「極める本」検証

 

注意:ポケモンの能力値に関するある程度の知識がないと、読んでもよくわからない恐れあり。
少なくとも、「努力値(基礎ポイント)」と「努力レベル」の違いくらいは認識しておいて欲しい。

 

「ポケットモンスターを極める本」(Amazonでチェック)の、全ポケモンレベル100ステータス表。
そのあまりの能力の低さから、バグ技でレベル100にしたとの疑惑が出ている。
しかし、本当にそうだろうか?検証してみることにした。

まず、あの本を読む限り、レベルアップはひたすら四天王で行っていると思われる。
四天王+ライバル戦で得られる基礎ポイントを表にしてみた。(ライバルはフシギバナを持っているものと仮定する)
なお、あの本を見る限り交換による経験値増を利用していたようなので、経験値も1.5倍とする。

四天王を一周して得られる基礎ポイント、経験値表

ポケモン HP 攻撃 防御 素早 特殊 経験値
ジュゴン 90 70 80 70 95 3052
パルシェン 50 95 180 70 85 3457
ヤドラン 95 75 110 30 80 2845
ルージュラ 65 50 35 95 95 2466
ラプラス 130 85 80 60 95 3942
イワーク 35 45 160 70 30 1837
エビワラー 50 105 79 76 35 2475
サワムラー 50 120 53 87 35 2457
イワーク 35 45 160 70 30 1944
カイリキー 90 130 80 55 65 3597
ゲンガー 60 65 60 110 130 3420
ゴルバット 75 80 70 90 75 3078
ゴースト 45 50 45 95 115 2227
アーボック 60 85 69 80 65 2740
ゲンガー 60 65 60 110 130 3663
ギャラドス 95 125 79 81 100 3988
ハクリュー 61 84 65 70 70 2592
ハクリュー 61 84 65 70 70 2592
プテラ 80 105 65 130 60 3894
カイリュー 91 134 95 80 100 4342
ピジョット 83 80 75 91 70 3370
フーディン 55 50 45 120 135 3525
サイドン 105 130 120 40 45 3997
ギャラドス 95 125 79 81 100 4194
ウインディ 90 110 80 95 80 4312
フシギバナ 80 82 83 80 100 4344
合計 1886 2274 2172 2106 2090 84350

 

次に、以上を何回繰り返せばレベル100になるのかを、ポケモンごとに推測する。
レベル100になった時の経験値から、捕獲時の推定レベルの経験値を引き、84350で割ればよい。
その数を、今度はそれぞれの基礎ポイント獲得量にかける。
その値を努力レベルに換算し、ポケモンの個体をもっとも標準的な7888と仮定し、
代入する(誤差±15ポイント)。
それが、「四天王だけでドーピングなしレベル100ステータス」の理想的な値となる
それを極める本にあるポケモンの能力と比較する。いくつかのポケモンについて調べてみよう

 

ピジョット 推定捕獲レベル20
推定ポケモンリーグ制覇数12回

  HP 攻撃 防御 素早 特殊
本来加算されるべき基礎ポイント 22632 27288 26064 25272 25080
努力レベル換算 37 41 40 39 39
素質7888に上を与えた場合のレベル100時能力 329 220 211 242 202
極める本のレベル100時能力 317 187 184 226 174
-12 -33 -27 -16 -28

 

トサキント 推定捕獲レベル15
推定ポケモンリーグ制覇数12回

  HP 攻撃 防御 素早 特殊
本来加算されるべき基礎ポイント 22632 27288 26064 25272 25080
努力レベル換算 37 41 40 39 39
素質7888に上を与えた場合のレベル100時能力 253 194 181 186 160
極める本のレベル100時能力 214 147 151 161 131
-39 -47 -30 -25 -29

 

ミュウツー 推定捕獲レベル70
推定ポケモンリーグ制覇数10回

  HP 攻撃 防御 素早 特殊
本来加算されるべき基礎ポイント 18860 22740 21720 21060 20900
努力レベル換算 34 37 37 36 36
素質7888に上を与えた場合のレベル100時能力 372 276 238 317 365
極める本のレベル100時能力 330 225* 187 269 341
-42 -51 -51 -48 -24

*努力レベル、個体値ともに0の値

 

低い、低すぎる。他のポケモンを検証する気も失せる。
この本の冒頭で能力値上昇を検証するサンプルとして使われていたピジョット、
とりあえず地味で、まともに育てている人がいなそうな(しかも幼虫やさなぎ、鯉のようにネタにもならない)トサキント、
そして最強のポケモンとされているミュウツーを選んだのだが…

ちなみに、この本では、学習装置の使用をあちこちで推奨している。
経験値が分割されたとき、獲得できる基礎ポイントも分割され、端数が切り捨てられる。
特に戦わなかったポケモンは通常の1/12なのでかなりの目減りが予想され、
その分だけ獲得基礎ポイントが少な目になる。これを考慮して再検証し、
「学習装置で育てれば、これだけ能力が低いのもうなずける」と結びたかった。

