潮州蒸魚

 魚の蒸しものは昔から食べてみたかった中華料理やけど、日本やと高級なとこに 行って、福沢諭吉さんにさよならせな食われへん。そやけどシンガポールやとフー ドコートで食べれるんやなぁ。
 英語がほとんど喋られへん店のおばちゃんにメニュー を指さしながらいろいろ聞いて、潮州蒸魚にした。一匹18ドル(1300円ぐ らい)やから、フードコートしては最高級料理。
 魚は「ガルーパ」ていうハタ(クエ)の一種。
 日本では魚は普通横に寝かせるけど、腹を割いてまっすぐに立たせるんが中華。 透明なスープで魚には香菜や生姜の千切りが乗せてある。この千切りがまた見事。 細かい包丁仕事は日本人の十八番て思とったけど、針みたいなほんまに細かい生 姜。もしかしたらカッター使てんのかもしれんけど。
 まずスープを掬って飲んでみる。
 え?酸っぱい!それも梅干しの酸っぱさ。探してみたら、スープの中に酸っぱ い梅干しみたいなもんが入っとった(写真右側の赤黒いもん)。あと、魚に乗ってる漬け物(黄色い細いもん)もちょっと酸っ ぱい。そしてトマトの酸味もプラス。魚の身から出るほのかな甘みとうまみとこの酸っぱさが合わさって、豊か な風味が生まれてる。
 お箸で魚の身をつまむ。背骨から離れた部分はほろっと身が取れるけど、背骨 の部分はちょっとだけ取れにくい。そしてこの背骨に近い部分の身の方が弾力が あって口の中で身がはじける。これ、蒸し加減を完全に見切ってるわ。もうちょ っと蒸しすぎたら背骨に近い部分の身は骨から外れやすぅなるけど、スープに浸 かってる腹身は加熱しすぎになってまう。プロの仕事やなぁ。
 いや〜、すごかった。贅沢した〜!この味でこの値段やったらめちゃくちゃ安い!
 帰ってきてからネットで調べてみたら、ガルーパの蒸しものて中華の中でも高 級料理らしいわ。知らんかった。

(ジュロンイースト駅近くのフードコートにて)
関西グルメガイド