記事タイトル:田口ランディのコラムマガジン 2001.10.18 


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「かそけき音の世界」


 ヴェトナムの首都、ハノイに行って来た。

 ヴェトナムは私にとっては思い出深い国だ。なにしろ私の処女作はヴェトナ
ムの旅行記「忘れないよ!ヴェトナム」である。この本を書いたとき、私はた
だひたすら南ヴェトナムのメコンデルタを川沿いに旅行していた。メコンに魅
せられてしまったのだと思う。北には全く行かなかった。

 今回、初めて北ヴェトナムに行った。行って驚いた。ハノイはとても素敵な
町だったのだ。私は都会化したホーチミンシティよりも、ずっとハノイを好き
になった。今度は北ヴェトナムを放浪してみたいなあ、と思ったほどだ。

 ハノイに行ったのは、ある男性に会うため。彼の名前はキム・シン。すでに
70歳を越えているが、彼はヴェトナムを代表する音楽家である。

 何種類もの民族楽器を自在に演奏し、ギターの腕は天才的。自分で楽器を改
造してオリジナルの楽器もたくさん作っている。作詞作曲して演奏し、歌う。
日本流に言うならばシンガーソングライターである。

 キム・シンさんについて教えてくれたのは、ご近所に住んでいる巻上公一さ
んだった。巻上さんは何年か前にキム・シンさんを日本にお呼びしてコンサー
トを行っている。巻上さんは、キム・シンさんを絶賛するのだ。

「いやあ、キム・シンさんの月琴は凄いよ。ギターも、歌も、とにかく凄いよ。
ぞくぞくするよ」

 ふうむ、いったい何がそんなに凄いのだろうか?キム・シンさんの演奏とは
どんなものなのか、一度聞いてみたいものだなあ。そう思っていた。

 それからしばらくして、私は偶然にインパクで知りあった「ひょうたんフィ
ルハーモニー」の三木さんから、キム・シンさんの演奏ビデオというものを送
っていただいた。その事は以前にこのメルマガでも書いたと思う。

 ビデオに映っているキム・シンさんは盲目の老人だった。飄々とした雰囲気
を湛えた人だったが、私にはビデオからは彼の歌と演奏のどこがそんなに素晴
らしいのかわからなかった。正直言って退屈な音楽だなあと思った。

 それでは、あの巻上さんはなぜあんなに絶賛したのだろうか。私と巻上さん
の間にどんな聞き取りの違いがあるっていうんだろうか。

 やっぱり、生で聞かないとわからないのかもしれない。私がキム・シンさん
の生演奏を聞いたら、私は何か新しい音楽性と出会うんだろうか。

 そう思ったら、なんとしても生演奏を聞いてみたくなった。そうこうするう
ちに、三木さんの友人、ヴェトナム在住の音楽家しのみどりさんの御尽力で、
キム・シンさんに会うことができるようになってしまったのだ。

 協力してくれたのはハノイの国営ラジオ「ヴォイス・オブ・ヴェトナム」
(vov)のスタッフで、彼らは演奏のための部屋まで貸してくださると言う。

 そんなわけで、いろんな方達との偶然に次ぐ偶然の出会いのおかげで、私は
ついにハノイに行き、そこで、生キム・シンさんに会い、彼の演奏を1メート
ル圏内で聞いたのだった。

■フラジャイルな音

 さて、キム・シンさんに会う前、私はヴェトナムの民族音楽の闇特訓をして
いた。ヴェトナムの音楽に耳が慣れていなければ、キム・シンさんの演奏や歌
を聞いても何も感じられないんじゃないかと思ったからだ。

 ところが、ヴェトナムの音楽というのが、なんかこう、ちっともよくないん
だよなあ。っていうか、CDの問題なのかな。民族楽器なのに、アコースティ
ックの素朴さが感じられない。

 私って、やっぱりアジアの音楽の良さってわからない人間なのかなあ、ふう。
と、思いはじめていた矢先、巻上さんがロシアのトゥバ共和国という国から、
ホーメイ楽団を連れてやって来たのだ。

