雲取山山頂から南東の奥多摩の山々を望む。

 2013年10月13日、14日の連休中に一泊二日で雲取山(2017m)に行ってきました。買ってまだ利用していなかったツエルト泊をしたかったことと以前からまだ歩いていない長沢背稜(ながさわはいりょう)に行きたかったからです。長沢背稜とは東京都と埼玉県の境界の一部をなす稜線です。

 何回か登った山でも登った季節や天候によっても山から感じるものが違います。また自分自身の体調や山に対する関心や知識によっても山から受け取るものが変わってきます。その時の登山は、一回だけしか経験できないものだと思います。今回は13日に天候に恵まれ今まで見えなかった遠くの山も確認することができました。14日には昔から地図を見て気になっていた長沢背稜を実際に歩くことができました。

10月13日 晴れ
奥多摩駅のバスの発車時刻の都合で小菅行に乗り深山橋で下車し、青梅街道を約20分歩いて鴨沢登山口に到着しました。今回はゆったりとした登山をしようと計画したのでバスの時間も調べていませんでした。鴨沢から七ッ石までの登山道は、登る人と下る人どちらも多くの人に出会いました。比較的緩やかな登りだけで七ッ石小屋まで到着することができます。七ッ石小屋で富士山を見ながら休憩してから七ッ石山に登りました。七ッ石山からは南アルプスが見えるほど天候に恵まれました。
七ッ石山からは石尾根を雲取山を向かいました。カラマツ林はやや赤く色付いていました。
雲取山山頂も眺望がよく、多くの登山者でにぎわっていました。
その後、今日の宿泊地の雲取山荘のテント場に向かいました。
初めてのツエルト泊をしました。ツエルトの一番のメリットは軽いので行動しやすいことです。居住性は狭いので荷物と靴はポリ袋に入れて外に置きました。晴れていたので特に問題はありませんでした。夜中は聞いたことがない動物の鳴き声が聞こえてきました。後で調べてみたら鹿の鳴き声だったようです。
『奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋はかなしき』

10月14日 曇り時々晴れ
大ダワ(1720)まで下り、芋ノ木ドッケ(1940)まで登ります。芋ノ木ドッケは東京都第二の高峰ですが展望はなく静かな山です。ここから先が長沢背稜ですが、倒木が多く道をみ失うこともありましたが、尾根道をたどれば、再び登山道に出られました。長沢背稜は開けた展望はありませんが、静かで歩くことを楽しむには良い山です。
水松山(あららぎやま)から天祖山への道では樹林越しに雲取山、芋ノ木ドッケ、白岩山を確認することができました。また、原生林の大木があり、樹木の知識があるともっと楽しめそうなところです。
天祖山(1723)で休憩した後は、一気に八丁橋(710)まで1000mの下りを高度計の目盛がなかなか下がらないのを気にしながら下山しました。

10月13日(日)
奥多摩駅 バス(小菅行) 深山橋下車 徒歩 鴨沢登山口 七ッ石小屋 七ッ石山 雲取山 雲取山荘(テント場)

10月14日(月)
雲取山荘(テント場) 大ダワ 芋ノ木ドッケ 長沢山 水松山 天祖山 八丁橋 東日原 バス 奥多摩駅 


鴨沢からの雲取山への登山道で、最も利用者が多い歩きやすい道です。

木漏れ日の中の広葉樹の林です。


「富士山の見える山小屋」とアピールしていた七ッ石小屋からの富士山の眺め。

富士山の手前の山は三つ峠山(1785)です。

七ッ石山山頂付近からの南アルプスの遠望。


パノラマ写真

奥多摩小屋近くのヘリポートに着陸したヘリコプター。

山で鹿の食害調査をしていた調査員をピストン輸送していました。

雲取山荘の南側にある田部重治(たなべじゅうじ)(1884−1972)のレリーフ。

「奥秩父はるか眺めて雲取に立ちたるわれは若人なりし
明治四十二年五月十五日初めて雲取に登る」

田部重治は日本アルプス、秩父山地を歩き、1919年(大正8年)『日本アルプスと秩父巡礼』を刊行、1930年(昭和5年)、『山と渓谷』として出版される。

雲取山荘

雲取山頂から三峰コースに向かって約700m(約20分)下った所にあります。

収容人数 200人

雲取山荘の北側のテント場でツエルトを張る。

結露が心配されたが、テントより通気性がよく晴天時にはまったく問題なかった。

水場、トイレは雲取山荘を使用しました。

i芋ノ木ドッケ(1940)
東京都で雲取山に次ぐ高峰であるが、山頂へのアプローチが長いこと、眺望がないことなどで訪れる人は少ない。

なお、大ダワ林道は2010年4月末から崩落のため通行止めになっています。

雲取山の北側にある峰。奥多摩の長沢背稜への尾根をわける。地名はイモノキのある突起(峰)の意。
(コンサイス日本山名辞典)

長沢背稜のダケカンバ(岳樺)の若木の林

倒木となった針葉樹の後にダケカンバが育っている。

樹皮は若木では赤褐色から灰褐色で光沢があって美しく、薄く横にはがれる。老木では白色が強くなり、縦に割れ目ができ、風雪に耐えた樹形であることもあり、よく目立つようになる。

桂谷ノ頭付近のアズマシャクナゲ(東石楠花)

5月下旬から6月上旬にかけて紅紫色の花を咲かす。

限られた花の時期にここまでこれるかな?

シャクナゲは毒があるので鹿の食害にあっていないようでした。
低木はシャクナゲとアセビだけが目立っていました。

長沢山(1774)

長沢背稜の名称のもとになった山。

この後、途中の水松山(あららぎやま)(1699.2)付近まで行き、南に派生した尾根を梯子坂のクビレまで下り、天祖山まで登り返しました。

ダケカンバ(岳樺)の大木

白い幹と、輝いていた緑の葉にひきつけられて写真を撮りました。

天祖山山頂(1723)にある天祖神社

ここまでくれば後少しと気が緩みました。

天祖山へは以前ピストンで登ったことはありましたが思ってた以上に急坂が続き長く感じました。

日原のシンボルの稲村岩

石灰岩の岩山で、頂上には稲村神社があります。

東日原のバス停から乗車し奥多摩駅に向かいました。