中華料理のこと

 中華料理は油をよぉ使う。そやから、中華料理=油っこい、ゆうイメージを持ってる人が多いけど、それはその店の油の使い方が悪いから。自分でてんぷらを揚げたりしてみたら分る思うけど、最初はカラっと揚がる。でも、同じ油で何度も揚げてるうちに、だんだんベタついてくる。油が酸化してきてるんですわ。
 ちゃんとした店は、油をどんどん捨てます。高級な店では、1組の客の調理が終わったら、その油は全部捨ててしまう。そやから、揚げ物も炒めものも、サラッとしてて軽いんです。逆に悪いのは、フライヤー(油をためた四角い揚げ物専用の調理器具)を使ってる店。フライヤーでも、頻繁に油を替えたらええんやけど、普通は全然替えへん。そやから、ベタベタの揚げ物ができ上がる。酸化した油は身体にも悪いです。ちゃんとした中華料理屋では、揚げ物も炒め物も全部中華鍋一つでやります。
 揚げ物の基本は、二度揚げやそうです。一回目は、軽く揚げて引き上げ、水分を飛ばす。そして二回目に中まで火を通す。表面はカラっとしてて、中身はジューシー。これが揚げ物です。表面は油でベトベトで、中身は火が通りすぎて硬なってる、ちゅうのはあかん。てんぷらとおんなじで、中までしっかり火が通ってるけど、材料が硬ならんと、肉はジューシー、海老はプリっとした状態。その見極めが揚げ物の極意ちゃうかな。
 焼飯も二度焼きが基本みたい。一回目は軽く焼いて一端ザルに取り、そのまま冷まして水分を飛ばす。そして二回目に味を入れる。焼飯を下手が作ると、御飯がダマになったまま、まだらになっている。ちゃんとゴハンをほぐそうと、油を注ぐと、ベトベトになる。少ない油でパラっと仕上げるのはホンマに難しい。中華料理店でも、焼飯は腕の差が出やすいて思う。
 「美味しんぼ」によれば(というより、周大人のモデルである周富徳によれば、やろけど)、中華料理は火の料理であり、炒め物が基本やてゆう。でも、おれの知ってる中華料理の料理人によれば、スープが基本やてゆう。日本料理やったら、ダシが基本やし、フランス料理もスープが基本。中華料理だけ炒め物が基本、ゆうわけやないやろから、おれは中華料理でもスープが基本やと思う。
 おれ、初めての中華料理屋やと、ラーメンと焼飯を食います。ラーメンはスープを、焼飯は炒め物の味をみるためですわ。
 中華料理でも、宮廷料理は薄味です。鍋料理というと、日本料理の専売特許みたいなイメージあるけど、中華の火鍋(ホーコー)という鍋料理は、鶏のスープで炊く薄味の料理。辛いイメージのあるインド料理やタイ料理でも、宮廷料理やと薄味のものが多い。日本でも、関西は薄味やし。
 日本では、餃子=焼餃子ゆうイメージやけど、本来は、餃子=蒸し餃子らしい。焼餃子は、残り物の餃子を食べるためのやり方らしい。それと、日本では、餃子にはニンニクを入れるのが普通やけど、本来はニンニクは入れんのが普通らしい。ニンニク入りの焼餃子ってのは日本のローカル食らしいわ。
 あと、特に高級店に予約を入れた場合は、時間厳守で。これは中華料理だけやなしに、どこでもおんなじ客としてのマナーやけど、おれはこれで失敗してるねん。
 阪神高速がめちゃめちゃ渋滞しとって、予約しとった梅田の某高級中華料亭に1時間半も遅刻。出てきた料理は全部まずかった。で、後で知り合いの中華の料理人に、それはあんたが悪い、てゆわれた。なんでも、主任は夜は早ぉに帰ってしまう。一人6000円程度以上の客の料理は主任が作るけど、夜の時間に1時間半も遅刻したら、主任はとっくに帰ってしもてる。多分、下ッ端が作ったんやろ、てゆうことでした。
(1998/12/30)


関西グルメガイド