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Jeff Van Zandtインタビュー

出典:  ericjohnson.com ライブラリページ
copyright: Loic O'Brien、ericjohnson.com, 2005
Interviewed by: Loic O'Brien
「日本語文責: 山巻 由美子」


Austin City Limits Music Festivalを見にAustinを訪れた際、スーパーギタリスト Eric JohnsonのプロダクションマネージャJeff Van Zandtにインタビューする機会が あった。
Van Zandt自身、演奏技術は優れており、3/11 Club、Headliners East、Antone'sと いったAustinの著名なクラブの常連出演者である。Jeffは所有するギターを全て見せ てくれた上、その殆どを持たせてさえくれた。特にご自慢はBrownの'60年代製ヴィン テージFender Stratocasterで、断続的にだが5分ほど弾いて聞かせてくれた。大変 に素晴らしいサウンドだった。
私がギタリストとして苦心してきたあるニュアンスについて彼に尋ねたところ、喜んで教えてくれた。

自宅は数エーカーの土地にあり、眺望を楽しめる作りに改築中だ。Jeffは頑健で、 細かいところまでよく気がつき、礼儀正しい。実に堅実な彼は、自分のほしいものを よくわかっており、手に入れる能力も充分に備えているように思える。また、重労働 の主要部分を自分でせずに済む点でも幸運だ。
数年前、彼が38℃の猛暑の中、Marshallの大きなギターアンプ移動のため野外会場の アリーナの急勾配を登っているところを見たことのある身としては、自分でやらず に済むのは本当によかったと思う。

LO: Lois O'Brien(聞き手。Minnesota在住の本家メンバー)
JVZ: Jeff Van Zandt(回答者。EJのg-tech)


LO:
プロダクションマネージャとしては、独立した請負人なんですか?
JVZ:
そう、全く独立。誰と仕事をしようと自由なんだ。でもここ4〜5年は、ほとんど Eric Johnsonと独占契約みたいにやってるね。
LO:
普通の仕事している人みたいに、福利厚生や年金の恩恵は受けているのかしら?
JVZ:
自営業だから、福利厚生はないね。だから自分でカネ出してやることになる。 年金については、現金運用ファンドと、個人年金に入っているよ。
LO:
ツアーの最初の打ち合わせは、誰が召集するの?
JVZ:
僕か、アーティストのマネージャ。
LO:
どんなことを話し合うのかしら?
JVZ:
まず全員で前回のツアーの検証をして、まずかった部分をどうやって回避したり 巧くまとめたり出来るか考えるんだ。それから、次のツアーの計画に入る。
LO:
機材その他のリストは誰が用意するの? 標準的なリストがあるのかしら、 それともやる曲によって揃えるの?
JVZ:
普通はプロダクション会社や会場がPAと照明機材を備えているんだ。 50Wアンプより100Wの方がもちろん良いね。アーティストの固有の装備は、 何を演奏するか次第になる。
Eric Johnsonは大抵自分でリストを書いてくる。僕は機材の調達手配と、 輸送〜到着〜セットアップのスケジュール組み、その他のお膳立てをするんだ。
LO:
予備用にどんなものを持っていくの?
JVZ:
バックアップをね。全部。
LO:
全部.....ということは、ノアの箱舟みたいに、全部2セットずつ 持って行くっていうこと?
JVZ:
そう。あとは、色々へんなものね。例えば2Bの鉛筆、 ヘアドライヤー、ダクトテープなんか。ダクトテープはすごく沢山要るんだ。
それと、特にあるアーティスト用に、非常にはっきり限定されたあるブラン ドの延長コード.....(笑)。ああそうだ、あと綿棒。
LO:
搬出入に際しては、会場のスタッフはしっかり手伝ってくれるものなの?
JVZ:
ステージまわりをやってくれるスタッフが2-3人くらいしかいないところ もあるね。会場によって違うんだ。だから必要な場合は、自分用のアシスタント を一人連れて行くようにしている。
LO:
ツアーで長期間留守にする時は、自分のことはどうしているの? 
ペットや手紙類や.....支払なんかがある時は、ツアー先でどうやっている?
JVZ:
幸運にも、留守中の家の切り盛りをして、犬のMollyの面倒を見てくれる人がいてね。 (Mollyは、合図ひとつでパティオのドアのところに現れ、私たちが話している間、ゆっく りと尾を振りながら、辛抱強く静かに待っていた。こういうことには慣れていて、Jeffの手 が空くのを待たなければいけないことがよくわかっているようだ。)
長いツアーになる場合、支払の類は出来るだけ出発前に済ますようにしているけれど、時 には滞在先に手紙を転送してもらうこともあるし、インターネットバンキングを使ったり もするね。
LO:
これが世界一の仕事だと思う?
   (Jeffは微笑し、一瞬間をおいて答えた)
JVZ:
ひどい日もあるし、それも含めて最高だと思う日もあるよ。
コロラドのCooper Mountain Festivalでは、Buddy GuyとEric Johnsonとステージでjamが出 来て、これはもうすごいことだった。フロリダのWest Palm Beachでは、ステージのEricを見 ていたんだけど、その晩の彼はすごく調和が取れていて、僕を見る時の様子で、完全に集中 しているのが実によくわかった。その晩のEricは、聴いた事もないようなノートを連発して いたよ。この仕事には、今言った2つみたいな、すばらしい時があるんだ。
LO:
バスで寝泊りするのは、どういう風? 例えば2日毎にホテルに泊まるとか?
  バスだけで寝泊りの最長はどれぐらいだった?
JVZ:
丸一週間バス暮らしだったこともあるよ。降りてセットアップして、ショウをやって、 またバスに乗って移動の繰り返しで。食事は「Amyの冷凍ディナー」を電子レンジで済ませ てね。今は新しいバス会社を使っていて、そこの奥さんが運転することもあるから、寮母 ならぬバス母みたいだよ。
大きなツアーになると、バンド用とクルー用2台になる。どっちがパーティバスだと思う?  ただしEricはだてに「Mr. Rogers」と呼ばれてないってことを考慮に入れてね。
(訳注: Mr. Rogers: '50年代からの米国の子供番組の有名なキャラで、善良な紳士。)
LO:
コインランドリーも利用するの?
JVZ:
うん、することもあるよ。ホテルに泊まる場合は、クリーニングサービスを使う。 とても良い会場だと、そういう設備も整っているけどね。ミュージシャンの生活を良く 知っているから、洗濯機や乾燥機が使えるようになっていて。洗濯機と乾燥機がバス に備わっている場合もあるし。
LO:
あなたの仕事は、そうね例えばロードマネージャとは、どう違うのかしら?
JVZ:
ロードマネージャは、主に会計方面を担当してるんだ。日当だとか、会場から 支払われる金だとかね。僕の仕事は、前セッティング、つまり会場と連絡を取って 搬出入の段取りを組んだり、音響や照明の詳細について色々連絡して手配したりす る方なんだ。プロダクション会社とも前もって連絡を取って、セットの設備や、 会場がPAを持っていない場合はその手配もするし、ピアノみたいに特別なアイテム も準備したりする。