 ホーメイというのは、モンゴルのホーミーとちょっと似ている。でもホーミ
ーよりも音楽性が高い気がする。そのホーミーの歌い手を5人、なんと、我が
家にお泊めすることになったのである。

 田口家は大わらわである。なにしろトゥバ共和国の方々にお会いするのは初
めてだ。いったい普段は何を食べているのだろうか?フトンでいいのかな?何
語なんだ?
携帯電話で巻上さんに確認すると「日本の野菜中心の食べ物でいいよ。それか
ら彼らは日本のビールが好きだ」とのこと。

 そこでビールと、野菜の煮物など用意してお待ちしていると、トゥバな方々
がおいでになったが、彼らがあまりにも日本人に似ているのでびっくりした。
もしかして私の親戚?って感じだった。

 トゥバな方々はふだんは羊の肉と乳製品を食べているとのこと。もの静かで、
無口な方々だった。そして、挨拶を大切にする。食事が終わったら代表者の一
人が立ち上がって、立派なスピーチを述べた。そして、歓迎してくださったお
礼にホーメイを歌うとおっしゃる。

 私は、もちろん本場のホーメイを聞くのは初めて。しかも、我が家のリビン
グで自分のために歌っていただくなんて初めてで、ドキドキしてしまった。い
ったい何が始まるんだ〜って感じ。

 まず最初の一人が歌いだす。最初は普通の歌だ。トゥバの古典的な民族音楽
らしい。歌いながら、彼は咽を調整しているようだった。そして、歌の途中か
らふっと離陸するみたいにホーメイが始まる。

 それは、なんというかなあ、咽を調整してバランスを取りながら、紙飛行機
を飛ばすみたいにふわあっとホーメイの状態に移行するんだ。

 ホーメイ、この音を言葉ではうまく説明できない。それはもう声ではなく、
楽器の音のようだ。いくつもの微細な音が咽に反響しあって倍音となり一度に
出てくる……という感じ。

 大きな音ではない。雑踏の中ではかき消されてしまいそうな、かそけき音だ。
でも精妙で、微細で、形容しがたい、なんともいえない魅力的な不思議な音な
のだ。これまで聞いたこともないような音なのだ。

 ホーメイはそんなに長くは続かない。紙飛行機がバランスを崩したような感
じで音が乱れると、すとんと地声に戻ってしまう。その、ホーメイの状態から
地声に移行する瞬間が、これまたいい。あーあーあー、もどっちゃった、って
感じ。

 一人一人が、次々と歌ってくれた。咽のコンディションが声を左右するらし
い。あまりお酒を飲んだり、緊張していたりすると、もうホーメイは歌えない。
そうだろうなあと思う。あんな奇妙な状態に咽を震わせるわけだ。ほんの少し
バランスが崩れたらもうできないに決まっている。

 彼らが次々と歌ってくれた歌は、とても小さくて、不安定で、パーソナルな
歌だった。耳を傾けないと聞き取れない歌。その時、その瞬間でしか歌うこと
のできない音。でも、その声に耳を傾けると、それがいかに精妙で、複雑で、
そして官能的かがわかる。声とはもともとそういうものだったのだなあ、と思
った。

 これもまた美なのだ、と。この不安定さ、この精妙さ、このか細さ、この微
妙さ、それが、美なのだと、はっきりと感じた。好きになった。もっともっと
聞きたいと思った。そして、聞くことが快感だった。

■音と音の間の無限

 私は、もしかしたら、大きな音、安定した音、安定した音階、すかっとする
演奏、カタルシスを与える声、刺激的なリズム、そんなものばかりを聞いてい
たのかもしれない。

 だから長いこと、小さい音、弱い音、不安定な音、西洋音階じゃないもの、
聞き取れない演奏、そんな音楽を嫌っていたかもしれない。自分がふだん聞い
ていない音を汚い音として脳が処理していたかもしれない。

