの調子で挨拶する

しかし、返って来る言葉は無かった

授業はレイの無言のまま始まった。レイはシンジに興味がないようだ

時間は過ぎちょうど昼食の時間になった

シンジは時計を見て

「もうこんな時間か!じゃあ、昼食にしようか」とシンジは何も言わないレイに言う

レイはそれを聞くと無言でかばんの中からカプセルの栄養補給剤を出し、それを飲み出した。シンジはそれを見て聞いてみた

「そんな物食べてるの?」

するとレイは授業が始まって3時間近くたって初めて言葉を口に出した

「ええ」

「どうして?」とシンジは更に聞く

「赤木博士が言ったから」

「他の物は食べないの?」

「ええ」

とレイが言うとその日はこれ以上話さなかった

その後シンジは第三東京にいるリツコに連絡をし、人間の精神と食事の関連性及び食事の人間生活における重要性を延々と話した。シンジはレイが第三東京いる時にどのような事を教えたのかリツコに聞いた。それは本当に生きるのに最低限の事だけだった。それを聞いたシンジは(これじゃ、人間らしい心なんか持てるわけないじゃないか。父さんもリツコさんも何を考えているんだ)と思った。シンジは更にその後もゲンドウをまじえて説教のように延々と人間の精神について語るのだった

その後の各人の感想

「も、問題ない」   「無様ね」

結局シンジの説教みたいな説明は8時間後にやっと終わったとの事だ

 

 

翌日 

この日からレイの生活に少しずつ変化が生じ始めた。シンジはレイの為に食事を用意することにしたのだ

第三東京にいるリツコと話している

『シンジ君、料理なんかできるの?』とシンジに聞くリツコ

「ええ、もう一人暮しも長いですからね。料理の一つや二つ簡単ですよ」とシンジは答える

『でも、なんでレイの為に食事を作ろうなんて考えたの?』

「リツコさん、昨日も言ったでしょう。彼女には人間らしい生活を送ってもらう事にやって初めて人間らしい心を持てるんですよ。それにあのままじゃかわいそうですしね」

『かわいそう?』

「はい、彼女は確かに人に作られた存在かもしれない、でも昨日一目見て分かったんですよ。彼女も一人の人間だってね。だからもっと人間らしい生活を送って欲しいんですよ。あのままの生活じゃまるで生きるために生きているような生活じゃないですか。でもこれからは他のなにかの為に生きて欲しいんです」

『シンジ君……』

「だから、頑張りますよ」

 

 

教室 

今日も昨日と同じように淡々と授業が続いている

やはり他人にまったく関心を持たない

そして昼食の時間が来た

レイは昨日同様栄養剤を食べようとしていた。それを見てシンジは

「ちょっと綾波さん、今日はこれを食べてみてくれるかな?」とレイに言う

シンジはレイの前に自分が持ってきたお弁当箱を置いた。そしてふたを開け中をレイに見せた。それを見たレイは今日はじめて言葉を口にする

「これは?」

「僕が作ったんだよ。味は保証できないけどね」と笑顔で言うシンジ

しかしレイはそれを見ているだけで一向に食べようとしない。シンジはそれを見てレイに聞いてみた

「どうしたの、嫌いな物でも入っていた。それとも気に食わない?」

「………食べ方がわからない……」

その弁当はシンジの趣味なのか和食であった。その為箸がいち膳おいてあった

「もしかして、箸の使い方わからないの?」と箸を見ながら言うシンジ

「……ええ」

それを聞くとシンジはもう一つの自分用の弁当を出して、箸を使いながら実践して見せた

レイはそれを見習いながら箸を持って食事をし始めた。まだその手つきはぎこちないもので、所々でつかんだ物を落としてはシンジが持ち方を注意した

シンジは少しして食べながらレイに聞いてみた

「どう、おいしいかな?」

「……ええ、おいしいわ…」と表情は変えないが何か嬉しそうに言う

「そう、よかった」

その後何日か同じような事をしていた。そのうちにレイは徐々にシンジだけには関心を持ち始めているようだった

 

数日後

今日もいつも通りに授業が始まる

「こんにちは、レイ」とシンジはこれまたいつも通り挨拶する

なぜ、シンジは綾波レイをレイと呼ぶかというとそのほうがしっくりくるとシンジが思ったからだ

「こんにちは、シンジ君」とレイはシンジの挨拶に言葉を返した

そして授業が始まった。しかし最近のレイは最初のレイと少し様子が違った。それは最初はシンジには関心はないが授業はしっかりと聞いていた、しかし今は時々シンジの方をチラチラ見て授業に集中していない時があるのである

