「科学と模型」誌連載記事より
「B62 1型テンダー機関車の製作」


「科学と模型」誌に、昭和23年3月号(No.189)より5回に渡り製作記事が連載された
「高級蒸気機関車の製作 アトランティック型 新鋭B62 1型蒸気機関車の作り方」の記事を 奇跡的に全編入手しました。

この当時は、模型雑誌各誌で国鉄型の機関車を短縮しB型のアトランティック、通称アトランにして 発表している様で、有名な所ではTMS誌で発表され、後に「電車と機関車の工作」にも収録された PFL生の「国鉄型機関車の詳細製作法」、アトランティック型ではありませんが昭和24年には 「モデランド」より改名した直後の「模型少年」にも2B2型の短縮モデルが連載されました。
電気機関車を小型にアレンジした通称B電関は、各模型メーカーから発売されましたが、 国鉄型の蒸気をB型に短縮アレンジしたモデルは存在しなかったので、格好の製作の対象だった のでしょう。
それにお座敷運転サイズの三線式ガラレールのエンドレスにて、フルスケールの大型蒸気は 曲がらないですしね・・・・
さあ、三線式零番の花形機関車”アトラン”を作りませう!


この記事目当てに苦心して集めた「科学と模型」誌
何故か5月号、191号に連載記事は無い。まぁ全ての連載が見つかったので 細かい事は考えないでおこう。
他にも魅力的な記事が掲載されてます、資料的価値高し。


2005.1.10

まず正確な図面を製作すべく、記事を良く読み各図面をCADに打ち込んで行く。
当時の手書きに近い図面なのと、長期連載による矛盾を洗い出す・・・こののまま製作して行っても 何所かで難関にぶち当たるのは目に見えてます。
連載当初はボイラー内に収めるはずのモーターも、連載後半にはテンダーに納めてドライブシャフトと ユニバーサルジョイントで駆動する方式に変わり・・・・
しかもエンジン部とテンダーの連結はこのユニバーサルジョイントで行う事になってしまう・・・。 なんとも心もとない設計だなぁ。
元の設計は三線式零番蒸気機関車標準の1/43ではなく1/45でされていますが、C62をペースにしている事もありサイズは大振りです。 細かい変更は所々必要でしたが、連載オリジナルの設計を生かして作れそうです。 そして若干の設計変更でモーターを当初予定の火室内に納める事が可能でした。

モーターはカツミのKB型かアルスの小型を搭載予定、動輪は稲見鉄道模型製作所にて、タイヤをはめて動輪に加工する前の 真鍮ロスト輪心を購入。これと50φの真鍮丸棒よりタイヤ部を挽き出して製作。
先輪やテンダーの車輪は、はぐるま屋製19φプレート車輪。24:1のウォームギア一式は協育歯車製の物。
一応、現在の時点で既製品パーツはこれだけで、あとは板金加工等の自作になります。


使用予定の既成パーツ達

手前が加工前のロスト輪心、モーターは右がKB3、左がアルス製。 ちなみにアルスのモーターはジャンクからの再生。 もう2台分このモーターのジャンクがあるので、この機関車用に加工して再生 して搭載も考えてます。
はぐるま屋製19φプレート車輪と24:1ウォームギア


2005.1.14

台枠周辺の原寸図を描き上げました。
オリジナルとの変更点は、ただの穴による固定軸受けから軸箱を用いた軸受けに変更。
さらに第一動輪をスイングさせ三点支持にしました。B型ですので上下動するサスペンションは必要ないでしょう。
モーターを火室内に収める為に、この付近の台枠の形状を変更。モーターブラケットも新たに取り付けしました。
黄緑の部分が新たに変更した所、赤い線が台枠形状を変更した箇所。
自分さえ分れば良いので適当な所が多々あります・・・・





図面が出来上がった所で、作業開始。
台枠は1tの真鍮板より切り出し。去年の暮れに近くのホームセンターで購入して置いた特価品の真鍮板を使いました。 折り曲げ部分も含めた台枠の長さが約27cmな為、弓の懐が28cmある大きい糸鋸で一気に切り出し。 このぐらいをスパッと切れると糸鋸作業も痛快です、その後平ヤスリにて幅26mmに仕上げ。


切り出して、材料取りを終えた台枠。
大きい糸鋸で一気にカット、この後細かいケガキをしてさらに加工して行きます。


2005.1.18

主台枠を切り抜いて形にしていきます。
まず一枚に原寸の図面通りに正確にケガキを入れて、糸鋸の切り抜きヤスリで整形。
これをテンプレートにしてもう一枚にもケガキいて切り抜き、整形。
ゆっくり慌てず作業をしたので2日かかりました。


2枚ともほぼ正確に切り抜き終えたところ。
この後さらに2枚を合わせて仮止めし、さらに正確で対称な形状にしていきます。