外伝 マナとともに(7)
同日
ミサト宅居間
テ−ブルのコンビニ弁当を食べているシンジとミサト
「…………」
「…………」
お互いの顔も見ず何も話さず黙々と食事をしている
そこに玄関から加持が入って来た
「勝手に上がらせてもらうよ」と加持
「加持さん………」とシンジ
「加持君………」とミサト
「すまなかった。こっちの手違いで我々よりも早く司令が指示を出してしまったんだ」
「あんたの所為で霧島さんが連れて行かれたのよ。こっちは信頼してあんたに頼んだのに………すまなかったですって。よくそんな事言えるわね。あんた人の命なんだと思ってるのよ!」とミサトは感情を押さえられずに言う
「ミサトさん!」
「…………ごめんなさい」と急に勢いを無くして言うミサト
「加持さん、マナを助ける方法、ありませんか?」
「………すまん、シンジ君。彼女の居場所もつかめていないんだ」
「そうですか…………」
「加持君、あんたプロでしょう。何とかしなさいよ!」
「分かってるよ、葛城………シンジ君、彼女の事は何とかするから待っててくれ」
「…………はい」
シンジはそう言うと自分の部屋へと入っていった
シンジの個室
シンジはパソコンに向かい第二東京にある戦略自衛隊中央情報センタ−にハッキングしてマナについての情報を得ようとしている、が、マナに関する情報は得られなかった。シンジは涙をこらえて声を出さずに泣いている
そこにアスカとレイが入って来た
「シンジ、いる?」とアスカ
「シンジ君………」とレイ
「……………」黙ったままのシンジ
「シンジ………心配する事無いわよ。あの女は絶対に死なないわ」
「そうよ。シンジ君」
「…………ありがとう。ふたりとも」
「シンジ、そんな顔、あんたらしくないわよ。ほら、もっとしゃんとしなさい」
「うん、そうだね」と言うとシンジは少し表情が明るくなった
そして何かを決心したようだ
「レイ、アスカ。ちょっと協力してほしいんだ。良いかな?」
「なによ?……」 「ええ」
そしてシンジは自分のデスクからある物を出した
翌日
朝 ネルフ本部内総司令室
ゲンドウと冬月がいる。そこにシンジが入って来た
「…………」何も言わないゲンドウ
「シンジ君じゃないか。どうしたのかね?」と冬月
シンジは何も言わずにゲンドウの座っているデスクに封筒を置いた『辞職願』と書かれた
それを見て驚いたゲンドウは
「シ、シンジ、これはどう言う事だ?」という
「読んで字のごとくだよ。僕はネルフを離れることにしたんだ」とシンジ
「ユイの事はどうするんだ?」
「………父さんの大切な人、母さんの為に僕は今まで頑張ってきた。でも父さんは僕の大切な人、マナの為に何かしてくれた?………何もせずに戦自に渡してしまったじゃないか!それなのにこれからも僕に何かしてもらおうなんて虫が良すぎるんだよ。だから僕はもうやめる!………あっ、それからこれ」と言うとシンジはもう二枚の封筒を出した。その封筒には最初に渡したのと同じように『辞職願』と書いてあった。だが1箇所だけ違った、それは名前だ、一つが惣流=アスカ=ラングレ−、もう一つが綾波レイになっていた
「「こ、これは!…………」」これを見てゲンドウも冬月も更に驚いたようだ
「レイとアスカは僕が連れて行くよ。僕がやめるって言ったら自分達もやめるって言うからさ」と笑いながら言う。もうこの時点で勝負はついていた
「………………」何も言わないゲンドウ
「どうしたのさ?父さん。これが会うのも最後なんだから、何か言ってよ」
「…………悪かった。何が望みだ?」
「父さん、反省が足りないようだね。そんな事聞かなくても分かってるはずさ」
「…………マナ君なら、明日芦ノ湖畔でのロボットを誘き出すためのおとりになるそうだ」
「そう…………明日エヴァを使うよ。いいね!」
「ダメだこの件は我々ネルフとは関係のないことだ」
「………父さん、そんな事言えるの……これは許可を求めてるんじゃない。何といおうと使うよ!」
「…………わかった。好きにしろ」
