●vol.50                     (2002/2/7)


初めて生で観るデヴィッド・バーンは、僕の持っていた難しい顔をしたインテリ・アーティストの
イメージからはかけ離れた、すごく楽しげに歌を歌い演奏するミュージシャンだった。





 ライブ

 Look into the Eyeball tour 2001/2002 / David Byrne

             (2002/2/4, 心斎橋クラブクアトロ)




その日19時過ぎに薄暗いステージ中央にブルーの作業服のような上下に身を包んだ男が
現れたとき、僕は、スタッフがマイクの調整にきたのだと思い、一瞬、デヴィッド・バーンだと分か
らなかった。ビデオなんかで観た感じでは、もっと背が高くすらっとした人だと思っていたから。
それはまぎれもなく、短く髪を刈り上げた白髪のデヴィッド・バーンだった。

ステージには、ボーカル、ギターのバーンの他、ベース1、ドラムス1、パーカッション1の4人。
ライブは、大歓声の中、前作アルバム『Feelings』 の「A SOFT SEDUCTION」で静かに始まりました。
あの、デヴィッド・バーンが目の前で歌いギターを弾いている・・・、15年来の彼の大ファンの僕は
感動でしばらくの間、音楽を聴くより彼の姿に目が釘付けになっていました。

ライブは、2曲目のTALKING HEADSのナンバー「(Nothing But) FLOWERS」で早くも過熱。
ファンキーでダンサブルな曲、ソウルフルでグルーヴィーな曲が次々と演奏されていき、僕を含め
最前列の観客は最初から踊りまくりで、滅茶苦茶、盛り上がった。とにかく、黒人のベーシストと
ドラマーの作り出すタイトでファンキーなリズムと、パーカショニストの細かな切り刻んだリズムが
織り成す音は最高にカッコよかった。

中盤、なんと6人ものストリングス奏者(ヴィオラ1、ヴァイオリン3、チェロ2)が加わりました。ロックの
ライブで、こんなバンドの編成も初めてだけど、これまた素晴らしかった。ストリングスは、しっとり
と聴かせる曲ではバーンのボーカルをさらにソウルフルで魅力あるものにしたし、ダンス・ナンバー
ではファンキーさを増した。

この日、トーキング・ヘッズのナンバー(「ONCE IN A LIFETIME」、「THIS MUST BE THE PLACE」、
「LIFE DURING WARTIME」、「AND SHE WAS」)も聴けたのがうれしかった。特に、まさか、「ONCE
IN A LIFETIME」('80年の傑作アルバム『REMAIN IN LIGHT』に収録)まで演ってくれるとは夢にも
思っていなかったな。

バーンは、観客の拍手に時々「Thank you」と答え、また、観客が英語で言ったことにもキチンと
答える、誠実でフレンドリーでユーモアのある(英語のできない僕は残念ながら彼の言ったことを
理解できなかったが、一部の観客からは笑いが起こっていた。) ミュージシャンでした。
初めて彼のライブを観た僕の印象では、デヴィッド・バーンという人は、観客を楽しませることに熱心
な本当のプロのミュージシャンだと思ったし、一方で本人がすごく楽しそうに見えました。
思わず笑ってしまう、彼のゆっくりと腰を左右に振る独特のダンス(?)は、音楽に酔う彼自身の自然
なノリの表現なんだろうな、と思った。

観客の大声援の中、バーンたちが手を振ってステージを降りても、拍手は鳴り止まず、結局、アンコ
ールは3回。ひょっとしてアンコールは日本のファン・サービスでトーキング・ヘッズのヒット・ナンバー
の連発かと思いきや、しっとりしたソロ作のナンバーでじっくり聴かせてくれました。

本当に素晴らしいライブだった。これからも、きっと、まだまだデヴィッド・バーンは僕たちを楽しませて
くれる素晴らしい音楽を作ってくれると思う。


----- set list -----

1. A SOFT SEDUCTION
2. NOTHING BUT FLOWERS
3. GOD'S CHILD
4. BROKEN THINGS
5. AND SHE WAS
6. ONCE IN A LIFETIME
----------------------------------------- STRINGS ENTER
7. THE GREAT INTOXICATION
8. MARCHING THROUGH THE WILDERNESS
9. THE REVOLUTION
10. SAX & VIOLINS
11. DURA EUROPUS
12. THIS MUST BE THE PLACE ( NAIVE MELODY)
13. WHAT A DAY THAT WAS
14. DESCONOCIDO SOY
15. LIKE HUMANS DO
16. U.B.JESUS
17. LIFE DURING WARTIME
----------------------------------------- ENCORE 1
18. I WANNA DANCE WITH SOMEBODY
----------------------------------------- ENCORE 2
19. THE OTHER SIDE OF THIS LIFE
20. AUSENCIA
21. THE ACCIDENT
----------------------------------------- ENCORE 3
22. THE MOMENT OF CONCEPTION



