R1流 ペーパー車両の作り方

ペーパー車両を手がける人の数だけ作り方が存在していると言っても過言ではないでしょう・・・・ それほど作る人によって製作方法が違うから面白いのだと思います。
作り始めてまだ数作ですが、基本的な作り方がだいたい決まってきました。
クハ76ショーティを例に説明して行きます。 かなり変な作り方をしていると思いますが、これから挑戦してみようと思う方への参考になれば幸いです。

車体作図
作りたい車両の図面や製作記事を古本屋や図書館、ネット等で探します。
その図面を元に零番ですので、実車の1/45サイズにしてCADに入力して行きます。
使っているのはMACとVector works(Mini CAD)です。
特にマックの22inモニターは20m級車両でも1/45原寸表示で作図できるので、もの凄い重宝してます。
作業はまず車体側面外張りを描きあげてから、それを元に内張り、次はドア、車体前面と進めて行きます。 例外として、湘南型だけは車体前面の顔から作図していきました。
特徴的な顔を持つ車両の場合はこのパターンが増えるかもしれません。
重要なのはこの段階で、後のプリントアウト作業時の事を考慮し、印刷する用紙のサイズを決めておくことで、 17m級やショーティ・バージョンは210mm×400mm、20m級は210mm×460mmに設定してます。


MACでの作業中(画面はクハ76、車体外張り)
CADを使っての作図は修正が楽なのと、コピー&ペーストで部品を瞬時に増やせます。
そして一度作図した形式から、別の形式を作り出したりということも簡単。
特に旧型国電の場合、車体側面の窓とドアの位置を変更するだけで色々な形式が作図出来ます。

ケガキ(印刷)
車体に使う紙は、文房具店で普通に売っている0.5mm厚の白ボール紙。これで十分です。
白ボールにプリンターで印刷していきます。
使ってるのはエプソンのインクジェットプリンターです。
あたりまえですが、何枚でも同じ物が印刷できるので編成物の製作には◎。
この時に気を付ける事は、車体外張りと内張りを同じ設定で印刷する事・・・・
場合によっては張り合わせの段階で”ずれている”事が発覚してやる気をなくしかねません・・・・


全ての印刷終了
外張り、内張り、顔と3枚に分けて印刷。外張りと内張りの紙の目を交差させるのは、ペーパー車両製作のお約束。

この段階で一度防水処理をします。この後の切り抜き作業の時に白ボールに手の水分が移らない様にする為です。 使用するのは本来コンクリートや木材に水のしみ込みを防ぐ目的の塗料で、ホームセンターで入手できます。


使用した防水塗料、アサヒペンの物です。
浸透性と伸びが良く、筆でささっと塗れます。1リッター缶を買っちゃいましたけどこの半分のサイズもあります。
面倒くさがりな人には、スプレータイプも売ってます。

パーツになる部分に大きめの筆で、2回塗ります。
この段階では裏側には塗りません。塗ると手の水分の防水と同時に、若干ですが白ボールの強化にもなる様です。
塗ったばかりはこんな色ですが、乾くともっと薄い色になります。

切り抜き
防水塗料が乾いたら、パーツを切り抜きます。
車体の切り出しは40cmの大型のステンレススケールと大きいカッターで切り出します。
カッターで切る作業は必ずガラス板の上で行います、裏面へ切り出し時のカエリが出なくて シャープに切れます。
Rの部分は工具鋼の丸棒から作った自作のノミを使ってます。市販の彫刻刀でも十分なのですが、真円になってない のが気になって・・・


窓抜きに使う道具。
OLFAのデザインナイフ、刃を固定する部分が金属製の高級型(^^)
持つ所が太くてラバーの滑り止めも付いてるので 長時間の作業でも指先が痛くなりません。 刃はデザインナイフの他に平刀も付けられる。デザインナイフの刃はこれ専用じゃなくて普通のタイプ。 切れ味が落ちたらジャンジャン交換。
あとはステンレススケール2種とガラス板。

自作のR抜き用のノミ。
2mmと3mmの工具鋼の丸棒から作成。旋盤で刃先を加工したのちに焼きを入れて、オイルストーンで刃研ぎ。
小さいハンマーで叩いて切り抜きます。
使い方はドア等のRのケガキ線よりも心持ち内側に刃を当てて、ハンマーでトン!
この作業はカッターマットの上で行います。
1.5mmも作らなくては・・・・

車体右側の外張りと内張りを切り出した所です。
プリンターを使ってのケガキは水平、垂直が正確、なんも考えずに切り抜き線にスケールを当てて淡々と作業。
30分ほどで片側終了します。
CADでの作業時に、切り抜く所は実線、そうでない所は点線と自分でルールを作っておくと間違って切ってしまうのを 防げます。

ワンポイントアドバイス!

窓枠の細い部分には、この段階で瞬間接着剤をしみ込ませておきます。
こうする事で窓枠を強化でき、後の作業で誤って折ってしまうということが防げます。

画像の様に弱い部分にすーっと染み込ませるだけでOK。

使っているのは、アロンアルファの業務用・・・201と呼ばれるもの凄〜くサラサラなタイプ。 今後妻板を接着する時やあらゆる部分の白ボールの強化、ちょっとしたプライマー代わりと 多用します。
こんな容器に入って販売してます。5本入り。
購入は東急ハンズなどで。

張り合わせ
窓やドアなどを切り抜いたら、外張りと内張りを貼り合わせます。
張り合わせに使う接着剤は、2液式エポキシの30分硬化型、その他に圧着するための壁紙を貼る時につかうローラーがあると便利。
ガラス板2枚と適当な"おもし"も用意します。


エポキシ接着剤を適量混合し、外張りの内側に薄く塗っていきます。思ったよりも薄く伸びてくれるので驚きます。
塗布し終えたら内張りに貼り付け、所定の位置にしてローラーで圧着。
この時に各合わせ目から接着剤がはみ出て来ますから、ヘラやつま楊子など良く取り除いておきます。
接着剤が硬化してしまうと取り除くのは大変・・・・・

張り合わせ終えたら、静かに2枚のガラス板の間に挟み上から重しを乗せて硬化。
半日、もしくは一晩このままにしておくと良いでしょう。防水塗料と接着剤の効果でかなり真っ直ぐな側板が出来上がります。
画像に写っている白と赤のチューブが、今回使った2液式エポキシ接着剤。



つづく