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2000年4月 EJインタビュー その2

出典:  ej-l Mailing List dd 27/APR/2000
copyright: Park Street/Eric Johnson, 2000
original text transcribed by: Nancy Kampe
「日本語文責: 山巻 由美子」

PS:
さてそれじゃ、リストからの質問をいくつか。面白いと思った質問は、「ミュージシャンになるという決心をいつしたのか? ミュージシャンになっていなければ、何になっていたか?」
EJ:
ミュージシャンになろうと思ったのは、音楽が父にどんなに喜びを与えているか見ていたからだと思う。父はほんとに音楽好きだったんだ。レコードをかけたらもう別世界に行ってる、みたいな。音楽の力や、音楽が父に与えた影響がすごく印象深かった。それと、僕自身、音楽に引き寄せられたし。子供の頃、まだCDプレイヤーが出来る前には、ポータブルレコードプレイヤーがあって、僕はそれを、今まで見た内で一番かっこいいマシンだと思ってたんだ。で、5才の時、親父がプラスティックの小さなレコードプレイヤーをくれて、僕はそれが何よりかっこいい物だと思った−−−Elvis Presleyなんかを聴きながらさ。そういうのって活動的なエネルギーがあって、キラキラした人たちが、日常の外側でやってるような感じでしょ。そのエネルギーが好きになって、それからありとあらゆるギター音楽に惚れ込んじゃったんだ。
建築家になりたいと、いつも思ってた。最初は医者になりたかったんだ、親父が医者だったから。でも十代前半になって、少年の僕は(笑)、なんでだかよくわからないんだけど、建築に興味持っちゃって。今でも建築の本やきれいな家を見るのは大好きだよ。もし金があったら、絶対建築家を雇って、突飛な家をデザインしてもらうんだ。そういうの好きだから。建築って、空間を使ったすばらしい芸術だと思うよ。あと、天文学に興味があった時期もあるんだけど、あれってほとんど数学の世界だし、すごく孤独なんだよね。どこか星の見える所に出かけて行って、三角法であれこれ計測したりして。ま、よくは知らないんだけど、僕としては、天文学のテーマは、ともかく望遠鏡を覗くのが大好きなんだ。大好きなんだけど、でもそういう部分は天文学の20%で、あとの80%は数学と、野外にぽつんと座って星が動くのをじっと待つということだからね。(くすくす笑い)
PS:
ちょうど、みんなが聞いてくる質問に絡んできたな。Venus IsleといいSaucer Sound(訳注: EJのスタジオの名称)といい、君の周囲のUFOや天文絡みのもののことだよ。どうやら天文学好きから来てるみたいだね。君が、例えばネヴァダ州のポイント59(訳注: UFOウォッチの名所)でキャンプしたりするとは思えないものな。
EJ:
でも、マクドナルド天文台には2回行ったんだよ。そこの望遠鏡を覗けばすばらしさがわかるよ。大きい望遠鏡は言うまでもなく、小さいやつでもね。望遠鏡を覗いた途端、バスケットボール大の土星や、周りの輪が全部見えるんだ。そりゃもう.....(黙考).....言葉で表現するのは難しいな。自分の小さなガラスの世界を粉砕するような物を地球上に見つけるのは難しいじゃない。うん、なんて言うか、「うわぁ、ねえどういうことかわかる?」みたいな感じなんだけど。
それが理解出来れば、今まで気づかずに眠り続けていたものに、視界が与えられるんだ。僕らは自分が考えていることがこの世の標準で、それが現実なんだと思っているものだけど、そこに別の展望が与えられるってすごいことだよ!
そう、そういったことが、歌詞の材料になってると思う。
PS:
みんなスタジオのことを知りたがっているんだ。あれは何より私的なスタジオだよね。
EJ:
2回ほど、他の人に使ってもらったことはあるよ。他にもあそこでレコード録りたいって人がいて、その内実現すると思う。でも基本的には、ビジネスじゃなく親しい人にだけ提供してるんだ。もし貸しスタジオをやるとすれば、区分や税金の問題があるから、建て直ししなきゃいけないんだよ。つまり基本的に、私的なオフィスを賃貸しするのは違法なんだ。
PS:
ああ、なるほど。じゃあストーンズがあそこで新曲を録音したりなんてことは起こらない訳だね。Carla Olsenならあるかも知れないけど.....
EJ:
そういうこと。将来、自分がレコーディングしてない時に練習に使える場所でも手に入れて、スタジオ区分し直すことはあるかも知れないけど、でも今のところは、スタジオは個人的な投資なんだ。
PS:
Goldmine紙のインタビューで、書きためた詩がいっぱいあると言ってたね。本として出版する気はないのかという質問がたくさん来てるよ。
EJ:
先週Joeとその話したんだ、本にして出版出来ないかと思って。僕の楽譜を出してる出版社に話してみようかって言ったら、Joeはそういうところは詩とは畑違いだからダメだって。だから、うん、もしどこか出版社がわかれば、多分誰か見つけて、なんとか詩集にまとめあげると思う。そんな大きな本にはならないけど、でも
PS:
好きな詩人は?
EJ:
E.E.Cummingsが好きだったな。シェイクスピアタイプの詩じゃないだろうけど、詩的な文体だと思うんだ。Robert Frostもよかった。彼はとても古風ではあるけど、いくつかの作品は気に入ったよ。うーん、そうだな.....(長い黙考)..