「うん、好きにするよ」と言うとシンジは出ていった
そして出ていった後
「碇、良いのか。シンジ君にあんな事を教えて、しかも、エヴァ使用の許可まで与えて……」
「………しょうがなかろう。あのままじゃ本当にシンジがネルフをやめてしまう。そんな事になってはこれから何も進まん、それにそんな事になったら老人達になんて言うのだ。他に方法が無かった」
「………そうだな」
この後ゲンドウは更にシンジに逆らう事ができなくなった
その夜
ミサト宅 シンジの部屋
シンジが明日の事を考えている。そこにアスカとレイがはいって来た
「シンジ、どうだった?司令は?」とアスカ
「思っていた通りだったよ。父さんにあれを出したらすぐにマナの事教えてくれたよ。本当にありがとう、二人とも」
「「良いのよ、シンジ(君)のためだもの」」と二人
「それで、何だって?」とアスカ
シンジは明日の戦自の作戦について話した。そしてエヴァ使用について
「そう分かったわ。私達はシンジのサポ−トをすれば良いのね」
「ごめん、二人とも、勝手に決めちゃって」
「何いってんのよ。シンジ。たまにはシンジの為に何かしなくちゃね」
「そうよ、シンジ君」
その後三人で明日の事について話し合った
翌日
芦ノ湖湖畔作戦実行予定地点
おとり設置地点
マナは檻に入れられ座っている。周りに人の姿は無い
シンジは調べていたので先回りしマナを待っていた。そしてマナの檻に近づいた
「マナ!」とシンジ
「シンジィ!」とマナ
「元気で良かった。これでも食べてよ」と右手に持っていた袋を手渡した。その中には食料が入っていた
「なんでここが分かったの?」
「しらべたんだよ」
「そう、うれしいわ。来てくれて………でも、すぐに離れて、私は囮なの、ここにはムサシが乗ったロボット兵器が来るわ!」
「わかってるよ、そんな事。マナもう少しここで我慢してくれるかな。君をすぐに助ける事はできる、でも……そうしてしまうと、君のお兄さんを助ける事ができない。だから……」
「ムサシを助けてくれるの?」
「うん、みんな助けるって約束しただろ。その為にエヴァを準備してある。今父さんが戦自とパイロットの身柄について交渉中だ。大丈夫、必ず助けるよ。だから待ってて」
「うん、待ってるわ」
そしてシンジはネルフ本部へと向かった
戦車群
戦車が一列に並んで砲身は芦ノ湖に全て向いている
「それにしても暑いなホントに、おい!エアコンちゃんと入ってるのか?」と戦車隊隊長
「はい、最強になってます」と隊員
「それにしても戦車って言う物は日本で乗るもんじゃないな。蒸し暑くてかなわん」
すると芦ノ湖の湖面が上がった。何かがマナの居る檻へと一直線に向かっている
「隊長!ロボットです」
「分かってる、戦闘準備!」
そして湖面に20メ−トルの水柱が引き、巨大なロボット兵器が姿を現した
戦車隊は一斉にロボットに攻撃を開始した。その砲撃をぬうかのように高速で突き進むロボット兵器
ネルフ本部内
第1発令所
ミサトが仁王立ちでモニタ−を見て戦況を分析している
その後ろの司令席に座っているゲンドウが
「シンジ、今、戦自から正式にエヴァの発進要請があった。よってこの作戦は正式な物だ………シンジ、頑張るんだぞ」とシンジに言う
初号機エントリ−プラグ内
シンジがいつもに増して真剣な顔で座っている
「父さん、分かってるよ。無理言ってすまなかったね」
『なに、気にするな』
『シンジ君、今回の作戦はもし失敗したらロボットの頭上にN2爆雷を投下するわ。その時は中の少年もいっしょに蒸発するわ。つまり、彼を救えるかはあなた達しだいよ』と説明するミサト
「分かりました。できるだけ時間を稼いでください。彼はこちらで何とかしますから」
『少しの間なら大丈夫よ。爆撃機が来たら、MAGIをつかってN2爆雷の投下コ−ドにジャミングをかけるわ。これですぐには投下できないはずよ』とリツコが言う
