地酒

 ここでは地酒、主として純米吟醸酒について紹介します。「日本酒」とタイトルに付けたらええんかもしれんけど、大メーカーの作る日本酒はまずいから。有名な酒については純米酒でなくても紹介してます。
☆地酒入門
1998/12/13 日本酒は中年オヤジの飲み物だと思っている人と、ワイン大好きの人へ
1998/12/13 地酒の買い方
1998/12/13 地酒の飲み方
1999/07/19 「アルコール添加」と「二級酒」の解釈について

1998/12/23  純米大吟醸 (愛知 関谷酒造)
1998/12/23 梅錦 純米大吟醸(愛媛)
1998/12/23 くどき上手 純米大吟醸 亀の井酒造(山形)
1998/12/23 夏子の酒 純米 (越後 久須美酒造)
1998/12/23 かるべの郷 純米吟醸(但馬 葵酒造)
1998/12/23 小鼓 地楽 純米吟醸 (丹波 西山酒造)
1998/12/23 香住鶴 純米吟醸 (但馬 香住酒造)
1998/12/23 綾菊 純米大吟醸(香川 綾菊酒造)
1998/12/23 一吉 純米吟醸(福島)
1998/12/23 李白 純米大吟醸(島根 李白酒造)
1998/12/23 秋鹿 千石谷 純米吟醸 (能勢 秋鹿酒造)
1998/12/23 上善水如
1998/12/23 越の寒梅(越後)


 ブランド名だけ書いているのは、店で飲んでデータの詳細が分らないものです。また、店で飲んだら、料理のうまさや雰囲気もあって、部屋で一人で飲むよりも美味しく感じ、点数も甘くなってしまいます。

1998/12/13日本酒は中年オヤジの飲み物だと思っている人と、ワイン大好きの人へ

 だまされたと思って、ここでAランクを付けてる酒を冷蔵庫で冷やしてから飲んでみてください。それであかんかったら、ホンマに日本酒があかんのですわ。でも、たいがいの人は、TVで宣伝してる&自動販売機で売ってるエチルアルコール添加酒を日本酒やと思ってる。あんなんは、日本酒やなしに、アルコール飲料です。
 例えば、ワインはぶどう100%というのが常識やん。ヨーロッパやと、麦芽とホップだけで造らなビールとは認められへん。日本酒も、元々、米と米麹だけで作ったもんだけ本来の日本酒やん。そやけど、今の「日本酒」は、その大半が醸造用アルコール(エチルアルコール=化学実験で使うアルコール)を添加したもんですわ。純米酒をことさら純米酒、てアピールせなあかんほど、今の日本酒業界は腐っているし、消費者も日本酒ゆうのは臭くて悪酔いする酒だと思っている(おれも昔はそうやった)。でも、あの臭味や飲んで頭が痛なるんは、エチルアルコールのせいやと思う。おれの場合、純米酒やったら気分悪なったりすることないわ。
 地酒のうまさを知っている人でも、純米吟醸酒を「ワインみたい」ていう人が多い。褒め言葉の意味でゆうてるからおれは黙って聞いてるけど、ホンマは悲しい。日本酒の真の実力が、純米吟醸酒のフルーティな香とうまみであって、ワインと共通している部分がある、ゆうことやん。
 日本民族が、民族の酒である日本酒を低級な酒とし、ワインを高級で上品な酒、というこの現実。こういう国にしてしまった日本酒の大メーカーと、税収優先の立場から混ぜものだらけの酒を日本酒と認めている歴代政府の姿勢には怒りを感じる。おれらの学生時代は、うまい地酒が、二級酒、という烙印を押されてた。焼酎は今でも、真面目に作っているうまい焼酎が乙類で、工業的に作ったアルコールを混ぜた焼酎が甲類、とされる。なんちゅう分類や。
 フランス料理にワイン、中華料理に紹興酒があうように、日本料理には日本酒(純米酒)があう。フランスかぶれした日本料理店の中には、ワインを出す店もある。料理屋の場合、酒にはあんまり気ぃ使ってへん店が多い、ゆうのもある。
 生の魚介類の風味をひきたてるの断然日本酒やで。ワインの弱点も生の魚介類ですわ。一番よぉ分るんが、生牡蛎+ワイン。生臭い香が口いっぱいに広がる。実はこれは「美味しんぼ」に書いてあった話。フランス料理店で試してみたら、ホンマに臭ぁて閉口した。ゆうとくけど、ええ加減な店ちゃいまっせ。プロの料理人の、そのまた先生のやってる高級なフランス料理店で、おれらが行くからゆうて、そこのシェフの奥さんの実家の伊勢から直送してもらった生カキと、きちんとしたワインですわ。
 別にワインが嫌いゆうわけちゃうで。単に、生の魚介類や日本料理との相性をゆうてるだけ。おれ、ワインにも興味はあるけど、地酒の方にもっと興味があるんですわ。そやからワインにはほとんど知識がありません。ワイン好きの人、すんまへんなー。