だが、ミュウツーの防御力を見る限り弁明の余地もない。再検証する気も失せた。
よく見ると、基礎ポイント0と仮定しても完全に筋が通る能力値じゃないか。
努力レベルを0から1へ上昇させるだけの必要基礎ポイントは10。
どんなポケモンと戦っても入ってしまう。「バグで一気にレベル100」の場合、
最低でも一回の戦闘が必要となる。それすらもないということは、
不思議なアメだけで育ったことになる。
ミュウツーのために何度もプレイして不思議なアメを30個集めた?
そんなことをすべてのポケモンでやった?
それほどの手間があれば、普通に四天王で育てているだろうに。
やはりバグで増やしたとしか言いようがないだろう。
今まで極める本を信じていただけにかなりショックである。

すべてのポケモンがこうだとは言い切れない。
ピジョット等は、おそらく学習装置によって育てられたかもしれない。
以下の表を参照して欲しい。

6体パーティで学習装置による12分割をされた獲得基礎ポイント、経験値表。

ポケモン HP 攻撃 防御 素早 特殊 経験値
ジュゴン 7 5 6 5 7 254
パルシェン 4 7 15 5 7 288
ヤドラン 7 6 9 2 6 237
ルージュラ 5 4 2 7 7 205
ラプラス 10 7 6 5 7 328
イワーク 2 3 13 5 2 153
エビワラー 4 8 6 6 2 206
サワムラー 4 10 4 7 2 204
イワーク 2 3 13 5 2 162
カイリキー 7 10 6 4 5 299
ゲンガー 5 5 5 9 10 285
ゴルバット 6 6 5 7 8 256
ゴースト 3 4 3 7 9 185
アーボック 5 7 5 6 5 228
ゲンガー 5 5 5 9 10 305
ギャラドス 7 10 6 6 8 332
ハクリュー 5 7 5 5 5 216
ハクリュー 5 7 5 5 5 216
プテラ 6 8 5 10 5 324
カイリュー 7 11 7 6 8 361
ピジョット 6 6 6 7 5 280
フーディン 4 4 3 10 10 293
サイドン 8 10 10 3 3 333
ギャラドス 7 10 6 6 8 349
ウインディ 7 9 6 7 6 359
フシギバナ 6 6 6 6 8 392
合計 144 178 168 160 160 6834
残%* 91.6 93.9 92.8 91.2 91.9 97.2

*合計を12倍し、学習装置なしの通常の値で割った。小数点第2位四捨五入。
これが低いほど、端数切り捨てによって基礎ポイントや経験値が削られていることになる。

 

以外と目減り量は少ない。ここで得た値を使い、ピジョットの能力を再検証する。

ピジョット 推定捕獲レベル20
推定ポケモンリーグ制覇数146回(戦闘に一切参加しなかった場合)

  HP 攻撃 防御 素早 特殊
本来加算されるべき基礎ポイント 21024 25988 24528 23360 23360
努力レベル換算 36 40 39 38 38
素質7888に上を与えた場合のレベル100時能力 328 219 210 241 201
極める本のレベル100時能力 317 187 184 226 174
-11 -32 -26 -15 -27

努力レベルにして1ポイントしか変わらない。
完全に学習装置だけで育てたと仮定しても、明らかに低すぎる能力なのだ。
これはもうまともにレベルを上げたとは思えない。何とも残念な結果になってしまった。
HPと素速さだけは一見まっとうな値になっているが、これはおそらくたまたま素質が高かったものだろう。

本当にバグ技だけで育てたとは、すべてのポケモンの調査をしないといえない。
ただ、2体でも3体でもバグで育てた(としか考えられない)ポケモンがいると言うことはほぼ事実である。

 

今回の調査を振り返って。
「極める本」は個人的に大好きな攻略本だったのだが、調査によって衝撃の事実が明らかになってしまった。
まぁ、ある程度予想はしていたが、こうして具体的な数値の差を見せつけられると痛い。

ただ、今回作成した資料は、通常の育成の手引きになるかも知れない。
特に、学習装置で端数切り捨てされても意外に目減り率が少ないのは自分でも驚いた。
極める本スタッフの言うとおり、「ボタンを押す時間が長くなる以外に使わない理由はない」のではないのだろうか。

 

最後に。これを作成するのに、例によって#z80さんのツール、データをフル活用させていただいた。
この場を借りて#z80さん、teamPAの方々に篤くお礼を申し上げる。

また、ポケモンのデータを間違えたり、
一通り検算したが、計算に間違いがあるかも知れない。
また、もしかすると根本的なとんでもない間違いをしでかしている恐れもある。
発見したら是非ご一報いただきたい。