.あとは今思いつかないや。
(訳注: E.E.Cummings 1894-1962、Robert Frost 1874-1963、共に米国の詩人)
PS:
まあ、君が聴いてるミュージシャンの多くも、基本的には詩人な訳だしね。
EJ:
そうだね、Hendrixなんかすばらしい作詞家だったよ。ほんとに、すごくいい。Bob Dylanもすごいよね、というか、Bob Dylanはとんでもない詩人だよ。
PS:
リストからの質問をもう少し続けよう。若い頃、定職があったかい? ずっと音楽で身を立てて
EJ:
今までの人生で、3つの職に就いたことがあるよ。その1、親父の医院の管理人。11才から12才の頃。
PS:
(((((笑)))))おっ、児童労働!
EJ:
そう、僕はやりたくなかったのに、親父が強制したんだ。なにしろ鎖が6フィートしかなかったもんで、言う事をきくしかなかったんだ。冗談だけど(くすすくす笑い)。学校が終わってから30分ばかり、クズかごの中身を捨てたり、床を拭いたりするんだ。それで月40ドル。僕が親父にもちかけたんだ、やりたいって。自分で稼いだ40ドル持って町に出る小金持ちって訳。(((((笑))))))
PS:
当時の相場としてはすごくいいペイだったな。
EJ:
そう、今だったら多分2、3万ドルにはなるね! 年を言うだけで。
(訳注: 児童使役の賠償金という意味)(((((笑)))))
で、70年代は、楽器屋で働いてた。
PS:
どこの店?
EJ:
Lloydの。
PS:
ああ、そうなんだ。あの店は憶えてる、僕がWashburnを買ったとこだ。
EJ:
そう。働き出してから3ヶ月ぐらい経ってから、その店でギタークラスを持つようになったんだ。カウンターにも入ってたよ。チューンアップしてないギターを売りつけるのは難儀でね。(((((PS爆笑)))))店主はさ、「買いもしない奴に商品の何から何までばらしたりするな」って言うんだ。だから「わかりました」とは言ったんだけど、でもねえ、言いにくいよ、「ええ、これはすばらしい品ですよ」なんて。当のギターは弦がネックから1インチも外れてて、(((((PS爆笑収まらず)))))
それを「別に問題ないですよ」って言ってさ。
PS:
んー、ま、スライドやるにはいいんじゃない?
EJ:
そうね。あと、楽器屋の前に、2日だけ大工やったんだ。正確には1日半しかもたなかったんだけど。(((((PSまた爆笑)))))垂木やなんかに釘打ったりするんだけど、えらいきつくて、大変過ぎて手がバカになっちゃうんだ。
PS:
それに君の仕事は信じられないほど精密で遅いし。
EJ:
精密もなにも、僕はうまく出来なかったんだ。きつい仕事だよ。えらく重い木材を運ぶんで、背中に来るしさ。ホント、重労働なんだって。あんな骨の折れる大工仕事を明けても暮れてもやってる人なんて、尊敬しちゃうよ。大変な仕事なんだから。1日半しかもたなくてはずかしいよ。僕なりに頑張ったんだけどさ.....。ま、それで、音楽で食う方法を考えることになって、あるトップ40のバンドでしばらくプレイしたんだけど、これはもう生活のためと割り切ってやってたね。それで、音楽で生きていくにはもうちょっとオリジナルなことをやらないとダメだと思ったので、今度はそういうことをしたんだ。
ほら、目標を自分の正面に据えて、「心に思い描いていたことを実現する方法を見つけなきゃ」って思うことがあるじゃない。で、すごく粘り強く頑張りさえすれば、大抵のことは実現出来るんだよ。まあ思い描いたほどたいそうなものって訳にはいかないかも知れないけど、それに近いことは実現可能なんだ。目の前に何かあるとするでしょ。一般的傾向として、「ああ、それやりたいんだけどこれこれこうで、これもあるし、あれもやらなきゃいけないし、だから出来ないや」って思っちゃうものじゃない、僕らみんな。でも、「自分のやりたいことはこれなんだ、もうはっきりこれなんだ。どうやれば実現出来るだろう?」って考えなきゃ。自分のやりたいことをはっきり具体化出来ていれば、実現するにはどうすればいいかわかるんだよ。みんな、やりたいことをもっと実現出来ると思う。僕もElectromagnetsに入る時、そんな風に考えたんだ。それで
PS:
幸運をつかむんだ、と。(((((笑)))))
EJ:
なんとか食いつないでたじゃない。
PS:
そうね、人生の内でもすばらしい時期だったな。
EJ:
楽しかったね。単純な時期だったからね、他に何もなくて.....
PS:
オースティンは全米一生活費が安かったんだ。
EJ:
そう、それで食いつないでいけたんだね、うん。振り返ってみると、あの時期は天の恵みだったな。だってねえ、やりたいことやって、オリジナルな音楽をプレイして、楽しんで、音楽やって、旅行して、そんで自活してさ。ホント、いい時期だったよね。
PS:
それに、僕個人としては、君たち4人とも、マネージャーでも何でもやってやりたくなるような、とてもいい奴らだったしね。
(訳注: PSはMagnetsのマネージャーをボランティアでやっていた)   
-------その3に続く--------