ひとりごと(1999年8月分)

 

◆明日萌駅へ行く

明日萌駅

 私は夏休みの最中、ふとしたきっかけで、NHK朝の連続小説ドラマ「すずらん」の舞台となった「明日萌駅(あしもいえき)」こと、JR北海道の恵比島駅へ行ってきました。

 現地は雨竜郡沼田町のまちはずれ。ロケ地の周囲に民家などほとんどなく「なぜここに駅が?」と思えるような殺風景な場所。
 何でも昭和初期の風景を再現するため、現代的な建造物がないこの駅を選んだとのこと。そう考えると納得。

 なお現地の駅までは、しつこいほどに「←明日萌駅」などの看板が立っており、車で行っても道に迷うことは、あまりないものと思われます。

 周囲の景色とはうってかわり、明日萌駅周辺は人で賑わう観光地の様相。もう夕暮れ時だと言うのに、付近は100人以上の観光客が集まっていたのです。
 この付近は実際にロケに使われた明日萌駅のほかに「駅長の家」、主人公の経営する「中村旅館」など、テレビドラマほとんどそのままで立ち並んでいました。

 それにしてもNHK、ロケのためだといえ、セットが大掛かりですごい。写真の明日萌駅の木造の駅舎は元々は存在せず、ロケのために、この駅舎一つ建てたのです。
 また左隣にわずかに明かりがついているのが見える、コンテナ状の建物こそが、本来の駅舎。こちらのコンテナ状の建物は、古びた動力車を内装だけ改造して駅舎としたもの。外装は殺風景なコンテナ車両そのものだったから、外側から木材をあてて駅舎との違和感を無くしたそうです。

 この日はとても暑い日で、ロケ地を回っているとのどが乾いてきました。ちょうどソフトクリームを売っていたので、買って食べることにしたのですが・・・。
 私は道の駅など、あちこちでソフトクリームを食べ舌が肥え過ぎてしまったか、このソフトクリームは味が薄く今一つに感じられたのです。
 これだけが唯一、残念に感じられたことでした。

[1999.8.31 by かっきい]

 

◆エア・ドゥ(Air Do;北海道国際航空)

 先日、新千歳発羽田行きのエア・ドゥ(北海道国際航空)の旅客機に初めて乗る機会を得た。
 エア・ドゥはご存知の通り、昨年('98)12月20日に初就航。現在、羽田−新千歳間を一日3往復、運賃は¥16000(他社は繁忙期で¥26000ほど)と破格に安い。時をほぼ同じくして就航したスカイマーク・エアライン同様、従来の横並び発想を打ち破った航空会社だ。
 とにかく低価格運賃のための経費削減で「サービスしないことがサービス」ということで、どんなサービスがあるのか、あるいは無いのか・・・。今まで60回近く旅客機に乗っている私だが、正直言って新たなる未知との遭遇の予感に、ひさしぶりに興奮していた。この興奮はおそらく、初めて旅客機に乗ったとき以来だろうか。

 新千歳空港の窓口は、1Fの到着ロビーそばにあった。2Fに窓口が並ぶ他社と少々勝手が違うので、空港内をしばしさ迷った。
 搭乗手続きは、名前の申告とクレジットカードの提示のみ、それで座席位置が書かれた航空券を受け取った。先に航空券を提示するわけではないので、航空券の持参忘れの心配はいらない。

 そして搭乗。雨天の天候のためか到着機が20分ほど遅れ、出発時刻になってからようやく搭乗開始。やはり旅客機一機のみをやりくりするのは楽ではなさそうだ。旅客機のB767−300ER(定員280名)は、新千歳−羽田間で他社では標準になっているB747−400(定員560名)よりも一回りも二回りもちいさい。

 驚いたのがスチュワーデスの服装。「サロペット」と呼ばれる胸当て付パンツに、靴はスニーカーのいでたちは、まるで牧場で働くカウボーイ(cowboy)ならぬ、カウガール(cowgirl)のよう。スーツにパンプス姿が、スチュワーデスの服装として当たり前と思っていた私には新鮮だった。
 そして離陸前、チーフパーサーのアナウンス「数ある航空会社の中でエア・ドゥを選んでいただき、ありがとうございます」には、何か感極まるものがあった。そう、どうやら私はすっかりエアドゥのファンになってしまったようだ。

 エア・ドゥの会社設立当初から今日までずっと携わってきて、現在副社長を務めていらっしゃる、浜田さんの著書を拝読した。
 もともとは北海道で養鶏業を営んでおられてきた方だ。会社設立の当初は、マスコミから「ニワトリは空を飛べるのか!?」となど皮肉られたそうだ。

 当初は素人同然の人達が集まってできた会社で、航空会社を設立し航空機を飛ばすノウハウが絶対的に不足していた。そのため資本金集めや、人材集めのために奔走した日々を送ったのだという。お門が違う業種に参入する苦労は、きっと想像を絶するものがあったであろう。
 また著書では経費削減のノウハウだけでなく、運行上の安全もまた重視しておられるようだった。安全管理はおよそ運輸業に携わる人達の使命とでも言うべきだろうか。しっかりと取り組んでほしいものだ。

 エア・ドゥの機体には「一歩前へ出る勇気があれば、きっと何かが始まる」と書かれていた。今般のエア・ドゥ誕生のように、一歩前へ出る勇気でもって何かを始めていきたい・・・、そのように私も強く励まされたような気がした。

[1999.8.29 by かっきい]

 