 でも、私がふだん聞いている音楽だけが、音楽なのだろうか。もしかして、
私はあまりにも音に毒されてしまっているのではないだろうか。
 
 そんな疑問がふつふつと頭をもたげて来た。

 それから私は探し始めたのだ。フラジャイルな音、不安定な音階、精妙で、
微細で、小さい音、すかっとしない歌、ビブラート、判別できない音……。

 そして、次第に確信しはじめていた。たぶん、キム・シンさんの歌も、かそ
けき歌なのだ。彼の月琴の音色は不安定で微細な音色なのだ。それは、私が積
極的に自分から聴こうとして、初めて聞き取れる、弱い音なのだ。でも、その
弱さこそが魅力であり、官能なのだ……と。

 ヴェトナムの国民的音楽家であるキム・シンさんの自宅は、ハノイでもっと
も古い町並みのなかにあった。そこは、日本から行った私の目から見ると「ス
ラム街」のようにすら見えた。

 彼の家は六畳ほどしかなく、中二階にはびっしりと彼の楽器が置いてあった。
狭くて、古くて、正直に言うと粗末な部屋で、あまりの粗末さに言葉を失うほ
どだった。なぜ、国がCDを作ってくれるほどの歌手が、このような貧しい家に
住んでいるのだろうか。

 でも、キム・シンさんは、そんなことは全く意に介していないようだった。
彼の態度は誇り高く、心豊かで、聞き手である私たちへの慈愛に満ちていた。
演奏するときはこのうえなく楽しく、幸せそうだった。物静かでユーモアがあ
り、そして時として辛辣だった。

 四つの楽器を選んで、演奏していただいた。どの楽器もキム・シンさんが自
分で手を加えて改造している。彼の手が加わると、なぜか音がキュイーーンと
すすり泣くようになる。音から音へ移行する瞬間に音が泣くのだ。それがキム
・シンの音楽、オリジナリティらしい。

 彼の作った歌は、決まったコード進行というものがなく、演歌のようでもあ
り、シャンソンのようでもあり、なんともアバンギャルドだった。その声は歌
いこんだ艶があり、か弱く、それでいて色っぽい。日本の長唄の世界に通じる
ものがある。

 私は日本の古典芸能が「お座敷」という世界でのみ守られて来た意味がわか
ったような気がした。この「かそけき艶」は、たぶん、本当に小さい空間で歌
うことでしか、その色香を伝える事が困難なのだ。マイクを通した瞬間に、拡
大した瞬間に消えてしまう美なのだ。

 私は、こんなに小さな声の歌手も、こんなにかそけき演奏も、これほど耳を
済まさなければ聴き取れない楽器の音色も、日本では聴いたことがなかった。

 けれども、そこには全く違う音の世界があった。マイクやアンプを通さない
音の世界があった。

 不思議なことに、その音を聴こうとするとき、私は左耳を傾ける。なぜか私
の右耳ではうまく聴き取れない。左耳の方が聴力がいいんだろうか。こんなこ
とも初めてでびっくりした。

 小さな音の世界、区分されない音の世界で、私を痺れさせたのは、音から音
へと移行するときのその曖昧さだった。境界がなく音は次の音へとグラデーシ
ョンで移行する。その移行していく音の中に、なにかとてつもない官能が潜ん
でいる。音が音へと移っていくその瞬間瞬間に、どうしてか体が痺れるのだ。

 うーーーたまらん。この微細な音から音への曖昧さがたまらん。

 いったい、私の体はこの音が音へと移行する過程の、何に反応しているのだ
ろうか……?わからないけれど、わからないけれど、もっと体験したい。

 世界中の「かそけき音」を探しに行きたい。そう思い始めている。
[2001年10月18日 23時23分37秒]

お名前: 謎の超音波男   
2004年7月9日放送されました。
某・テレビ局の「探偵ナイトスクープ」から取材を受けました。超音波」が「160khz」以上出ていたので、ギネスブックに挑戦しようと思っております。
ホーミーファン必見です。ビデオプレゼント中です。
[2004年10月25日 0時22分15秒]

お名前: 謎の超音波男   
探偵ナイトスクープとは? 
ファンの方達のページのようです!
http://halloween.ha.ai/ring_knight.htm 
http://ha2.seikyou.ne.jp/home/Atsushi.Fujiwara/knight.htm
 
この番組は、視聴者から寄せられた
依頼にもとづいて探偵局長が、
優秀なる探偵達を野にはなち、
世の為、人の為、公序良俗と
秩序を守るべく、この世のあらゆる事ども
徹底的に追求する娯楽番組である!