『それから、もしロボットが外輪山の外に出たらアンビリカルケ−ブルを切り離して全速力で追って、内部電源が切れてもかまわないわ』とミサト
「すいません、僕の為に皆さんにこんな事までしてもらって……」
『何いってんのよ。これくらいの事』とミサト
『そうよ、あなたは私の弟みたいなものなんだから、少しは姉らしい事させてよ』とリツコ
「アスカ、レイ、ごめんね。迷惑かけて」
『全く昨日からそればっか。私は迷惑なんて思ってないわ。シンジの為だもの……』と弐号機に乗りながら言うアスカ
『そうよ!』と零号機内で言うレイ
『さあ、出発よ。各機、発射口へ』
そして発射口のトンネルを登り地上の発射口から出てくる初号機
同じように山側に待機する零号機、対岸に待機する弐号機
湖岸の国道138号
上陸するロボット兵器。それに向かって砲撃を続ける戦車隊
しかし、効果は無く逆にロボット兵器の機関銃によって戦車は破壊されあたり一面が火の海と化す
そしてロボットは囮、マナの元へと着いた
彼女と向かい合い彼女を檻ごと持ち上げてそのまま逃げようとする
彼女がいるのも関わらず攻撃の手を緩めない戦自
そのすさまじい爆音に恐怖するマナ
「きゃああああああああああああ!」と悲鳴を上げる
ロボット兵器はそのまま街を抜け山へと逃げようとする。しかしその前に現れ止めようと対峙する初号機
その姿に気づくマナ
「シンジ!」
初号機エントリ−プラグ内
マナが居る為うかつに攻撃できないシンジ
「リツコさん、あのロボットとの通信を開いてください」と無線で発令所に居るリツコに言うシンジ
『ダメよ。通信がカットされてるわ』とリツコ
「MAGIであのロボットの制御コンピュ−タにクラックをかけることはできないですかね?」
『そんな事無理だってわかってるじゃない。構造も分からないのよ』
「そうですよね………でも、これじゃうかつに近づけないですよ」
こんな事をしていると発令所に新しい情報が入ってくる
『新厚木基地から入電、N2爆雷をつんだ重爆撃機が発進準備を整えて離陸したとの事です』とシゲル
『日本政府と軍統合作戦本部が回線に割り込んできました、どうしますか』とマコト
『すべてキャンセルして』とミサト
『爆撃機が有効範囲内に入りしだいジャミング開始。少しでも時間を稼いで』とリツコ
するとロボットは隙を見てジェットエンジンを吹かして高速で山へ向かった
「シンジ!」煙の中助けを呼ぶマナ
『レイ!そっちに向かったわ。何とか食い止めて』とミサトはレイに指示を出す
初号機と弐号機はアンビリカルケ−ブルを切断して全速力でその後を追いかける
『目標のロボット兵器が移動を開始、初号機と弐号機が後を追いかけています』
『N2爆雷をつんだ爆撃機が有効範囲内に侵入、ジャミングを開始します』
シンジは稼動限界を気にせず全速力でロボットの後を追う
『初号機及び弐号機、活動限界まで後4分30秒』とマヤ
そして目標のロボット兵器は零号機の前にやって来た
『目標、零号機と接触!』
『零号機、強い衝撃を受けました!』
『ダメです、目標を押さえる事ができません。目標外輪山を越えます』
『新御殿場観測所から入電、ロボットを肉眼で確認。新御殿場市に緊急避難勧告が発令されました』
ロボットは新御殿場市内に侵入。それを見てパニックを起こす群衆
『零号機、アンビリカルケ−ブルを切断!』
『全機、目標を追跡中』
エヴァは全機全速力で追っているがなかなか追いつく事ができない
「くそ!相手が速すぎる」とシンジ
『目標、新御殿場市街を通過、愛鷹山方面へ』
『N2爆雷へのジャミングを強制解除されました。いつでも爆撃ができる状態です』
『軍総合警戒管制センタ−から入電、爆撃の為エヴァが邪魔だからどけろ、と言ってきています』
『爆撃機、目標への計測を開始!弾倉の扉開きます!』
時間は経ち初号機の活動限界まで残り59秒。上空には爆撃機が肉眼で確認できるようになっていた
『初号機、1分を切りました!これ以上の追撃は危険です』とマヤ
『新御殿場観測所から入電、目標を見失ったそうです』とシゲル
