わたしのぺージ  第6章

 ブラジルのカーニバル

夏祭りそして各地で秋祭りが盛大に繰り広げられる季節がやってきました。

この季節になると南米のカーニバルが楽しい思い出となって私の心に蘇ります。

1960年代の南米航路は東回り太平洋パナマ経由の移民船と

西回りインド洋アフリカ経由で就航するA丸のような貨物船がありました。

南米航路は定期航路で最も長い航海になりますが、

欧州航路と共に船員達に一番人気があるのは

リオデジャネイロ・サントス・ブエノスアイレスなど情熱の港があるからです。

インド洋アフリカ経由の西回り南米航路A丸はブラジルでカーニバルに接する機会に

恵まれそうで、ラッキーな私達は日本出帆前から、もう ウキウキしていました。

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                                      西回り南米航路 あんです丸 8232屯         1959 Sepー1960 Oct..

 

日本と季節が全く逆である南半球のブラジルでは長い夏の終わり2月末に

カーニバルが行われますが、いかにも遊び好きのブラジルらしく

カーニバルの前夜祭は1ヶ月も前から始められます。 

この時期にブラジルに寄港したA丸は歌とサンバの踊りの渦に巻き込まれ、

サントス・リオデジャネイロでの荷役がすっかり遅れてしまいました。

そしてブラジル第三の都市、熱帯の町 レシフェーに入港した時、

                                                                             いよいよ本番が始まりました

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                                            40年も前・・リオデジャネイロの海岸・・              南米東岸の港々

街はデコレーションで飾りたてられ 官庁も商店もシャッターを下ろし、

街中仮装姿でサンバを踊る群衆と香水と紙テープで埋まってしまいました。

ブラジルのカーニバルは日本全国のお祭りを一度に全部集めても、まだまだ比較

にならないほどで、世界一!!老若男女一人残らず踊りまくり街ぐるみお祭り気分

に浮かれる三日三晩は建物も立木も・・・いや国全体が踊りだしたかのような錯覚に

とらわれます。 私達も有頂天になって仮装し、船を空にして上陸しました。

”ジャポネース” 振り向いた私達に、ほとんど裸に近い仮装で踊りぬく女達から、、、

ボンベに詰められたスプレー香水が吹きつけられる。

私達はカーニバルの歌を歌って、その仮装集団の渦中に入り歌い踊りました。

一年分の労働の報酬を全部はたいてしまう者が多いそうですが夜になると、

まるで浴びるのかと思われるほど、とめどなく酒ビンの栓が抜かれ、

足元も定かでなくなった男女が抱き合って歌い、そして踊る。

ふりまかれる紙テープと香水の雨にしっぽり濡れながら夜が明ける。

太陽が眩しい!・・・朝日に照らされた船に朝帰りと相成り、

三日三晩は昼と夜が逆になってしまいました。 ”ビーバ!カーナバル” 

A丸の出航日、一緒に歌い踊り飲み明かして親しくなったレシフェ市民は名残を惜しみ

涙を浮かべてハンカチを振るセニョリータに見送られ、心から叫びました!

アデウス・セニョリータ!アテアヴィスタ ( さようなら・娘さん!また会いましょう )

 ともずなを解いたA丸は・・汽笛を長く鳴らしながら・・

東にコースをとり 大西洋を 長い帰国の途につきました。

    ( 次回は東回り南米航路移民船です )

  

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