◆マスコミホームページへの「ハッカー事件」

 最近はマスコミ各社も報道関係のホームページを持ち、各社独自の工夫をこらして、ウェブ上の情報発信源となっている。そんなマスコミのホームページの一つ、M新聞社のトップページをハッカーが乗っ取る事件が発生した。

 今年('99年)6月某日の午前3時過ぎ、その事件は起きた。M新聞社のトップページは、ハッカーが「乗っ取りを宣言した」ページに上書きされてしまったのだ。
 また、その上書きされた状態は、3時間以上にも及んだという。新聞社の報道関係のホームページは24時間頻繁にアクセスしてくる可能性があるのに、夜間はM新聞社のホームページ担当者を配置していなかった、という対応のまずさもあったらしい。

 そしてM新聞社のホームページ侵入事件のわずか6日後、今度はA新聞者のトップページも同様の手口で「乗っ取りを宣言した」ページに上書きされてしまった。M新聞社の教訓は、残念ながら生かされなかったようだ。

 それにしても、どうしてこうも易々とホームページのデータベースに侵入されてしまうのか。私はネットワークセキュリティーの専門家ではないから何とも言えないが。
 一説には、ウラ世界ではインターネット経由で政府機関や企業関係の情報を不正入手され、その情報が金銭で売買されているという。なかでも日本の公共機関や企業関係は不正アクセスがたやすいので、見返りの情報料は安いそうである。それが事実なら、なんとも困ったことだ。

 ホームページの信頼性とは、不正アクセスを許さないのももちろんだが、不正アクセスされたときに、どう対処するかを策定する必要もまた、あるのではないだろうか。
 コンピュータ業界では、信頼性を示す言葉にRAS(ラス)という言葉がある。RASは「Reliability(信頼性)」「Availability(可用性)」「Security(秘密保持性)」の頭文字をとったもの。
 これをホームページに例えると、不正アクセスは「Reliability(信頼性)」または「Security(秘密保持性)」の向上で防止する。それに加えて、もし不正アクセスされても、そのホームページを利用し続けられる「Availability(可用性)」を向上させる、というわけである。

 今回の事件に関して、マスコミ各社が一番恐れていたのは「記事が書きかえられる」ことであった、と口をそろえる。確かに記事を書きかえられて、情報の正確さを欠いてしまうのは、マスコミとしての生命を失うことを意味する。しかも巧妙に書替えられた場合は、現状のデータベースシステムではチェックするのさえ困難だ。

 どうやらインターネットは手軽で便利な反面、不正なアクセスにより常に攻撃にさらされやすいメディアだと言えそうだ。私達はそれを、しっかり肝に銘じて置く必要があるのではないだろうか。

[1999.8.14 by かっきい]

 

◆インターネットのインパクト

 最近、インターネットの個人ホームページがどれほど社会的インパクトを与えるかを、世間に知らしめる”事件”が発生した。それは大手総合電機メーカーT社社員が、福岡県在住の某氏に浴びせたという「暴言事件」である。

 事件のあらすじはこうだ。昨年('98年)末、某氏はT社製のビデオデッキを購入、それに他社製のビデオデッキで録画したテープを再生したところノイズが発生した。某氏はT社にビデオテープを渡し、ノイズの原因調査を依頼した。ここまでは良くあるような話だが、この先が普通ではなかった。
 今年('99年)の1〜2月の間に、T社と某氏の間に何事かのやり取りの末、多大なあつれきが生じたと思われる。何とT社は某氏の窓口対応に、特殊株主(いわゆる総会屋)対策の担当者をつけたのだった。
 その窓口担当者と某氏の間の電話での会話が、T社担当者の”暴言”とされ、某氏は自分のホームページに、事件の経過やT社担当者の”暴言”を録音した音声を掲載した。
 このホームページはマスコミの紹介も手伝い、6月初旬の開設から1ヶ月半の間に、500万件以上の参照があったという。

 それに対してT社は7月中旬に、某氏のホームページ削除の仮処分を申請。某氏もホームページ上で、T社の対応を批判しつづけた。
 1週間後、T社はそれまでの態度とは一転して、某氏が受けた暴言に対する陳謝と、仮処分申請の取下げを行った。某氏も和解に応じ、ホームページの問題箇所のほとんどを削除した・・・。

 以上が事件の顛末。大方のマスコミは、T社がインターネットの威力を甘く見た、という論調である。事実そうなのであるが。
 しかし、今回の事件の教訓はもっと別のところにもあるような気がしてならない。それは、今回の事件に味をしめた「個人」が、ホームページという武器を使って社会全体を扇動する恐ろしさである。
 情報の発信地が大手企業のような公共色が強いものであるならば、情報の信頼性は厳重にチェックされることだろう(それでもT社は対応を誤ってしまったが)。しかしチェック機能が働きにくい個人などが、社会不安を巻き起こすようなホームページを掲載したとき、一般社会に与えるインパクトは小さなものでは済まされないのではないだろうか?

 例えばカリスマ的存在の人物が、ホームページを開設。人々の関心を集め始めたとする。そしてかのカリスマ的存在は、反体制・反権力を振りかざしたり、公共性が強い機関(銀行など)の危険性を指摘(あの銀行は潰れそうだとか)するのである。
 あるいはもっと別の、誰も考えたことのなかった形で、世間を誘導していくことがあるのかもしれない。もちろん、それが悪い方向にばかり向かうものと決めつけるのも、考えものだが・・・。

 次回もインターネットがもつ恐ろしさについて検証します。

 えっ、この「かっきいのWeb Page」の社会的なインパクトはどれくらいかって?きっと限りなくゼロに近いでしょう・・・。

[1999.8.13 by かっきい]

 


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