『管制センタ−から、再度エヴァの停止を求めてきています』とマコト
『シンジ君、戻って!』とミサトは無線でシンジに告げる
「そんなわけにはいきません。まだマナが居るんです……まだ行けます!」とシンジ
『リツコ!』
『シンジ君……マヤ、初号機に停止信号を送って!』とリツコ
『分かりました……停止信号を送信!……ダメです、受け付けません!パスコ−ドが変更されています!』
『くっ!…シンジ君………強制シンクロカット、急いで!』
『し、しかし……』
強制的にシンクロをカットする為精神に対する負担が大きい。だから、マヤはためらったようだ
『命に変えられないわ!』
『分かりました、………だめです!MAGIが命令を受け付けません!』
シンジは出撃の前にMAGIに細工をしていたようだ
それを聞くとミサトはレイとアスカに指示を出す
『レイ!アスカ!目標変更!シンジ君を捕まえて!』
その指示に対してアスカが
『それはできないわ。私、シンジの邪魔したくない……』と言う
レイはなにも言わないがシンジとある程度の距離を保ちながら追跡している所を見るとアスカと同じ意見のようだ
そして初号機は活動限界に達した
『初号機、活動限界!………』
エントリ−プラグ内は赤く変わる。初号機は停止した
草原
草原に横たわる初号機。その前に静止するロボット兵器
初号機のエントリ−プラグをエジェクトしシンジが出て壊れたおりの中に倒れているマナに近づき抱き起こす
「マナ」とシンジは呼びかける
マナはそれによって気がつく、そしてシンジに向かって
「シンジ…」と言う
ロボット兵器からムサシが降りてきた。それを見ているシンジとマナ
ムサシは笑顔になる
「マナ!」とムサシ
そんな事をしていると影に覆われる。上空には爆撃機が迫っていた
シンジは無線機を取り出して直通回線で発令所に連絡をいれる
「今、二人の身柄を確保!すぐに爆撃を中止させてください」と
『……分かったわ………日向君、戦時管制センタ−に連絡、攻撃を中止させて』とミサト
『はい………ダメです。あちらが通信回線を開いてくれません』
『ちっ……初めから彼らをこうするつもりだったのか………シンジ君、連絡がつかないわ、よって攻撃は続行されるわ。早くその場から離れて!』
「…!…分かりました」
と無線をきるとムサシがマナのところに来て二人は抱き合っていた。その姿はまるで恋人のようだった
その姿を呆然と眺めるシンジ
発令所
『初号機上空に爆撃機を確認』
『N2爆雷投下1分前です』
『いかん!赤木博士!』と叫ぶゲンドウ
『………再ジャミング、できる?』とリツコはマコトに聞く
『もう間に合いません!投下体勢に入っています。それに今からではコ−ド解析をするには時間がありません!』
『くっ!…………シンジ…』
入ってくる情報は絶望的な物だけだった
草原
眺めていたが今自分のすべき事に気づくシンジ
「二人ともこっちに来るんだ!もうすぐここは爆撃される。一緒にエヴァに乗れば何とかなる」
それに気づいて抱き合うのをやめてこっちを向くマナとムサシ
ムサシは何かを決めていたようだ
「君はマナの恋人か?」とムサシ
「そうよ、彼がシンジ。私の大切な人…」とマナ
「………そうか。なら、君にマナを任せよう。マナを頼む」とムサシは言うとマナを引き離しシンジの元へと連れて行く
「さあ、二人ともこっちへ…」とシンジ
「いや、俺は乗らない。マナだけ頼む」
「……どう言う事?」とマナ
「俺にはやらなければならない事がある。マナ、お前は行け!」
「そんなの嫌!ムサシが乗らないなら私も残る」
「わがままを言うな!」
「絶対にいや!」
「………そうか」と言うとムサシはマナを殴った。それによりマナは気絶してしまった
「いいんですか?」とそのムサシの行為を見て言うシンジ
そのシンジの姿を値踏みするかのように見るムサシ
「……君なら、マナの事を任せられそうだ。頼む」と決意に満ちた表情で言う
