マイクアンプ設計の基礎
JE7CLZ 稲葉伸一 1/61.実際の音の波形



図―1 あーの波形 図―2 あーの周波数特性 図―3 口笛の波形と周波数特性
あーの波形/周波数特性
・ピーク点が最大まで達しない部分がある。→SSBで送信すると、デューティが低いためパワー計があまり振れない。
・複数の周波数成分を含んでいる。
口笛の波形/周波数特性
・ピーク点がほぼすべて最大値まで達している、サイン波になっている。→SSBで送信すると、デューティがほぼ100%のためパワー計が最大電力まで振れる。
・ほぼ、一つの周波数成分である。
2.ハイパスフィルター
抵抗とコンデンサーを用いた簡単なフィルタ


図−4 8kHのハイパスフィルター 図−5 左の回路の周波数特性
Vin=I(R2+(1/(2πfC))2)1/2 Vout=IR ゲイン=Vout/Vin=1/(1+(1/2πfRC)2)1/2
f=1/2πRcの時、ゲインが1/21/2(0.7倍)となり、
このときの周波数を遮断周波数と言い、1/(2・π・R・C)=約8kHzとなる。
*このハイパスフィルタを使用し、SSB(帯域=3KHzと仮定)で送信すると?
3KHzが最高通過ポイント→そこのレベルから3db減衰した周波数がSSBで送信したときの遮断周波数となる。
3KHzでの元々のゲインは0.353倍 → そこから3db減衰したゲインは元々のゲインの0.25倍
元々のゲインの0.25倍の周波数ポイント=約2KHz
*周波数帯域を無視して遮断周波数が2KHzハイパスフィルタを設計し、いま述べたフィルタと特性を比較してみましょう。


図−6 2kHハイパスフィルタ 図−7 左の回路の周波数特性
C=0.08μF R=1KΩ→ 遮断周波数=約2KHz
SSB 3KHz帯域で考えると、
3KHzでは元々のゲイン=0.8倍 → そこから3dbダウンしたポイントは元々のゲインの0.57倍
元々の0.57倍の周波数ポイント=1.38KHzとなる。

3.ローパスフィルタ


図−9 160kHのローパスフィルタ 図−10 左の回路の周波数特性
Vin=I(R2+(1/(2πfC))2)1/2 Vout=I/2・π・f・C
ゲイン=Vout/Vin=1/(1+(2πfRC)2)1/2となる。
f=1/2πRcのとき、ゲイン=1/21/2(0.7倍)
遮断周波数は=1/(2・π・R・C)=約160Hz
4.ハイパスフィルタの”つまった音”解決方法
先ほど紹介したハイパスフィルタの回路では100Hz付近ではほぼ通過しなくなる。
ちょっとだけ低周波も通過させる回路例


図−11 ゲイン0.1〜0.53 8kH ハイエンファシス 図−12 左の回路の周波数特性
周波数が低い部分ではコンデンサにほとんど電流が流れない → 最低ゲイン=R2/(R17+R2)
高い周波数部分、コンデンサのインピーダンスはほぼ0になる
→最高ゲイン=R2/(R16・R17/(R16+R17)+R2)
遮断周波数は、1/(2・π・C・(R16+R2))となる。
この回路を使用することにより、周波数が低い部分を全く通過しなくなるとという特性を改善できる。
5.クリッパ回路
クリッパ回路とは、両端の電圧がある電圧以上になったら電流が流れ出しその両端の電圧は一定にになるというダイオードの特性を使用する。 

・クリップ回路で0.7Vよりはみ出た部分をカット。
・カットすることによって、波形が変形し生信号の成分とは異なる周波数成分が発生→高調波発生


図−17 マイクアンプにつけてマイクコンプレッサーとして使用する方法
6.AGC回路
動作の説明
AGC回路:出力をAGC電圧(直流)に変換し、その電圧によってゲインが変化するゲインコントロールアンプ
にフィードバックする。
・出力が大きい→AGC電圧増加→ゲイン低下
・出力小さい→AGC電圧低下→ゲイン増大
→出力を一定にしようとする
・入力があるレベル以下であれば、ゲインコントロールのゲインは最大値で固定となる。
・波形の一つ一つピーク点を持ち上げるのではなく、ある程度の時間(最低周波数の周期以上の周期)でゲインをコン
トロールすることにより音質を変えないで音のレベルを一定にするのが目的。応答速度変えるには、整流回路の
・平滑コンデンサの値を変えれば変わる。
7.増幅回路
トランジスタ1石を使用した増幅器の例
増幅度はどうなる?

