作業そのT 車輪の再生


取り外した動輪です。右下の物は剥離剤にて古い塗装を剥がしてみました。
材質はアンチモニー製で踏面を旋盤加工したあとにメッキが掛けてあり、製品としては手が込んでます。
もう一度旋盤加工で・・・・とも思ったのですが、アンチモニー製ではレストア後の取り扱いにも気を使うし、 安心して走らせる事が出来ないので、鋳物で複製を作る事に。
ここで問題なのが・・・何処に鋳造に出すか??です。
地元が鋳物で有名な所ですので産業会館に問い合わせをし、このような小物の鋳物を引き受けてもらえそうな所を紹介して 頂き、早速アポを取って訪問です。
置物や美術品等の鋳造を手がけている所で話しを聞いてもらう事が出来ました。現在は砂型鋳物は扱ってなく、ロストワックスなら 鋳造可能との事・・・・しかし真鍮の鋳造は大量の亜鉛ガスを発生し、環境の問題から出来ないと言われてしまいました。
その代わり、今は砲金・BC6(ガンメタル)、鉄、アルミ、ステン、銅の鋳造なら引き受けるとの事・・・・ ワックスパターンにして持ち込むと費用が安くて早く(それでも約一ヶ月)仕上がると教えて頂けました。
鉄か砲金か悩んだあげく・・・錆びない砲金で行く事にしました。
上からオリジナルの車輪、それを複製しワックス注形の原型としたもの、したの水色のがロストワックス鋳造に出す ワックスパターンです。
各工程の型取りには、自分のHPではおなじみの信越シリコーン製KE1310STを使用。
ワックスパターンを作る為にこんなものまで購入しました・・・・ワックスインジェクター、熔かしたワックスをシリコンゴム型の中に注入する機械です。
車輪の様な形の物は自然注型だと絶対に流れてくれません。 このインジェクターはアメリカ製です、ジュエリー製作の為の機材を販売している所から取り寄せました。
右のつぶつぶが熔かす前のワックス、彫金関係の卸をしている問屋へ行って購入してきました。
ワックスと言っても、色々と種類が多いのには驚き!
そして鋳造を依頼してから待つこと一ヶ月あまり・・・・
ついに仕上がって来ました、砲金製鋳物!素晴らしい出来です、数が多いのは失敗と巣穴を恐れてです。
右上の2つはすでにテストで切削してみました、切削してみた感じはかなり粘り気がある真鍮という感じです。
これで旋盤加工(かなり大変ですが・・・・・)を施せは車輪になります。
もう一組このセットを頼んで、他の機関車も作ってみたら楽しそうです。
動輪の切削。
旋盤に4つ爪チャックを装着して砲金鋳物の動輪を咥え、ダイヤルゲージを使ってセンターを出します。
動輪はセンターがずれていると目立つので、しつこい位にセンター出しをします。
前面の切削終了。
ハイスのバイトではすぐに刃先が鈍ってしまうため、超硬バイトを使いました。
砲金は真鍮と違い切削性が良くないので、超硬バイトと言えどもこまめにダイヤモンドヤスリで刃先を研ぎながら 切削しました。
小型旋盤で綺麗に削るコツはバイトを良く研ぐことです。
車軸の穴は3.9mmのドリルで開けてから4mmのリーマー通し。

作業は続きます

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