その表情を見て決意を変えることはできないと悟るシンジ
「……分かりました。マナの事は僕が絶対に守ります!」
「ありがとう」と言うとムサシは自分のロボットへと戻って行った
シンジはその後姿を見るとエントリ−プラグへと向かって行った
その姿は最後まで妹を守る兄の姿だった
N2爆雷の投下
すさまじい威力のN2兵器。その威力は前世紀の核兵器を凌駕すると言われ、現存する全ての兵器の中で最強の破壊力を誇る
そこにあるものを全て破壊する。今回も全てを破壊したロボットも………初号機を除いて………
初号機のエントリ−プラグ内
マナとシンジ
「…………」何も話せないマナ
「マナ………」と声をかけるだけのシンジ
「…………シンジ」
「マナ……」
「ムサシが…ムサシが…ムサシが…」
「彼は自分のロボットへと戻って行った……僕に君の事を託して………」
「ムサシは生きてるよね?……」
「…………」
「生きてるよね!?」
「………マナ、僕はムサシさんの代わりはできないけど、マナを守るよ!……ムサシさんと約束したんだ。マナを守るって!」
「………シンジ………ありがとう!」と言いながら泣くマナを抱きしめることしかできないシンジ
N2爆雷の作ったクレ−タ−(爆撃の跡)
その中心には水銀のような金属の塊があった。それは多分あのロボット残骸だろう
草原は消え赤茶色の荒野のみが残った
第1発令所
「軍の管制センタ−より入電、“作戦は成功した。協力を感謝する”ネルフの被害状況を聞いてきています」とシゲル
「今、調査中よ。ロボット側の生存者を聞いて。それとこちらの関係者がいるのに攻撃した事について抗議しておいて」とミサト
「ロボット側の生存者………ゼロ……、爆心地にはとけた金属の塊だけが確認されたとの事です」
「シンジはどうした?助かったのか?すぐに探せ!」と上の司令席でうろたえながら指示を出すゲンドウ
その時シンジから連絡が入った
『こちら、碇シンジです。マナの身柄を確保しました……ただ……ロボットのパイロットは助けられませんでした』
それを聞くとゲンドウは慌ててシンジに聞く
「シンジ、無事か?助かったのか?」
『父さん。何言ってんだよ、助かったから、連絡してるんだよ』
それを聞くとゲンドウだけで無く発令所のみんなもレイもアスカも安心した
『ところで悪いけど、すぐに回収班をよこしてくれますか?このままじゃ帰れないんですけど』
「分かったわ、すぐに向かわせるから、待ってて」とミサトはシンジに言うとマコトに指示を出した
数週間後ネルフ本部内総司令室
マナの身柄を求めて戦自と政府の関係者が来ていた
ネルフ側はゲンドウとシンジが居る
「霧島マナは我々が管理します。ネルフには関係のないことです。すぐに返してもらいます」と政府関係者
「霧島マナはチルドレン候補だ。よって彼女の管理はネルフ技術部が行う」とゲンドウ
「それは、こちらの手違いで間違いだと言ったはずです」
「ネルフで再検査をした結果、彼女には候補の資質があると分かったんです」とシンジが嘘の報告をする
「そんな事は関係ない。そちらがそこまで言うなら、正式な法的手続きを通して返してもらうぞ!」と戦自関係者
「我々は超法規的機関だ。どんな正式なものでもそんな事は効かんよ。まあ、安保理の全会一致での承認があれば別だが少なくともアメリカ・ドイツ・イギリスと中国はこちらの味方につくでしょう」
「それにそんな事をしたら、今までのロボット兵器の計画も少年兵についてもばれます。そしたら中国の反発や国連少年人権委員会の監査は免れませんよ」
「それなら、今後一切そちらの使徒戦に協力しないぞ!」
「我々、ネルフをなめてもらっては困ります。そちらがそう言う気なら、こちらもやりますよ。我々がやろうと思えば、日本中の電力をストップできるんです。そうしても良いんですか?」といつもと違う不気味な笑みを浮かべながら言うシンジ
「…………政府を脅すつもりですか?」
「さあ!?」
