知っているとちょっとトクする花知識

花は見て楽しむ、香を楽しむだけのものだと思っていませんか?
そして、花は自分が楽しむ他に、贈って相手にもその喜びをおすそ分けすることもできます。でも、どんなときにもTPOに合った花を贈りたいもの。そんなとき、知っていて損はない色々な知識をまとめてみました。何かのお役にたててください。


アロマテラピー
ハーブティー
歳時記
花を贈るとき気をつけたい事


アロマテラピー
花や葉のなかに含まれる香を濃縮して作られたエッセンシャルオイルは心と体をリラックスさせてくらます。カップなどに入れた熱湯に数滴たらして、その香を楽しみます。
ペパーミント:気持ちをリフレッシュさせてくれます。眠たい時にも。
ユーカリ:部屋の空気をきれいにしてくれます。花粉症、ペットをお部屋で飼っている方に
ラベンダー:ストレスを解消してくれます。リラックスしたいときに。
イランイラン:気持ちを高めてくれます。落ち込んだときに、是非!
ベルガモット:気分転換に効果があります。
ローズマリー:精神集中したい時に。記憶、集中力がアップします。受験生の部屋にいかが!
サンダルウッド:体をクールダウンしてくれます。スポーツの後に。

ハーブティー
ハーブティーには4つの効果があります。それぞれ目的にあったお茶を楽しんでください。
体を温める:カモミール、サフラン、オレンジフラワー
体を冷ます:スペアミント、ペパーミント、ユーカリ
体を動かす:マテ、ハイビスカス、ローズマリー
体を静める:ラベンダー、リンデン、ベルベーヌ

花を贈るとき気をつけたい事
せっかく心を込めて贈った花もマナーを間違うと、大変です。相手を不快にさせてしまったりもします。逆に、ちょっとした心使いで、思った以上に喜んでいただけることもあります。より効果的にお花を贈れるようなちょっとしたアドバイスです。
お見舞
花の数:4,9,13などの不吉とされている数は避ける。花の種類もできればこの数は避けたほうが無難でしよう。
花の色:強烈な色合いは避けましょう。特に赤は血の色を連想させますので、お見舞にはふさわしくない色です。
大きさ:病院のスペースは限られています。あまり大きくないもののほうが喜ばれます。
避けたい花
鉢植え』「根付く」が「寝付く」を連想させるため
香の強いもの』普段はそれほど気にならなくても、ずっと、ベットに寝ていると、花の香もうっとうしくなってしまいます。
花粉の多いもの』花粉が落ちて、汚くなったり、空気を汚してしまったりします
散りやすいもの』掃除も大変ですし、散ってしまうということが「はかなさ」を連想させてしまいます。
花首からぽろっと落ちる花』椿などで、不吉な印象を与えてしまいます。
シクラメン』4と9のイメージ。
』お悔やみのイメージが強いので、特に年配の方には避けたほうが無難です。ただ、最近はスプレーマムなど、かわいらしい洋菊が多く出回っているので、お悔やみのイメージもだんだん薄れてきています。
お悔やみ:地域、宗教などによってさまざまなしきたりがあります。確かめてから贈りましょう
結婚祝:花言葉なども考慮に入れて、「別れ」など不吉なものは避けましょう。
お誕生日:解っていれば、相手の好きな花がベストです。好きな花が解らないときは好きな色などを思いだしてください。
鉢植え:育てやすい物を選びましょう。また、新築祝などで観葉植物を贈るときは大きさにも気をつけましょう。お店でみると部屋に置くより小さく見えます。大きすぎると置き場所に困ります。


歳時記

われもこう

秋の七草を知っていますか?春の七草は有名ですが、秋..となると、ちょっと..という方、多いんじゃないでしょうか?

『ハギ(萩)、オバナ(尾花)、ナデシコ(撫子)、クズ(葛)、オミナエシ(女郎花)、フジバカマ(不藤袴)、キキョウ(桔梗)』

これが、秋の七草です。みんな、風情があって、しかも控えめな花たちです。
ちなみに尾花とは、ススキの花穂の部分のことです。尾(しっぽ)のようでしょ!

