◆湘南ナンバーにまつわる真実
最近、千葉方面にドライブしたときの出来事。ある道の駅に駐車した後、そこから出ようとしたとき、私のクルマをじっと見つめている二十歳前後の若者がいることに気がついた。
「さては私のクルマが気になっているんだな」と最初は思ったが、私のクルマはただのオジサン向けセダン。二十歳の若者がカッコイイと思うようなクルマではない。
やがてその若者の視線が、私のクルマのナンバーに注がれていることに気がついた。私のクルマは(おそらく)若者の羨望の的である湘南ナンバーだった、というわけ。
今回はそんな「湘南ナンバー」にまつわる真実を解き明かしていきたい。
"湘南"という地名は、その名の由来がお里の知れない、謎の地名である。一説には、中国(中華人民共和国)の、風光明媚な名所に"湘南"という地名があったとか。しかもそこは海だけではなく、山の景色もまた素晴らしい山海の名勝らしい。
それが事実なら、"湘南=海"という構図はにわかに怪しくなり、"湘南=山と海"ということになってしまう。確かに私の住む秦野市には海などなく、あるのは登山で有名な丹沢山塊だけなのだが。
湘南ナンバーは1994年の制定。対象エリアは「湘南ナンバーを誘致する決議案」を採択する市もあるほど、政治的にスッタモンダしていた。さらに「地元を湘南ナンバーエリアにする」を公約に掲げる地方議会議員さんもいたそうな。
結局は茅ヶ崎・平塚・小田原・秦野・南足柄の各市と近隣の町村に落ちつきました。ここで注目したいのは、映画「稲村ジェーン」のロケ地・鎌倉市や、ヨットハーバーで有名な藤沢・逗子・三浦の各市が含まれていないということ。
サザンオールスターズが歌う歌は、湘南地方をよく題材にしているが、湘南ナンバーのエリアで実際に歌にしてるのは茅ヶ崎市ぐらいなものだろう。
湘南ナンバーのエリアは、一般に湘南地方と呼ばれる地域から、大きく西側にシフトしている。
【湘南ナンバーの真実・その1】
さて神奈川県は人口800万人を擁し首都圏の一部とされるのだが、人口の多くは横浜・川崎・相模原といった大都市を中心として、東京により近い神奈川県東部に集中している。
対極的に神奈川県西部は、大都市と呼べそうな都市も見当たらず、人口密度も東部に比べて明らかに低い。
湘南ナンバーのエリアは、そんな神奈川県西部のほとんどをカバーしている。湘南ナンバーのエリアは、神奈川県の人口密度が低い部分なのだ。換言すると、神奈川県の田舎エリアということができる。
【湘南ナンバーの真実・その2】
ここまでくると「湘南ナンバーのイメージ」という金メッキもはがれてくるのではなかろうか?
ただし、ここで書いてきたことは、単にイメージを崩すのが目的ではなく、真実を知ってもらいたいのが目的だ。くれぐれも誤解なきようお願いしたい。
もちろん、その手の話しは他のナンバーにも存在する。
例えば都内で一番イメージが良いとされる「品川ナンバー」のエリアには、伊豆七島を始めとした、東京都に属する島嶼(とうしょ)を含んでいる。
最近、火山活動が活発になった三宅島などが品川ナンバーのエリア、と聞いて驚く人も多いだろう。
ブランドイメージは、そういったたぐいの話しが多いのもまた真実だ。
ところでなぜ今ごろ、湘南ナンバーの話しを?と疑問に思う人もいるでしょう。理由はちゃんとあるのです・・・。
[2000.08.29 by かっきい]