昼時いつも通りにシンジはレイに自分で作ったお弁当を渡す。レイは最近少しずつ表情に変化が生まれてきた。でも、その変化はシンジにしか分からないようだが。そして箸を使い上手に食べられるようになった。それはどう見てもおいしそうに食べている。シンジはその姿を嬉しそうに眺めている

するとレイが初めて自分からシンジに話しかけてきた

「これ、シンジ君が作ってるのよね?」

「うん」

「こんど作り方教えてくれる?」

「うっ、うん。いいけど」

こうしてレイはシンジの部屋に料理を教えてもらう為に行く事になった

 

 

シンジの部屋

シンジがレイを連れて返ってきた

「じゃあ、そこに座ってて、お茶でもいれるから」とシンジは言うと椅子をレイに差し出した。レイは言われるままにそこに座った、シンジを見つめたまま

「ところで、どうして料理なんて習いたいと思ったの?」

「それは………シンジ君に作ってあげたいから……」と今まで以上に表情を変えて言う

シンジはそれを聞くと少し驚いたようだ。それは予想以上にレイが感情を持っているということについてで決してその言葉の内容にではない、そこがシンジらしい所である

「そう……」とシンジは紅茶をいれるとレイの座っている所に行きそれを渡した。そしてレイの前に座った

何も語らないがレイはさっきからシンジを見ている

数十分後

シンジとレイはキッチンにいた。料理を教えているのである。シンジはいつも和食を作っているのでそれを中心に作って見せる

しかしレイはシンジの手元ではなく顔ばかり見ていた

「レイ、見てる?」とシンジはレイの様子を見て聞いてみる

「えっ、ええ」

その後何とか料理をしレイもそれを最後は集中して聞いていた

 

 

翌日

レイはシンジの為にお弁当を作ってきた

シンジはそれを食べてみた

「うん、すごくおいしいよ。レイは才能があるよ」これは本音である

それを聞くとレイは

「……ありがとう…」と感謝の言葉を発した。その時の表情は今までシンジが見たレイの表情の中で1番輝いていた

そしてシンジはこの事である事を確信した

(レイはしっかり人としての感情を持った)と

それをシンジはE計画担当者としてではなく一人の人間としてうれしく思っていた

その後レイはシンジといるだけは表情や仕草に感情がこもるようになった

そして日に日に明るくなっていった

 

数ヶ月後

シンジ専用研究室

ドイツの時同様シンジには事務用の個室が用意されていた

第三東京へ回線を開いた。ネルフ本部総司令室へと…

画面はSOUND ONLYとなりゲンドウが出た

『なんだ、シンジ』

すると突然シンジはゲンドウに

「父さん、レイは人の心を持ったよ」といままでの事を報告した

『そうか、よくやった、シンジ』

「ぼくはなにもしてないよ」

『いや、シンジ。お前でなくてはできなかった事だ』

「そうかな〜?」

『そうだ。では、レイはこちらに呼び戻すぞ』

「えっ、どう言う事?」

『レイにはこちらで零号機の実験をしてもらわねばならない。だから、目的が達成された今、そちらにいつまでもおいておくわけにはいかないんだ』

「でも……」

『シンジ、お前にはこれからオ−ストラリアに行ってもらうぞ』

「えっ!?」

『むこうでMAGI6号機を建造中だ。それを見てきて欲しいのだ』

「でも………」とシンジは嫌がる。ゲンドウはそれを見てシンジがどう思っているか理解できたが

『シンジ。我々の目的はユイの復活だ。その為にはこれから来る使徒を倒さねばならない。その為には戦力増強は必至事項だ。分かるな、シンジ』

「………うん、分かったよ」シンジはしばらく考えてそう結論を言った

 

 

シンジは次の日の朝レイに会うことなくオ−ストラリアに向かった

それは会うと別れがつらくなるからであろう

シンジに会えなくなったレイは………言うまでもない。それもまた別の話し…




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この外伝はこれで終了です。すでに次回の外伝の作成にかかっております。次回は鋼鉄のガ−ルフレンドのスト−リ−ブック発売記念として、それについての外伝を書くつもりです。