・交流信号の電圧増幅率=−R1/R2
・増幅率のマイナスは位相が反転することを意味する
8.実際のマイクアンプの回路例
(1)ノ−マル


・ベース・エミッタ間の電圧が0.7以上ないと動作しない
→ベースに0.7V以上の電圧をかけておく(バイアス電流)
→この場合の増幅率は 500/100=5倍
(2)ローカットマイクアンプの回路例
遮断周波数=1KHz 増幅率5倍(負荷1KΩを考慮)


入力=10mV 出力 4.7mV/100Hz 33.5mV/1kHz 47.5mV/10KHz
(3)ローブーストマイクアンプの回路例
遮断周波数=1KHz 増幅率5倍(負荷1KΩを考慮)


入力=10mV 出力 46.7mV/100Hz 33.2mV/1kHz 4.68mV/10KHz
(4)ハイエンファシス型増幅回路の例
遮断周波数3KHz 通過域増幅率=5 最低増幅率=2 (負荷抵抗=1kΩを考慮)


入力=10mV 出力 19mV/300Hz 34mV/3kHz 49mV/30KHz
(5)コンプレッション回路の例
入力が10mVを越えた部分は、1/10に圧縮 10mV以下のコンプレションがかからない領域の増幅度は2とする。





9.コンデンサマイクの説明
一般的にコンデンサマイクと呼ばれておりますが、正式にはエレクトレットコンデンサマイクロフォンと言います。
マイク部分はコンデンサですので、電圧を加えておけばQ=CVの電荷が蓄えられられます。コンデンサの片方の電極板を固定しておき、もう片方を音によって振動させます。そうすると電極板の隙間が変わり、コンデンサのCが変化するわけです。そうすると、電荷Qは急には変わりませんから電圧Vが変化します。空気の振動が電圧の変化になるわけです。基本的原理は今述べたとおりですが、市販されているコンデンサマイクには、FETアンプが内蔵され
ています。実際のマイクとなる電極には、電源より電圧を供給しているわけではなく、半永久的に帯電するコンデンサ(エレクトレットコンデンサ)が使用されています。
11.回路設計に役立つプログラムの紹介
(1)Pspice(ORCAD)
回路をパソコン上で組んで、実際にどう動作するかシミュレーションできる。
波形表示(FFT可能)、周波数特性、・・・
無料の評価板(機能限定)を使用しているが、紹介した回路規模では問題ない。
入手先:http://www.cybernet.co.jp/products/eda/OrCAD/news/nw_frame9908.html
(2)WaveSpectra Ver1.20
サウンドカードに入力した信号をオシロ/スペアナ表示で表す。
スペアナは3D表示ができるため、時間経過による変化も見えてわかりやすい。
入手先:CQ誌6月号 CD
(3)WaveGeneVer1.20
パソコンで設定したサイン波、方形は、AM変調等、サウンドカードから出力できる。
入手先:CQ誌6月号 CD
なお、ここで紹介した回路でのトラブルの責任は持ちません。 (発火、発煙、その他のトラブル・・・)
また、資料中の誤字・脱字、勘違いがありましたら、ご勘弁ください。
ホームページ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~je7clz/
Microphone amplifier design basis material
JE7CLZ 1/6
1.Actual waveform



Figure―1 Voice of "A" Figure―2 Frequency dispersion of "A" Figure―3 Whistle
Voice of "A"/Frequency dispersion of "A"
・It doesn't swing until the peak. →When we transmit by SSB mode、The power meter doesn't swing so much because the duty ratio is low.
口Whistl/Frequency dispersion
・It swings until the peak.It is sin wave.→When we transmit by SSB mode、The power meter swings suntil the peak because the duty ratio is 100%.
2.High-pass filter
RC filter


Figure−4 8kHHigh-pass filter Figure−5 Left circuit Frequency dispersion
Vin=I(R2+(1/(2πfC))2)1/2 Vout=IR Gain=Vout/Vin=1/(1+(1/2πfRC)2)1/2
f=1/2πRc、 Gain:1/21/2(0.7times)、
This Frequency is cutoff Frequency、1/(2・π・R・C)=about8kHz。
*If we send on ssb mode by this high pass filter(band whith=3KHz)
3KHz is max through frequency→Cutoff Frequency is point of 3db down.
3KHz;0.353mV → Point of 3db down:0.25mV=2KHz
*High pass filter of 2kHz cutoff


