ポケモンを楽しもう
〜「不正」との上手なつきあい方〜

 

例えばポケモン対戦系のオフ会で、次のようなルールがあったとする

(1)ポケモンは6体用意する。全て別の種類でなくてはならない。No198以降のポケモンは使用不可
(2)6体に持たせる道具は、全て違うものでなくてはならない。
 ただし、ケッキングに「こだわりハチマキ」、ラティオスとラティアスに「こころのしずく」を持たせることは不可
(3)技の「ぜったいれいど」を使うことは禁止。
(4)バグ技、改造を使用したデータは使用不可

これはほんの一例だが、現時点では、代表的なルールといえるだろう。
実際、これに近い、あるいは全く同じルールで開催しているオフ会もあるのでは無いだろうか。
それほど見慣れたルールである。

しかし、よく考えて欲しい。この4つのうち、(4)だけがルールとして機能していないことを。
まず、何をもって「バグ技、改造を使用したデータ」とするのかの基準が、人によってまちまちであることである。
とりあえず、思いつく限り挙げてみることにする。

1:改造ツール、バグ技を使用して、能力値を直接書き換えたポケモンを使用する
2:1のようなポケモンを利用して、対戦用のポケモンを効率よく育成する
3:1のようなポケモンを利用して、対戦用ポケモンの腕試しをする
4:1のようなポケモンを利用して、不慮の事故によって失われたデータを復元する
5:改造ツール、バグ技を利用して、増殖したポケモン、及び増殖した道具を使用して育成したポケモンを使用する
6:非公式の連射コントローラ、倍速化ゲームボーイなど、改造ハードを使用して育成などをする
7:データをコピーするバグ技や、非公式バックアップツールを使用して、不慮のデータ消去に備える
8:上記のような行為による結果を、自分のデータの中に意図的に取り込む
9:意図的ではないにせよ、上記のような行為による結果を自分のデータの中に取り込む
10:例えばGB金銀における「ふといホネ」等の能力値オーバーフロー現象や、「プレゼント」の異常ダメージなど、
 明らかにバグといえる仕様を、意識して戦略に組み込む

こんなところであろうか。何が良くて何が良くないのか、本当に具体的に記述したルールは見ない。
人によっては「これはバグ技、改造とは違うんじゃないか」という意見もあるだろう。
しかし、これらのいずれについても「これはバグ技、もしくは改造に含まれる」と思う人だって間違いなく存在する。
参考までに僕の感覚をいわせてもらうと、1,2,5、そしてそれらを意図的に自分のデータに取り込むことは、
自分がする行為としては容認できない。
どれを許せて、どれを許せないか、それは人によってまちまちなのである。

さらに致命的な問題として、いくら主催者側がバグ技、改造禁止のルールを設定しても、
それが完全に守られているかどうかを確認する術がないことである。参加者のモラルを信じるしかないのだ。
違反する人がいるかも知れないという可能性から、決して目を背けてはいけない。

A氏「対戦が楽しめればそれでいい。こっそりバグ技や改造によって手間を省いても良い」
B氏「自分ではバグ技や改造は使わないが、そのような人とも対戦くらいなら抵抗無くできる」
C氏「育成なども含めて一つのゲームとして楽しみたいし、通信するデータでのバグ技や改造は断じて認めない」

このルール違反に対する反応は、大別すると以上のようなものであろうか。
C氏からしてみれば、違反は許せないものであろう。
しかし、「許せない」と言ったところで、違反をなくすことはできない。
妥協するか、さもなくば完全に信用できる人以外との通信そのものを拒否しなくてはいけないのだ。

僕自身はバグ技や改造は大嫌いだ。しかし、許そうが許すまいが、
非公式な改造やバグ技は、すでにポケモンの一部となってしまっている。
それらの暗い部分を含めてポケモンを楽しみたい。この考えは間違っているだろうか。