1998/12/13 地酒の買い方

 ワインはデリケートな扱いをするのに日本酒はどうしてあんなにぞんざいな売り方をするんやろ。おいしい純米大吟醸酒が直射日光のあたるところにむき出しで並べられていたりすると悲しなる。こんな店は大メーカーのアル添酒だけ売っとったらええんやと思う。
 ええ店を選ぶ最大のポイントは、冷蔵庫に日本酒を入れて売っているかどうか。そして、そういう店で、店のおやじさんに聞いて純米吟醸か純米大吟醸を買うたら、大きな失敗はないはずです。

1998/12/13地酒の飲み方

 保存するときは冷蔵庫がええ。
 飲むときも、ええ酒は冷やすとうまみがひきたつ。でも、中には常温の方がうまい酒もあって、微妙なもんですわ。
 一度封を切ったら、短期間で飲み切らなあかん。そやないと、香が飛んで、味も劣化してしまう。
 ただ、酔っぱらうことを目的として酒を飲んでる人にはうまい地酒は飲まさん方がええわ。飲み口がええから、水感覚でガバガバ飲んでしまう。味を楽しめん人にええ酒を飲ませるんはもったいないし、そもそもひどくよっぱらってしもて危険やわ(おれ自身の失敗談です)。まずい酒は、あまり量を飲めへん、ゆう点で、うまくできてるんかもしれんわ。

1999/07/19  「アルコール添加」と「二級酒」の解釈について

上で書いた文章のうち、「アルコール添加」と「二級酒」について、ある方から詳しい解説をいただきましたので、許可を得て掲載します。
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  アル添酒も、戦後のように「水増し狙い」の添加(「三倍増醸酒」といいます)は殆どなくなり、積極的な理由があってのアル添が殆どになっています。しかも添加している「醸造用アルコール」は、化学の実験に出てくるような合成アルコールとは違います。同じエチルアルコール系ですが、さとうきびや米から糖分を取り出して高純度のアルコールを発酵生成したものです。糖の生成に黄麹菌を使いませんので、日本酒とは呼べませんが、米から作るアルコール飲料という点では基本的にこれも「お酒」なんです。もちろん安く売っている「普通酒」は、この醸造用アルコールの添加割合がハンパじゃないので(^^;; エチル臭さを強く感じますが、本醸造に使われるアルコール添加(白米の分量の10%以下に定められています>使用限度)は呑み口をスッキリとさせ、米だけでは甘くダレがちな味を引き締める効果や、火落ち菌繁殖防止、そして、酵母の発酵能力をバックアップさせる効果があり、醸造上必要なもので決して悪いものではないのです。
  純米酒は米らしい味が十分前面に出て、しっかりとしたボディーのある酒となりますが、その反面、一部の貝類や生魚、酸味の強いものと合わせることによって味香の膨らみが消えてしまったり、苦味の要素が出てきてしまうことがあります。淡泊な魚の塩焼きや、卵焼き、サラダ類などを肴にする際は、是非とも「アル添」の吟醸や大吟醸、生酒などを合わせてみてください。
  あとかつての「二級酒」ですが、この「級」というのは「国が決めた酒の質のレベル」を言うものではないのです。平成4年に廃止された級別制度ですが、二級酒とは「無審査の酒」という意味で、特級&一級に関しては、その級に合った仕込みをして作り、蔵元の方から「これを特級として世に出して良い」か否かの判断を国税局の鑑定管に審査してもらう制度を言いました。(級の差は税金額の差であり、当然製品そのものの値段にも跳ね返ってくるわけです)
 つまり級の申請をするのは蔵元側で、品質が伴えばすべて合格。特級に値する仕込みの酒を作っても一級の審査に出せば、それは一級酒として世に出る。審査に出さないで、安く売ることを優先にすればすべて二級酒という扱いになるだけのことです。二級酒の中に特級レベルの品質ものがあってもなんら疑問はないということですね。誰も「二級酒だから低い酒」などという「烙印」など押してはいないのです。
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ということです。ありがとうございます。ただ、イメージ的に、「二級酒」が「一級酒」より劣るというのはあったと思います。