●vol.49                     (2001/11/3)


レコード・ショップで初めて、このCDを手にした時、思ったこと。

何なんだろう? このCDジャケットのデザインのセンスの悪さは。
それに、女の子にしては奇妙なグループ名、変なCDのタイトル・・・。
これはフツーのポップスじゃないはず・・・と、妙にソソルものがあったのです。




  うざい曲集 / METAMO       (2001, Tricycle)




実際に聴いてみると、これが痛快! 期待をはるかに上回る大傑作でした。

ユーロ・ビート、ロック、テクノ・ポップ、パンク、ヒップ・ホップ、いろいろなタイプの曲
は暴走しまくり、好き放題。おまけに、インドネシアのガムランみたいなのがあったり
とにかく、この突き抜け具合は並大抵ではありません。

僕が、このCDを聴いて思い起こしたのは、ジャーマン・ニュー・ウェーブのデア・プラン
とUKパンクのセックス・ピストルズでした。キャッチーなメロディーなんだけど、悪意の
ある諧謔のような歌詞と曲の展開、ねじれた電子パンクとでも言うような音楽。

METAMO(元チェキッ娘の3人だそうです!)のパンキッシュな歌もすばらしい。



●vol.48                     (2001/10/28)


今から13年前のデビュー・アルバム『こわれる』のジャケット裏の写真・・・
路地裏に、黒のワンピース姿の華奢な少女が少し影のある表情で佇んでいる。

しかし、その表情には、普通のアイドル歌手にはない、歌への執着心が隠されて
いるようにも見える。


小川範子は、少女から大人になっても、歌うことをやめなかった。




  ホオズキ / OGAWA (2001, KAERU CAFE)



  「 ホオズキの中の小さな玉
   噛み砕かれ血が流れる
   あなたを潰してしまいたい
   あなたに貰った着物なのに
   どうにもならない 」

    (「ホオズキ」   作詞:蒼井紅茶)


前作同様、ヲノサトルをプロデューサーに迎えたOGAWAの2ndアルバムは、幻想
的で官能的で、倒錯したラブ・ソング「ホオズキ」で始まります。

ブレイク・ビーツ、ボサノヴァ、レゲエなど色々なリズムとクールで洗練されたエレク
トロニクス・サウンド、あくまで日本の歌謡曲っぽいメロディーとエロティックな歌詞。
こんなポップ・ナンバーを小川範子は伸びやかな美声で情感豊かに歌う。

これは、歌に執着し、歌い続けた歌手による、傑作ポップ・アルバムだと思う。



●vol.47                     (2001/10/21)


深夜に部屋でひっそりと音楽を聴くとき。最近、僕は迷わず、朝生愛の『うめるもの』
を聴いている。




  うめるもの / 朝生愛 (2001, OZ DISC)



静まりかえった深夜に溶け込む、今にも消えてしまいそうな微かな音楽。

音数の少ない優しい音色のシンプルな演奏は淡々と同じフレーズとリズムを繰り返す。

そして、ささやくような歌は、時々音程が不安定になりながら、夜の静寂(しじま)の中を
漂うように、静かに流れては消えていく。

この、ジャケットの真っ白な皆既日食のように、強烈な輝きを放つサイレント・ミュージック
は、OZ DISCから。



●vol.46                     (2001/10/06)


陶酔の音楽。




  月と雨 / 小川賀子 (2001, fishmoon records)



目を閉じて『月と雨』を聴く。
心地よくて、イマジネーションを掻き立てる音楽には目の前の現実は邪魔になるから。

ディジュリドゥー、ホウメイ、ビリンバウ、龍笛といった聞き慣れない民俗楽器やタブラ、
ギター、バイオリン等のアコースティックな音色をバックに歌われる、時にエキセントリ
ックとも思える自由な歌と、時に静かにゆったりと流れていく歌。