夏がもうすぐ終わりだな...と感じられるころになると、お花屋さんの店先には、この「秋のはな」たちが、ぞくぞくと登場してきます。
リンドウ、キキョウ、オミナエシ、コスモス、........。
パステルトーンの春の花たちと違い、なぜか秋の花たちは、日本的なちょっと渋めの花が多い...。
そして、日本的がゆえか、ネーミングがステキ!
漢字に直すと、さらに、名前の奥にストーリーが想像できますよね。まあ、当て字だったりするものまありますし、こじつけのもの、通称だったりするもの、いろいろありますが、それぞれ「なるほど!」と思ってしまいます

残念ながら、「秋の七草」には入っていませんが、私は『われもこう』というネーミングがとても、気にいっているんです。「吾亦紅」、「吾木香」、「吾毛香」など、いろいろと漢字があてはめられています。

吾も亦(また)紅なりとひそやかに      高浜虚子

秋の野山で、ひっそりと、紅というより濃いエンジ色といったほうがいいような、楕円形の実(実は花なのですが)をつけている「われもこう」。でも、実は、この花、バラ科なのです。「花の中の花」と、みんなに賞賛されるバラの仲間でありながら、よく注意してみなければ、気付いてもらえないような、ちょっと地味な存在の「われもこう」。だからこそ、「わたしも赤いんですよ!」と主張したくなってしまうんでしょうか。

そして、これはまったく一般的ではありませんが、堀田あけみさんの小説に『われも恋う』(角川出版)というのがあります。「吾(も)亦、恋う」.....なんて素敵なメーミングでしょう。
私もあなたのことが大好きですよ!そんな気持ちを込めて「われもこう」を贈る。ただ、それには、ちょっと見栄えがしない花なのが残念ではあるのですが。でも、かすみ草のように、沢山を束にしてみたら、なかなかすてきな花束になるかもしれません.....。
『われも恋う』のストーリーは、ひょんなことからお花やさんでバイトをすることになった男性が、憧れのひとの彼から、彼女へのプレゼントのバラの花束を作るようにたのまれる..というようなものなのですが、花屋が登場するお話というのは、以外と少ないので、こういう仕事をしている私には、とても面白かったのです....。

普段、何気なく口にしている花の名前も、ちょっと漢字を思い浮かべながら話をすると、きっと、いつもと違った親近感が湧いてくるはずです。


きく

バラは「Rose」、ユリは「Lily」、では、『菊』は??

菊は英語で、「Chrycanthemum(クリサンシィマム)」というんですよ。ご存じでしたか?かく言う、私も、実は、知りませんでした。こんなに、一般的な花なのに..。しかも、「the land of Chrycanthemum」というと日本の別名なんだそうな。『菊の国』、それほど、日本と菊は切っても切れない仲なんです。なのにもかかわらず、「一番好きな花は?」と聞かれて、菊と答えるひとが、どれだけいるか....。

菊というと、どうしても、「お悔やみ」のイメージが付いてまわります。でも、菊を「お悔やみ」に使うというのは、日本だけ。先日亡くなった、ダイアナさんのニュースで、連日、献花をする人々、門の前に、溢れんばかりに供えられた花の映像を写していましたが、一般的に外国では「カーネーション」、「バラ」、「ユリ」などが使われます。ですから、当然、外国の方は、菊=「お悔やみ」というイメージはないわけで、日本で、仏壇用に売られている「仏花」(菊と2〜3種類の花を混ぜて、お花屋さんの店頭にあるやつ)も、そういうかたたちには、ただの花束にしか見えないらしく、お部屋に飾る目的で、買われる方がいるんですよね。

まあ、外国でも菊はあるんですが、でも、「輪菊」といわれる大輪の、1本の茎に1輪だけ咲いているタイプのものはほとんどないらしいんですが...。最近では、「スプレーマム」と呼ばれる洋菊が随分、入荷してきています。これは、色もカラフルですし、いかにも「菊」という感じがしません。ですから、アレンジなどにも、使われるようになってきました。私もそれほど「きく」が好きなわけではないのですが、でも、こうして、なかなか受け入れられない「きく」にもっとスポットがあたればいいな...と思ってはいるのです。ですから、一度でいいから、「きく」のブーケを....と、ずっと考えていました。でも、ほかにも、そういうことを考える人がいたんですよ。今月号(10月号のP.114)の「フローリスト」という花の雑誌に小酒井さんという方のデザインの「きく」をつかったブーケが載っているではないですか....。「先を越された!」(笑)

