笠ヶ岳 2897.5m


笠新道分岐付近からの笠ヶ岳


蒲田がまた左俣ひだりまた林道入口のゲート脇にあった案内図

 今年の夏は買ったテントを使用できる山域ということで笠ヶ岳を中心に歩くことにしました。若いとき奥穂高岳から白出沢を新穂高温泉に下ったときに向かいに立派にそびえていた笠ヶ岳が今でも記憶にあります。今年の夏は、2008年8月3日(日)から6日(水)まで3泊4日でテント泊による笠ヶ岳(2897m)登山を行いました。初日の8月3日は新宿から高速バスで平湯温泉まで行き、そこから路線バスに乗り換え終点の新穂高温泉で降りる。そこから左俣林道を1時間20分ほど歩いてわさび平小屋のキャンプ場でテント泊まりをした。2日目の8月4日は雨の笠新道を登り笠ヶ岳山頂直下にある笠ヶ岳山荘のキャンプ場でテント泊まりをした。3日目の8月5日は笠ヶ岳山頂に登ったあと、双六小屋のキャンプ場まで尾根を歩く。4日目の8月6日は鏡平を経由し小池新道を下り、初日のわさび平小屋まで戻り、来たときの新穂高温泉、平湯を経由して高速バスで新宿まで帰ってきました。平湯17時30分発の高速バスに乗り、新宿22時0分着の予定でしたが、渋滞もなく21時30分に到着しました。

8月3日(日)

わさび平小屋(1402m)
8時0分新宿発の高速バスに乗り、新穂高温泉に13時20分着、わさび平小屋に14時45分に到着しました。

帰りも双六小屋からここに下りてきました。

山と渓谷にも掲載されていました。
バナナ、キュウリ 100円
オレンジ、トマト 200円
リンゴ      250円
スイカ       時価


左俣林道は、一般車は通行できないが、許可されている車は通行できるので山頂近くの山小屋の価格と比べると安い。

わさび平小屋キャンプ場の私のテントです。
2〜3人用テント(150cm−210cm)ですが、実際は詰め込んで2人までです。
時間が早いのでまだテントの数は少なかったですが、夕方には14張になりました。

この時期、山小屋では1畳に2人が普通ですが、テントは広々と寝ることができます。

テントの中からブナの木を眺め、ゆったりとした時間を過ごしました。


8月4日(月)

笠新道登山口(1360m)
わさび平小屋から新穂高温泉方向に10分ほど戻ったところにある。水の補給もここでできる。
ここの標高は1360mだから笠ヶ岳山頂(2897m)との標高差は1537mある。
最初からブナとナラの原生林の中につけられたつづら折の道を杓子平(2450m)を目指して登ることになる。

ササユリ(笹百合)
ヒメサユリと似ているが、草丈が高く、ヒメサユリは山形・福島・新潟の県境に分布していること、葯の色がヒメサユリは黄色だが赤褐色であることからササユリと同定しました。
登山途中に雨が降り出し、先に登っていた単独行の2人が、雨のため登山中止し、再度出直すと言って次々に下りていきました。そんな中で登山道の脇に咲くササユリの花が心をなごませてくれました。
展望はきかなくても、1450m、1700m、1800m、1920m(中間表示)、2100m、2200mに標識があり現在どのあたりにいるか確認することができました。

杓子平(2450m)
晴天ならばここから笠ヶ岳が望めるはずだが、ごらんのとおり。でもここまで来ると行程の半分以上が過ぎたことになるので幾分安堵した。

「シャクシ」とは日本山名辞典によると岩石がガラガラしたガレ場をいう。
去年登った白馬三山の杓子岳では常に崩れた岩を白馬大雪渓に落としていましたが、杓子平はガレ場はあるが岩の崩落はありません。

杓子平のカール
お花畑に囲まれたカールの中につけられた道を縦走路にでるまで登っていく。
あまり花に見とれていると疲れが出てくる。

クロユリ(黒百合)
去年、白馬岳に行ったときクロユリに出会えなかったが、今年はやっと念願がかなった。

ライチョウ(雷鳥)
このライチョウは岩場の上で鳴いていました。
天気が悪かったせいか多くのライチョウに出会いました。

笠ヶ岳
笠新道の分岐を過ぎ、笠ヶ岳への尾根道を進んでいるとやっと笠ヶ岳の姿を見ることができました。
笠ヶ岳のキャンプ場からは、今日やっと夕日に焼けた槍ヶ岳・穂高連峰を見ることができました。
笠ヶ岳のキャンプ場には、私のテントを含めて3張しかありませんでした。