地酒紹介

空 純米大吟醸」 (愛知 関谷酒造)

 フルーティな香、透明感のある味、うまみ、すっきりした喉ごし。口に入れると、陶然としてしまう。それまで、純米大吟醸はかなり飲んで来たのに、「空」を初めて飲んだとき、「これが日本酒か!」、と頭をハンマーで殴られたようなショックを受けた。これまで飲んだ酒の中で一番うまい。究極の日本酒の一つやと思う。ただし、一般の酒店では手に入らへん。また、地酒をあまり知らない人は、最初に「空」を飲んでしまうと、他の地酒では満足できなくなってしまうかもしれない。
   (ランクA+)

梅錦 純米大吟醸」(愛媛)

 甘口。芳醇な味。TVなどでは、甘口の酒を下に見るようなCMが多いけど、純米大吟醸の酒は、辛口の酒でもみな甘みがある。これは米の甘みのはずやと思う。梅錦の甘味はうまさの甘味やと思うわ。女の子にもおすすめの酒。
   (ランクA)

くどき上手」 (山形)

 一言でゆったら、「おいしい水」。香や味で何かを突出させんと、逆にそぉゆうのを極力抑えて、原料の水のうまさを引き出すゆう酒やないかと思う。「淡麗辛口」ゆうのは、醸造用アルコールをたくさん加えてアルコール刺激を強くしたものではない、ゆうのがこの酒を飲むと分る。
    (ランクA)

夏子の酒」 純米 (越後 久須美酒造)

 マンガ「夏子の酒」にちなんだ酒。透明感があってうまい。吟醸酒でなかってもここまでうまいと感動的。
    (ランクA)

かるべの郷」 純米吟醸(但馬 葵酒造)

 地元で栽培した有機・無農薬の酒米を使用。フルーティな香と米のうまみを感じさせる酒。甘口。芳醇。全く無名やけど、実力はピカ一。地元でしか売ってへん酒です。純米大吟醸のランクがあればA+になるはずやけど・・・。
    (ランクA)

小鼓 地楽 純米吟醸」 (丹波 西山酒造)

香住鶴 純米吟醸」 (但馬 香住酒造)

綾菊 純米大吟醸」(香川 綾菊酒造)

一吉 純米吟醸(」福島)

李白 純米大吟醸」(島根 李白酒造)

 以上、あんまり覚えてへんけど、全部飲み切って、しかも瓶を残しているから、かなりうまかったはず。多分、全部Aランクやと思うけど、記憶が定かやないもんでB+にしておきます。
   (ランクB+)

秋鹿 千石谷 純米吟醸」 (能勢 秋鹿酒造)

 純米吟醸らしい味だったと思う。一昨年は一升瓶を全部飲み切ってしまったけど、今年は2合ぐらいしか飲めへんかった。味が落ちたのか、おれの体力がなくなったのか。
   (ランクB)

上善水如」越後)

 一言で言えば「おいしい水」。有名になって味が落ちてたけど、最近はまともになってきたみたい。
   (ランクB+)

越の寒梅」(越後)

 あまりにも有名な越後の酒。手に入りにくぅて、高いのでも有名。これは単体で飲んでもたいしてうまいとは思わんけど、刺身なんかと一緒に飲むと実力を発揮する。ただ、この値段でこの味、と思うと、疑問符。
   (ランクB)


関西グルメガイド