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美術教育史研究で取り組んでいる課題
○大正・昭和前期中等学校図画教員総覧の作成
 ○戦前期図画教科書総覧と内容の変遷
 ○近代日本における鑑賞教育方法論
 ○版画教育実践のひろがり

 美術科教育方法論で取り組んでいる課題
 
○表現主題論:表現主題が感情像であるとし、さらにそれは像と感情の言葉で近似的分析ができるはずである。そこから表現主題を
 像と感情の言葉で便宜的に設定することで、捉えにくい表現主題を設定できるとする。
 →「表現主題を感情と像の言葉で分析・構成させる美術教育方法論」『茨城大学教育学部紀要(教育科学)』第59号、2010年、47-64頁。

 
○絵画表現階層的変容論 
 ○授業過程論
 
 
○鑑賞教育方法論

美術科教育内容・方法のシステム化の構想

以下のように美、美術の方法論、美術科教育の基礎概念を設定し、整合的な体系とする。
 美の定義       : 感情的イメージとして直接的に体験される精神的価値
 美的体験       : 感情的イメージ意識 (現実意識と対照的である)
 美術の定義      : 感情をも組織化する視覚的イメージの構成表出
 美術の方法論の定義: 現実認識とは違う、美術独自のイメージ創出の方法
 美術の作品の定義 : 美術独自のイメージを現出する様々な方法論の結集体(装置)

 美術科教育の定義 : 学校教育の中で普通教育として行われる美術教育
 美術科教育の目的 : 美術の方法論の理解及び実践
 美術科教育の内容 : 美術の方法論
 美術科教育の教材 : 美術の方法論を理解させるために採用・変形された美術の諸活動、あるいは鑑賞対象としての作品
 美術科教育の方法 : 上記教材を生かす方法
 美術科教育の人間像: 芸術知(美術知)的人間
 感動、自己表現、楽しさなど:指導上の必要条件

 美術の方法論 一つの作品において統一されているのであるが、便宜的に以下の三側面に分類
 1.作品の内容的側面      題材の選択、主題の設定、イメージ・レトリック、指示表出性の強化
 2.作品の形式的側面      イメージ生成手法、想像的視点、造形要素の構成、自己表出性の強化
 3.作品の形成的側面   素材、技法、物質性の強化

美術科教育の教授学的課題

 1.美術科教育の教育内容(目標とする美術の方法論)
  ・作品の三側面における方法論の下に、それぞれどのような下位項目がどのような体系をなしているか。
  また、児童・生徒に理解・体験させるべきは、どのような美術の方法論か。

 2.美術科教育の教材(美術の方法論を理解・実践させるために採用・変形された美術の諸活動、または鑑賞対象としての作品)
   美術教育教材の要件は何か。美術の諸活動はどのように採用・変形されるべきか。鑑賞教材としての作品をいかに体系化をすべきか。

 3.美術科教育の授業方法(美術の方法論の指導法)
   美術の方法論は、どのような方法であると効果的に理解・実践されるか。その一般原則の確立
   例 構想は素材を意識しながら立てられなければならない。

 4.美術科教育の学習者(児童・生徒に美術の方法論はいかに理解されるか)
   美術の方法論は学習者にどのように理解・体験され、どのように既得の体系を変化させるか。
   その一般原則の確立。表現意識の変容と学習の道筋は、どのような関係としてとらえるべきか。
   例 一般的には小学校4年前期で表現意識の転換が起こる(正確には、新しい表現意識が多数派となる)。