このアルバムは、目を閉じて歌の情景を思い浮かべながら聴くのがいい。



●vol.45                     (2001/9/20)


'70年代後半〜'80年代初頭の歌謡曲への郷愁の想いから、欲しかった榊原郁恵のデビュー
25周年記念CD BOX。買うか買うまいか迷ったけれど、買って良かった。




  郁恵自身 25th ANNIVERSARY EDITION /
           榊原郁恵  (2001, NIPPON COLUMBIA)







'70年代後半〜'80年代前半はアイドル歌謡の宝庫なんだけど、この榊原郁恵さんのCD
BOXにも、いい曲がいっぱいです。

当時、小学生だった私は、彼女の元気で明るいキャラクターとはちきれんばかりの健康美で
アイドルの中ではかなり好きでした。初期の「夏のお嬢さん」に代表される元気いっぱいの
弾ける歌声が聴けるポップ・ナンバーは今も大好き。

ブックレット表紙の彼女のキュートな笑顔そのままのポップス集、しばらく愛聴盤になりそうです。

       ↓





●vol.44                     (2001/9/6)

R&B系やオルタナ・ロック系の女性シンガーが主流のJポップ界で、60〜70年代ポップス
の流れを汲むメロディー重視のポップスで勝負する類い希な女性アーティスト。




  Nectar / bice  (2001, Under Flower)





今年の5月に、深夜のFM放送から流れてきたウィスパー・ボイスで歌われる極上の
ポップ・ナンバーが、私とbice(ビーチェ)という女性アーティストの初めての出会いでした。
それからすぐ、手に入れられる彼女のマキシ・シングル、ミニ・アルバムを全て集めるほど
大ファンになってしまいました。

ミニ・アルバム『covers』で、ニック・ロウ、ビー・ジーズ、パイロット、コーギス、ホール&
オーツ、ELOなど、ポップの職人たちのナンバーをカバーするあたりにも、彼女のルーツが
よく表れていると思います。

1stフル・アルバム『Nectar』の全ての作曲とアレンジ、1曲を除く全ての詞は彼女の手に
よるものなのですが、これは本当にすごい才能だと思います。そして、その1曲の作詞が、
松本隆というのも、ちょっと意外だけれど、分かるような気もするのです。



●vol.43                     (2001/8/30)


8月の終わり。




  THE WONDER / TOM VERLAINE  (1990, FONTANA)





8月の熱情。終わりの感傷。

8月・・・。灼熱の太陽。汗ばむ手のひら。
夜になっても消えない熱気と喧騒、音だけが聞こえてくる花火。

トム・ヴァーレインのソロ・アルバム6作目『THE WONDER』の2曲目「AUGUST」の
甘美で繊細なギターは、僕に、もう2度と来ないであろう、あの8月をいつでも想い出
させてくれる。



●vol.42                     (2001/8/26)


あー、やっぱり、僕はこの手の'80年代ニューウェーブっぽいポップで、ちょっと変わったロックが
たまらなく好きなんだなぁ。




  ミクロ・ポップ / サード・クラス  (2001, DAIZAWA RECORDS)





男3人(ギター、ベース、バイオリン)、女2人(キーボード、ドラム)の5人からなるミクロ・ポップ・
バンド(5人の平均身長は155cmだという)の5曲入りミニ・アルバム。

エキセントリックな演奏と曲は、まるで初期のXTCのよう、と言えば褒めすぎか。

曲の展開、アレンジともすごく変で、ロックならではの高揚感があって、しかも基本的にはポップ!
久々に、ロックで盛り上がってしまったよ。



●vol.41                     (2001/7/28)


レコード・ショップで、ひときわ目を引いた美しく大胆なジャケット。
アナログ盤のジャケットを部屋に飾っておきたいと思うくらいです。




  Duet With Birds / Port of Notes  (2001, CRUE-L)





ボサノヴァっぽい、アコースティックでスタイリッシュで端正なポップ・ミュージック。

ポート・オブ・ノーツの音楽には、そう言葉で表すだけでは足りない、あまりにユニーク
で不思議な感じがします。ブラジルだけに留まらず、異国の地を転々と彷徨い続けて
いるクラブ・バンドのような。

そう思わせるのは、バックの音以上に、畠山美由紀のウェットで冷めたラウンジ感
あふれる歌の所為なのだと思う。






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