◆「間違いだらけのクルマ選び」
年末になると私にはいくつかの楽しみがあります。その一つが「間違いだらけのクルマ選び(草思社刊)」を読むことなのです。つい先日2000年版が発売されましたので、早速読んでみたのです。
この本はモータージャーナリストの徳大寺有恒さんの著書で、1976年より毎年発刊しているから、ずいぶんと息の長い著作ということになるでしょう。私は著書の中でも特に、最初の数10ページ程度で、現在までの自動車業界の動きや、未来の予測をトピック形式で書いた記事を読むのが好きです。
すでに「間違いだらけのクルマ選び」を読んだことのある方なら、最初の数10ページはおまけで、その後に続く各クルマごとの詳細な評論こそが主体だと思っている人も多いことでしょう。それはそれで良いと思うのです。
しかし私に言わせると、最初の数10ページに書かれている記事こそが、この本の最も重要なエッセンスだと思うのです。
その記事の中からいくつか取り上げてみましょう。日本の自動車業界の勢力図はトヨタが優勢で、その勢いは暫く続く。ホンダも好調だが、今の手法で商売を続けると、いつか大きなイメージダウンを被るだろう。日産はルノー傘下に入ったが、会社が存続できるかは五分五分程度だ、という具合。
新しいエンジン技術として、電気自動車のフューエルセル(燃料電池)を大きく取り上げていた。従来のバッテリーのような鉛蓄電池と違い、化学反応で発電するタイプ。これが電気自動車のスタンダードになっていくそうだ。
また昨年の「間違いだらけのクルマ選び」では、コモンレールという新しいディーゼルエンジンがヨーロッパで普及していると紹介していたが、今年はそのディーゼルも技術的な問題から頓挫していると紹介されていた。ディーゼルカーというと、日本では排気ガスと騒音を撒き散らす自動車公害の象徴のように見られてるが、ヨーロッパのクルマは排気ガスと騒音のどちらもガソリンエンジン並のレベルになっているという。
コモンレールはディーゼルエンジンのイメージを一掃する画期的な技術と思えただけに、その技術開発がストップしてしまったことは少々残念。周辺機器では、カーナビが将来有望な製品で、これからも成長産業になると書かれていました。このくらいなら私もそう思うのですが。でもカーナビ技術の進歩は本当スゴイですね。
かくして私はこの本を一晩で全部読んでしまいました。いかにこの「間違いだらけのクルマ選び」を読むのが好きかが想像できるのではないでしょうか。
[1999.11.27 by かっきい]
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