菊には独特の香があります。この香には、外からの邪気や毒気をはらう涼血解毒作用があります。ですから、「お悔やみ」に使われるというのも、理にかなってはいるんです。ただ、最近の菊は、どうも、香が少なくなってきたようです。品種改良が進むと、花のいろとか、大きさとか、そういった外見的なものを優先させてしまうので、香はどうしても、あとまわし。フリージアなども、そうです。室町時代には、「菊まくら」といって、乾燥させたく菊のはなびらを、絹の袋にいっぱい詰めて、それをまくらにするのが、身分の高い人の秋の楽しみのひとつだったとか....。

そうそう、白い菊は、頭痛、めまいに効くらしいです。こうして、ワープロや OA機器と長時間にらめっこした疲れた目にもいいらしいです。でも、デスクの上に白い菊を置くっていうのも、ちょっと.....ですけどね。


ラン

 近ごろあまり人気のない花ですよね。「ラン」は..。
 一時はブライダルグーケというと「カトレア」とか「コチョウラン」「デンファレ」を使うことが多かったのですが、今では、ブーケをオーダーしてくださるかたとお会いして、デザインの相談をすると『ランは使わないでください!』という注文をされるかたの多いこと。
 個人的にもそれほどランが「好き!」という訳ではないので、嫌いなものを無理強いすることもなかろうと思い、ほとんどランを使うことはないのですが....。(白のデンファレだけは時々使わせていただいていますが)
 でも、ブーケには「ラン」はほんとは向いているんですけれどね。なっていっても花持ちがいい!しかも、豪華!今のブライダルの流行は『ナチュラル』のようですが、やっぱり、一生に一度のセレモニーですから、それなりの「豪華さ」っていうものも必要だと思うんですよね。『ジミ婚』ばやりですから、今どきキンキラに飾りたてて、ゴンドラに乗って(おいおい!)っていうのは「ちょっと..」というかたが多いのはわかります。私もハデがいいと思っているわけではないのですが、『品格』っていうものが必要じゃないかな〜〜と。
 花にも『格』というものがあります。どちらがよくて、どちらが悪いというものではないのですが、野に咲く可憐な花と、ランのように豪華な花とは、一緒にはできないかな..と。野に咲く可憐な花だけならそれはそれで、とっても初々しいかわいらしいブーケができ上がります。でも、その中に1輪、カトレアがはいっていたら...。せっかくの野に咲く可憐な花の良さが、カトレアに殺されてしまうでしょう。
 なんでもバランスというものが大事ということですよね。豪華なシルクタフタのボリュームのあるウエディングドレスなら、やっぱり、それなりの「格」のブーケのほうが似合うでしょうし、逆にオープンスペースでのガーデンウエディングだったりするなら、風にそよぐナチュラルなブーケが素敵だったりしますしね。
 なんか、「ラン」から話がそれてしまいました。
 そうそう、『デンファレ』って、なぜ『デンファレ』っていうのかご存じですか?『デンファレ』は『デンドロビューム』と『ファレノプシス』の交配でできた花だからです。『ファレノプシス』とは『こちょうラン』のことです。今度お花やさんに行ったら、こちょうらんじゃなく「ファレノ」と言ってみましょう。「このお客はなかなか侮れない!」と思ってもらえますよ!(笑)
 一口に『ラン』といっても、洋ランだけじゃなくて、日本独自の「ラン」も沢山あります。それらは野性のものが多くて、洋ランほど、きらびやかではないですが、なかなか趣があってステキです。 『ランは好きじゃないから...』と決め付けてしまわないで、もうちょっといろいろな「ラン」に目を向けていただけると嬉しいです。私もブーケにランはイヤ!なんていっていないで、「ラン」がいい!といっていただけるようなブーケを作れるようがんばります!

余談ですが、毎年2月ごろ、TOKYOドームで「世界ラン展」が開催されます。あの広いグランドいっぱいに世界中のいろいろなランが展示されます。興味のあるかたは行ってみてください。