「……………分かった。彼女の身柄はそちらに預けましょう。ですが彼女はわが国の秘密を知りすぎた。日本にいられては困ります」
「そうか。ならば、日本以外ならいいんだな?」
「はい」
「分かった。その事はこちらに任せてもらおう。彼女は海外で保護する」とゲンドウ
「父さん!?」
「ご理解していただいて助かりました。ではこれで」と言うと二人はいなくなった
シンジとゲンドウしかいない部屋
「どう言う事だよ、父さん?」とシンジ
「まあ、シンジ良く聞け。彼女をこのまま日本に置いとおいたら戦自に襲われるかもしれないんだぞ。それなら海外においた方が安全だ。これからも使徒は来るのだ、彼女を守っていくのは困難だ。使徒との戦いが終わったら呼び戻せば良い」
「……………うん……………わかったよ」と納得すると部屋を出ていった
同本部内居住施設
マナはここで保護されているのである
マナの部屋の前
シンジはチャイムを鳴らして部屋に入った。その中にはマナが待っていた
キッチンでシンジの為にご飯を作っていた
あの事件から毎日シンジはここにきてマナを慰めては一緒にいた。その結果マナはだんだんと元気を取り戻していった
「シンジ、待ってたのよ」とマナ
しかし、シンジにいつもの元気は無かった。一時であれ、マナに自分から別れを言わなきゃならないからである
「マナ、ちょっとここに座ってくれるかな」とシンジ
「何?」と言うとシンジの前に座るマナ
「マナ、君にはこれからオ−ストラリアで生活してもらう」
「ちょっと、どう言う事よ?」
「さっき、戦自との約束で君が日本にいてもらっては困ると言う事で………」
「………でも、シンジはずっと私のそばにいて私を守ってくれるんじゃなかったの?」
「そのつもりだ。でも君がここにいたら危険が増すだけなんだ………今、僕は使徒と戦っている、それで精一杯なんだ、マナを守る事ができないかもしれない。だから頼む、オ−ストラリアに行ってくれ」
「シンジ…………」
「…………ホントは僕だってマナと別れたくないんだよ。でも日本にいたら……………必ずこの戦いが終わったらすぐに迎いに行く。だから待っててくれ。その後は君だけを守って見せる……!」と泣きながら言うシンジ
「………分かったわ………私、行くわ。そして、必ず待ってる、だから迎いに来てね」と同じように泣くマナ
そして自然と抱き合いキスを始める二人。そのキスは長かった
そしてそれはどちらとも無く終わった
するとドアの方から物音がした
「誰ですか?」とシンジ
それは加持だった
「またしても、すまないね。良い所を邪魔して。マナ君、準備して、すぐ出発するよ」
「ええ、もうなんですか?」とマナ
「ああ、早い事に越した事はないからね」
「…………はい」と言うと渋渋準備を始めるマナ。それを手伝うシンジ
第三新東京国際空港
マナを見送る為シンジ、アスカ、レイ、ミサトが来ていた
「じゃあ、いって来るね」と元気良く言うマナ
「頑張ってね、マナ。ゼッタイ迎いに行くから」とシンジ
「うん、待ってる。私、待ってるから絶対にこの戦いに勝ってね」
「約束するよ」
「霧島さん、あなたがいない内にシンジは私が取るから」とアスカ
「あらそう?」
ミサトはマナのつきそうでついて行く加持に言う
「あんた、マナちゃんに手を出すんじゃないわよ。シンジ君の彼女なんだから」
「分かってるよ。俺は葛城だけだ」
「あら、お二人ともおあついですね」とシンジ
「あんたほどじゃないけど」とアスカは突っ込む
そうしているうちに出発に時間になった
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
そしてマナはオ−ストラリアへと向かった
この先のマナとシンジの話しはまたまた別の話し
外伝マナとともにはこれで完結です。でも、マナとシンジの話しは本編第二部で続きを書く予定にしています。それまでマナは本編には出ません。
それと、外伝ですが本編との展開上の関係により本編の第十七話公開まで外伝は公開をストップします。すみません