目の前を駆け抜けていった愛しき貨物列車。

相模鉄道のタンク列車


鉄道少年だった頃の全てが、ここにある。中学1年生だった頃。
あのとき、生まれて初めて「全身で感動すること」を覚えた。
思春期。「快感」と言えば男であれば「あの動作」を即答するだろうが、
小学5年頃には既に知っていたと思う。人とは違うことをしたい。
あの頃、そんな気持ちが芽生えていたのだろう。
父親譲りのカメラを片手に、自転車で、何処までも行ける気がして・・・。
とにかく、そこに自力で辿り着いて、シャッターを切れれば満足だったあのとき。





小遣いなんて本当に少しだったから、白黒フィルムだ。もっとも、写真部に入っていたから。
フィルム現像の、待ちきれない時間。仕上がりは・・・うまく行けばそれは最高だが、
黒かろうが、白かろうが、それで良かった。
帰宅部のクラスメイトが家に帰って部屋を暗くして快感にふける頃、私は暗室にいたのだと思う。
既に、「人とは違う自分」を磨きつつあった。





最後尾には、「トフ」という緩急車が連結されていた。やがて緩急車の連結は廃止。
そして運命は、私に「トフ」の最後を記録させる。



    


         


今度はタンク車の形式が変わった。タキ3000という独特の形をしたタンク車から、
タキ43000という、ごく普通の車に移行した。雰囲気が全く違う。かなり戸惑った。

それから数年。何の前触れもなく、列車自体が廃止された。いつもであればある程度の
予感は察知できたであろうが、このときは、まるで人の死を見るようだった。
悪夢としかいいようがない。信じたくなかった。


・・・辛いとき、悲しいとき、この線路際に立てば良かった私だが、
    今現在でも、この、「不思議な力」を持つ線路際は、見つけられずにいる。焦りと不安。


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