High pass filter of 2kHz cutoff Frequency dispersion
C=0.08μF R=1KΩ→ Cutoff=約2KHz

3.Low pass filter


160kH Low pass filter Frequency dispersion
Vin=I(R2+(1/(2πfC))2)1/2 Vout=I/2・π・f・C
Gain=Vout/Vin=1/(1+(2πfRC)2)1/2
f=1/2πRc、Gain=1/21/2(0.7times)
frequency of cuttoff=1/(2・π・R・C)=about 160Hz
4.High pass filter +α


図−11 ゲイン0.1〜0.53 8kH ハイエンファシス 図−12 左の回路の周波数特性
Poin of Low frequency → current of condenser is 0 → gain of min=R2/(R17+R2)
Poin of high frequency → current of condenser is max
→Max gain=R2/(R16・R17/(R16+R17)+R2)
Frequency of cutoff、1/(2・π・C・(R16+R2))
5.Clipping circuit
。 

・It is cuting more 0.7V


6.AGC回路
The output voltage is made in smooth [shi] and it is made AGC voltage.
The amplification factor is controlled by the AGC voltage.
7.増幅回路
トランジスタ1石を使用した増幅器の例
増幅度はどうなる?

・交流信号の電圧増幅率=−R1/R2
・増幅率のマイナスは位相が反転することを意味する
8.実際のマイクアンプの回路例
(1)ノ−マル


・ベース・エミッタ間の電圧が0.7以上ないと動作しない
→ベースに0.7V以上の電圧をかけておく(バイアス電流)
→この場合の増幅率は 500/100=5倍
(2)ローカットマイクアンプの回路例
遮断周波数=1KHz 増幅率5倍(負荷1KΩを考慮)


入力=10mV 出力 4.7mV/100Hz 33.5mV/1kHz 47.5mV/10KHz
(3)ローブーストマイクアンプの回路例
遮断周波数=1KHz 増幅率5倍(負荷1KΩを考慮)


入力=10mV 出力 46.7mV/100Hz 33.2mV/1kHz 4.68mV/10KHz
(4)ハイエンファシス型増幅回路の例
遮断周波数3KHz 通過域増幅率=5 最低増幅率=2 (負荷抵抗=1kΩを考慮)


入力=10mV 出力 19mV/300Hz 34mV/3kHz 49mV/30KHz
(5)コンプレッション回路の例
入力が10mVを越えた部分は、1/10に圧縮 10mV以下のコンプレションがかからない領域の増幅度は2とする。





9.コンデンサマイクの説明
一般的にコンデンサマイクと呼ばれておりますが、正式にはエレクトレットコンデンサマイクロフォンと言います。
マイク部分はコンデンサですので、電圧を加えておけばQ=CVの電荷が蓄えられられます。コンデンサの片方の電極板を固定しておき、もう片方を音によって振動させます。そうすると電極板の隙間が変わり、コンデンサのCが変化するわけです。そうすると、電荷Qは急には変わりませんから電圧Vが変化します。空気の振動が電圧の変化になるわけです。基本的原理は今述べたとおりですが、市販されているコンデンサマイクには、FETアンプが内蔵され
ています。実際のマイクとなる電極には、電源より電圧を供給しているわけではなく、半永久的に帯電するコンデンサ(エレクトレットコンデンサ)が使用されています。
11.回路設計に役立つプログラムの紹介
(1)Pspice(ORCAD)
回路をパソコン上で組んで、実際にどう動作するかシミュレーションできる。
波形表示(FFT可能)、周波数特性、・・・
無料の評価板(機能限定)を使用しているが、紹介した回路規模では問題ない。
入手先:http://www.cybernet.co.jp/products/eda/OrCAD/news/nw_frame9908.html
(2)WaveSpectra Ver1.20
サウンドカードに入力した信号をオシロ/スペアナ表示で表す。
スペアナは3D表示ができるため、時間経過による変化も見えてわかりやすい。
入手先:CQ誌6月号 CD
(3)WaveGeneVer1.20
パソコンで設定したサイン波、方形は、AM変調等、サウンドカードから出力できる。
入手先:CQ誌6月号 CD
なお、ここで紹介した回路でのトラブルの責任は持ちません。 (発火、発煙、その他のトラブル・・・)
また、資料中の誤字・脱字、勘違いがありましたら、ご勘弁ください。
連絡先 JE7CLZ 稲葉伸一
ホームページ
http://www2u.biglobe.ne.jp/~je7clz/
2000.6.24 第33回 7099大会 講習会資料