孫正義大いに語る!!        竹村 健一著

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 ソフトバンクの企業価値は、自己増殖するグループ各社の企業価値の合計です。これは、1881年の創業から18年間で7000倍になっている。2000年1月19日にグループ企業のヤフーの株価(額面5万円)が1億円台の株価を達成した。ヤフーは1996年1月に設立。1997年11月に200万円の初値で店頭公開した。

 株式の時価総額一番わかりやすい会社の価値指標である。その会社が将来稼ぐであろう利益の総合計が企業価値で、そこから負債を除いたら時価総額になる。アメリカで1番時価総額が大きいのが約40兆円のマイクロソフト、2番目がインテル、3番目が22兆円のシスコシステムズという会社である。日本で1番時価総額が大きいのは約21兆円のNTT、2番目が15兆円のトヨタである。ソニーが約6兆円、松下電器が約4兆円である。ソフトバンクの時価総額は日本で10番目である。

ソフトバンク
bc012.gif (419 バイト)創業
1981年

bc012.gif (419 バイト)売上高、純利益
1999年3月期
売上高(連結) 5300億円(3年前の約3倍)
純利益(連結)  380億円(3年前の約6倍)

bc012.gif (419 バイト)理念
 
テクノロジーを活用することによって、人類の知恵と知識を共有し、創造的で幸せな社会を実現する。

ビジョン
 
あらゆるシーンがインターネットにつながる。

戦略
 
デジタル情報産業で世界ナンバーワンになる、サイバースペースに集中する、自己増殖組織で昆虫のような群戦略、企業価値を創造する経営。インセンティブ(ほうび)とセックス・アピール(人を魅了するふるまい)が会社存続の2大要件。

ネット財閥
 ソフトバンクはネット上の財閥をめざす。最初に人のトラフィックを確保し、次に金融のトラフィックを提供して、Eコマースその他のインターネット産業で伸びていく。

人のトラフィック
ヤフー、ジオシティーズ(コミュニティサイト)、ブロードキャスト・ドット・コム(動画)、メッセージメディア(Eメールのメールパブリッシング)、ZDネット(ジフ・デービス)

金融のトラフィック
Eトレード、Eローン、ヤフー・ファイナンス、フォレックスバンク

Eコマース

bc012.gif (419 バイト)ソフトバンクグループ
アメリカには総額2000億円のベンチャーファンドを設けた。平均して1社に5億円出資すれば大体400社になる。これをどんどん現地でナスダックに公開し、成功した会社を日本、ヨーロッパ、中国などに合弁会社として移植する。

  アメリカ 日本 ヨーロッパ アジア 南米 合計
1999年 100社 20社       120社
2004年 400社 150社 150社 50社 30社 780社

ヤフーへの投資
 ピンポイント情報を集める能力が、世界一高いのがジフ・デービスである。3000人のテクノロジー・アナリストがいるので、ビジネスの種を見つけ出し内容を調べる能力が高い。その能力を使って「インターネットの分野で、この一社だけは外してはいけないという会社に投資したいから提案してくれ」とジフ・デービスの社長に言った。その結果がヤフーだった。ソフトバンクはヤフー・ジャパンの株を51%、アメリカのヤフーの株を35%もっている。2兆円の時価総額になる。

技術の変遷

第一ステージ
農業社会
 
第二ステージ
工業社会
意思決定のメカニズムは本部集中管理。システムとしては、大量生産、規模の競争型。組織としての強みは効率性の徹底追求、弱みは迅速に柔軟に対応できない。
第三ステージ
情報社会
第一ステージ
アナログのテクノロジー
テレビやステレオを中心につくっていたころの松下電器やソニー、フィリップスやRCAなどの電機メーカー
第二ステージ
アナログのサービス
NTTあるいはフジテレビ、日本テレビ、あるいは、朝日新聞、ニューズ・コーポレーション、ディズニー
第三ステージ
デジタルのテクノロジー
マイクロソフト、インテル、オラクル、サン・マイクロシステムズ、シスコシステムズ、デル、コンパック
第四ステージ
デジタルのサービス
ヤフー、AOL、アマゾン・ドット・コム、イーベイ

孫正義の経歴

1957年8月11日佐賀県鳥栖市に在日韓国人三世(1991年に日本に帰化)として生まれる。現在42歳である。

久留米大附設高校を1年で中退して16歳の時、サンフランシスコの高校に転入し、大検に合格、ホーリーネムーズ大学を経て、カリフォルニア大学バークレー校の経済学部に入学。

1980年カリフォルニア大学バークレー校を卒業して日本に戻る。23歳。

1981年3月に自分が一生かけて打ち込む事業を探すためだけが目的の市場調査会社「ユニソン・ワールド」を設立。

1981年9月にコンピュータソフトの流通と出版の会社「日本ソフトバンク」を設立。

1990年に社名を「日本ソフトバンク」から「ソフトバンク」に改名。

1994年7月ソフトバンクの株式の店頭公開。

1995年4月コンピュータ関連展示会「コムデックス」を750億円で買収。ヤフーの株35%を100億円で買う。

1996年2月パソコンの出版会社「ジフ・デービス」を1800億円で買収。

1996年ソフトバンクとマードックが共同出資の会社を作り、JスカイB衛星放送事業を立ち上げ、テレビ朝日株を取得した。

1998年1月ソフトバンクの株式の一部上場。

1998年6月米国オンライン証券大手のEトレード社と合弁で「イー・トレード株式会社」を設立。

1999年8月ソフトバンク、東京電力、米マイクロソフトの三社合弁で高速インターネット接続サービスを提供する会社を設立すると発表。