探偵!ナイトスクープ  

西田局長の言葉です! 
********************************************
探偵ナイトスクープの時間がやって参りました!
現代社会にするどいメスを入れ! 
さまざまな謎や! 疑問を徹底的に追求する!
探偵ナイトスクープ!  
********************************************

岡部まりさんの言葉です!
********************************************
秘書の岡部まりです! 当探偵局では、
テレビをご覧の皆さんからの依頼に基づいて、
ただちに優秀な探偵を派遣し、
真相の追究にあたります! 
********************************************

キダタロウ先生の言葉です!
********************************************
超音波の方に、何か大変失礼な探偵をさし向けた事になりましたけど、
ホーミーはバツグンです! 改めて皆さんに申し上げます! 
********************************************
[2004年11月28日 6時17分45秒]

お名前: 謎の超音波男   
ドイツの「UltraSoundGate 116-200」お金の支払いが完了しました。 
http://www.avisoft-saslab.com/usg/usg116-200.htm 
これで、「375khz」の測定ができるようになりました。 

来年は、「ギネスブック」にチャレンジだ!
http://www.sekaikiroku.com/
上記に頼みました。

「ゾクゾク愉快族」に出たいと思う!
http://www.nhk.or.jp/yukaikazoku/zokuzoku.html
「謎の超音波男をだせ!」 とメールしてやってください!

「めざましテレビ」で 
「ムーウォーク」のギネスのチャレンジャーが放送されていました。
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/mezatv/
「謎の超音波男をだせ! 」とメールしてやってください!
[2004年11月28日 6時19分6秒]

お名前: 謎の超音波男   
今度は、ベルカントに挑戦だ!
http://www1.odn.ne.jp/bellavoce/geijutu3.htm
100万人に1人という超音波を発する天性の歌声も必要となる。
[2004年11月28日 6時19分53秒]

お名前: 謎の超音波男   
探偵ナイトスクープとは? 
ファンの方達のページのようです!
http://halloween.ha.ai/ring_knight.htm 
http://ha2.seikyou.ne.jp/home/Atsushi.Fujiwara/knight.htm

この番組は、視聴者から寄せられた
依頼にもとづいて探偵局長が、
優秀なる探偵達を野にはなち、
世の為、人の為、公序良俗と
秩序を守るべく、この世のあらゆる事ども
徹底的に追求する娯楽番組である!

探偵!ナイトスクープ 

西田局長の言葉です! 
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探偵ナイトスクープの時間がやって参りました!
現代社会にするどいメスを入れ! 
さまざまな謎や! 疑問を徹底的に追求する!
探偵ナイトスクープ! 
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岡部まりさんの言葉です!
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秘書の岡部まりです! 当探偵局では、
テレビをご覧の皆さんからの依頼に基づいて、
ただちに優秀な探偵を派遣し、
真相の追究にあたります! 
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キダタロウ先生の言葉です!
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超音波の方に、何か大変失礼な探偵をさし向けた事になりましたけど、
ホーミーはバツグンです! 改めて皆さんに申し上げます! 
********************************************
[2004年11月29日 20時26分27秒]

お名前: 謎の超音波男    URL
http://hidekisano.web.fc2.com/ 
http://khoomii.web.fc2.com/ 
改めて
2006年に父が死去 人生でいろいろと大変でした。 
心機一転してがんぱります。
[2008年5月4日 6時31分0秒]

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