作成:2020/01/20
更新:2020/12/26
マジック:ザ・ギャザリングには「旧枠モダン」という謎のカジュアルフォーマットが存在する。
個人の思いつきから生まれたらしく、当初は3人しか遊んでいなかったとも伝えられるのだが、
公式ムックである「マナバーン2020」でも取り上げられたりして脚光を浴びている。
僕はアリーナから本格的に始めたがエアプ歴だけは20年超で、紙のカードを身内以外と回したのは今のところプレリリースくらいである。
しかしどこからか耳に入ってきた「旧枠モダン」に強い関心を抱いたので、カード情報を始めとするコンテンツ作製に着手した。
なぜ僕が魅力を感じたのか?箇条書きで思いつくままに綴ることにする。
そもそも「モダン」とは「新枠になって以降のセットのみで構築する」というルールである。
にも関わらず「その中でも旧枠(新枠以前)から再録されたカードしか使用できない」という逆説的な制限がかかっている。
あくまで「モダン」がベースで、その中でも収録範囲をブロック単位で絞っただけであり、禁止カードもモダンに準ずる。
同じくカジュアルフォーマットである統率者戦のように、他のフォーマットと無関係の禁止裁定が物議を醸したりすることがない。
今後、よほど環境を破壊するカードが追加されれば話は変わるかも知れないが、少なくとも2020年始の時点では安泰である。
旧枠モダンの魅力として、このように機械的に決められた、すなわち「人の手が入っていない」にも関わらずバランスを保っていることを評価する声も多い。
旧枠モダンという定義上、そもそもモダンフォーマットから外れる「再録できないような強力なカード」は存在しない。
一方で旧枠という縛りがある以上「昔では考えられないほど強力なカード」も無い(プレインズウォーカーに至ってはカード自体が無い!)。
必然的に「あの頃のMTG」の顔であった《セラの天使》や《シヴ山のドラゴン》などが現役で強力なカードとなっている。
90年代から始めたプレイヤーにとって、この2枚は象徴的な存在である。
にも関わらず現代では相対的カードパワーの観点からまず使われることが無いと知った時は寂しかった。
これは、何も2枚に限ったことではない。「昔のMTG」を知るものならば思い入れのあるカードは何枚も挙げられるだろう。
このあたりのことはブログ「丸くやわらかい。」の記事「懐古フォーマットの在り方について。」において、もち饅頭氏が熱く語ってくれている。
カードプールは1000枚に満たない(スタンダードのローテーション直後より少ないのでは?)。ゆえにキーワード能力や能力語も少ない。
つまり、事前に覚えておくべき知識が少なくて済むので初心者でも入りやすい。
旧枠モダンの範囲に存在するキーワード能力と能力語は、廃語を含めても以下の通り。
今後も既存能力のキーワード化(最近の例では「邁進」)以外では、増える可能性は低い(まさかバンドを再録することもないだろうし)。
防衛、先制攻撃、瞬速、飛行、速攻、破壊不能、到達、トランプル、警戒、畏怖、威迫
プロテクション、渡り、ランページ、側面攻撃、被覆、バイバック、シャドー、エコー、サイクリング、キッカー、フラッシュバック、スレッショルド、変異、ストーム、版図、邁進
基本的に「昔からある上に近年再録されたカード」なので、一部を除き低予算で揃えられる。試しに環境トップのデッキを見てみよう。
上記ブログの記事「第7回GP旧枠モダン決勝戦 松田幸雄vsぶるじょわ」に登場する2つのデッキの価格を、シングルカード価格から計算。
(2020年1月17日時点での「晴れる屋」の通販サイトにて調査。セット・言語・状態問わず最も安い在庫の値段。基本土地は0円扱い)
結果、優勝者であるぶるじょわ氏の「緑白t青ジェネシス」は12500円、松田幸雄氏の「シミックフラッシュ」は10880円と出た。
環境トップメタのデッキを、資産0の状態から買い揃えても1万円ちょっとで足りてしまうのである。
「1万円は安くない」と思われるかも知れないが、いずれのデッキも価格の半分ほどを占めているのは土地である。
特にアンタップインで多色に対応する《吹きさらしの荒野》《宝石鉱山》《反射池》等がいずれも単価1000円を超える。
土地というのは色が合う様々なデッキに入りうるため一度買ってしまえば末永く使えるので、一般に他のカードよりもコスパが良いと言える。
特に、この環境においてこれらの土地の上位互換の登場は考えられないので買って腐ることはまずない。通常のモダンでの使用にも耐えるカードである。
あるいは、妥協してタップインデュアルランドに置き換えれば半額程度に抑えられるということでもある。
もちろん単色デッキなら土地代はさらに抑えられるので、工夫次第でより安く楽しめそうである。
ブロック構築のように固定された環境でもなければ、Pauperのように新セットが出るたびに大量にカードが追加されるわけでもない。
最近はモダンホライゾンという革命があったが、基本的には年に数枚ほど追加されれば良い方である。
理論上は「再録禁止カードを除くスカージまでの全カード」というカードプール上限(5500枚くらい?)があるとはいえ、当面は緩やかに変わり続けると思われる。
千葉県柏市あたりが発祥の地らしい。実家の近くなのでアクセスしやすそう。
関東MTGの聖地である高田馬場でも高頻度でイベントがあるという話である。
僕が千葉県や東京近郊に住んでいなければ、少なくともリアルでのプレイは諦めていただろう。
2020年の初め頃には具体的な予定は無かったが、年内の目処にデビューを目指してカードと情報を収集。
そして同年10月に第9.9回GP旧枠モダンに参加するに至った。