私の登山論

 都会の便利さに慣れ親しんで生活しているが、人間本来もっている体を動かす機能を使うことが少なくなっている。人類の歴史から見るとデスクワークだけしていて生活できるようになったのはごく最近である。空調の効いた部屋で仕事ができることは大変幸せなことだがなにか忘れてきたような感じがする。人間の遺伝子が過去の歴史を覚えており都市化すればするほど自然に回帰する傾向がある。最近特にアウトドアライフ志向が強まっている。登山もアウトドアライフのひとつとして人気がある。

 登山は計画から始まる。まず登りたい山を選定し、地図やガイドブックでコースと概略のタイムスケジュールを決める。あまり無理をせずゆとりのある計画を立てたい。地図をみて登る山にあれこれと思いをめぐらすと時間の経つのも忘れる。

 登山口で遠くに高くそびえている山を見ると登れるかなと不安に思うが、ゆっくりと一歩一歩ゆっくり登っていくと頂きに立つことができる。途中の苦労が多ければ多いほど山頂での喜びは大きくなる。晴天時の山並みを見ながら登る尾根歩きもよいが、雨に打たれずぶぬれになって登った山、強風にあおられ身構えながら登った山の満足感さらに大きくなる。

 過去に登った山の思いでは記憶の中に蓄積されおり、時々そのときのことを思い出し、未知への山への挑戦が始まる。