(彼は自宅にある、コンピュータ、机、ファイル、ファクス機、電話など設備の整 ったこのオフィスで、ツアー全体の旅程を作っている訳だ。彼は微笑しながら言う。 「バンドは旅程表さえ見やしないこともあるよ。僕に聞く方がずっと早いからね。 どんな細かいことまでも知っていて当然と思われているんだ」)

LO:
この仕事を始めてどれぐらいになるの?
JVZ:
もう9年になるね。友人のIan Mooreを通じて、この仕事に入ったんだ。 彼は今北西部に住んでいる。引越しを手伝ったよ。
LO:
このテの仕事をするのに、Austin以外ではどこがいいかしら?
JVZ:
Los Angeles、New York、Nashvilleなどが特にいいよ。
LO:
最悪な時の話をしてくれる?
JVZ:
Indianapolisで、Lynyrd Skynyrdのツアーだったんだけど、 大嵐が速くやって来たことがあった。ショウの最後の曲"Free Bird"の 演奏中に、風が吹いて、どしゃ降りの雨が風のせいで横殴りに吹き込ん で来たんだ。雷と稲妻もすごくてね。ショウ終了の後、機材に、天幕を 防水シート代わりにかけてしのいだけど、後で見たら機材は全部濡れて しまっていたよ。アンプを全部分解して、ドライヤーで乾かしてやっと 使えるようにした。次のパフォーマンスまで時間も限られていたから、 大仕事だったな。
LO:
最高の時は?
JVZ:
2度目の"Lilith Fair Festival Tour"。夏のギグで、プロダクシ ョン会社は本当に素晴らしい、一流の会社だった。自分の仕事を終えた後 、肘掛椅子に座って、Sheryl CrowやSara McLaughlinといったアーティス トの演奏をゆっくり見たんだ。この時がベスト。ツアー全体の運営が非常 にプロフェッショナルで、全てがスムースに運んで、あるべき姿に調和し ていてね。
LO:
米国内のどこに住んでもいいといわれたら、どこに住みたい?
JVZ:
カリフォルニア州Newport Beach。
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さしあたりは、彼はAustinにいる。住民は幸運だ。そう思う人は他にもたく さんいるだろう。

Lois O'Brienはミネソタを本拠とする駆け出しのフリーランサーである。
その昔ギターに出会って、以来今日までEric Johnsonとツアーを共にしている --- 一ファンとして。

<<おしまい>>