笠ヶ岳からの槍ヶ岳
夕方になって今日はじめて姿を現した槍ヶ岳に感動し、1日の疲れも忘れさせてくれました。ピークの左側にアルプス一万尺の歌で有名な小槍も確認できました。

8月5日(火)

笠ヶ岳山頂(2897m)
笠ヶ岳のキャンプ場から10分くらい登った所に笠ヶ岳山荘があり、さらに10分くらい登ると山頂に立てる。

笠ヶ岳山頂の祠
・笠ヶ岳は円空上人が元禄元年(1688年)に開山する。
・南裔(なんねい)上人が天明2年(1782年)に登頂した。
・文政6年(1823年)、播隆上人が笠ヶ岳再興を発願し、山頂に仏像を安置した。

抜戸岩と笠ヶ岳
登山道は抜戸岩の間を抜けている。

「ヌケド」とは山ことばで崩壊のある所の意である。

秩父岩の奇岩と抜戸岳(2813m)

抜戸岳の東斜面(秩父岩の背後)に大きな崩壊地がある。

秩父平のカール
最初に雪渓を下りカールの底(2530m)まで下ります。
その後、大ノマ岳(2662m)を目指して登り返します。大ノマ岳には標識がないので、後であれが大ノマ岳だったと気づきます。その後大ノマ乗越(2450m)まで下り、弓折岳(2588m)を登り返します。

弓折岳(2588m)
大ノマ乗越手前からの弓折岳
大ノマ乗越(2450m)から弓折岳山頂(2588m)まで標高差138mの登りです。

弓折岳乗越(2560m)
笠ヶ岳、双六小屋、鏡平の三方向への分岐になります。ここから今日の宿泊場所の双六小屋のキャンプ場に向かいました。

キャンプ場は、20張のテントで賑わっていました。

8月6日(水)

双六小屋とキャンプ場
残っているテントは少なく、みんな撤収が早い。

双六岳(2860m)と鷲羽岳(2924m)
手前が双六岳、鞍部にある双六小屋の奥に鷲羽岳が見えました。

大ノマ岳・抜戸岳・笠ヶ岳
昨日縦走してきたルートが一望できました。

槍ヶ岳(3180m)
手前の尾根が西鎌尾根、奥の尾根は北鎌尾根です。

槍ヶ岳と鏡池(2280m)
写真のスポットになる鏡池です。残念ながら槍ヶ岳の穂先が雲に隠れてしまいました。

鏡平はテントを張ることは禁止されています。

キヌガサソウ(衣笠草)
大きな葉が輪生し、高貴な人がさす衣笠にたとえてこの名前があります。
白い清楚な花が印象的です。

秩父沢出合(1720m)
鏡平山荘から小池新道を下り、熊の踊り場、シシウドが原、イタドリが原、チボ岩、秩父小沢の表示を確認して秩父沢に到着しました。この沢の上部は、昨日通過した秩父平になっています。
あと1時間でわさび平小屋(1402m)に到着できるので、ここで休んでいる人が大勢いました。

わさび平小屋を過ぎ、左俣林道を新穂高温泉(1100m)に向かっている途中で夕立にあいました。


笠ヶ岳で出会った花

(後記)
 今年は、太平洋の高気圧が例年より弱く、大気の状態が不安定で雷雨やにわか雨が発生しやすいようです。今回の登山は、最初から最後まで雨がついてまわりました。ゴアテックスの雨具も大活躍しました。雨の日は展望は期待できませんが、貴重な体験を積んで次の機会に活かすことができます。ザックの中もテントの中も湿気ってきましたが今度は工夫をしようと思います。テント泊で荷物が多くなり、当初予定していた荷物をかなり減らしましたが50リットルのザックでは入りませんでした。手持ちにしたり、ザックの背に結んだりしましたが無理があり、最低70リットルのザックが必要だと思います。テント泊はシェラフ、エアマット、テント、グランドシートなどを小さなカバーに収納するのに苦労し、山小屋泊に比べて機動力で劣りますが、時間に余裕を持って計画すれば風の音、雨の音に耳を傾けより深く自然にふれることができます。