図解ピケティ入門     高橋洋一著

 ピケティの『21世の資本』は分厚い経済専門書だが、その中から21枚の図をピックアップして解説している。


ピケティは、歴史的事実として、資本収益率は、つねに世界GDP成長率より大きい(r>g)という不等式が成り立つと主張する。数学のように証明したわけではない。その傾向は、きっとこれからも続くだろうだろうと予測している。


その差は、1950年〜2012年に一度縮んだが、21世紀後半には、また、広がると予想される。
人口増加率は今後みるみる低下すると予測され、それにしたがって世界GDP成長率が鈍化し、2100年には1.5パーセント以下にまで下がると予測されている。
21世紀後半の世界GDP成長率は、19世紀とほぼ同程度になる。

世界GDP成長率は、所得成長率と同じなのだが、これは労働所得(7割)と資本所得(3割)が含まれる。世界GDP成長率は労働所得の伸び率を表す指標として使われている。一方、資本収益率は、資本所得の伸び率を表す指標として使われている。

資本収益率のほうが 世界GDP成長率より大きくなるほど、トップ層はより豊かになり、ボトム層はより貧しくなり、格差が拡大する。

資本主義は、格差を広げる性質をはらんでいるので格差を是正していけるような制度をつくればよいのだ。
「格差を是正する制度」とは、国際協調のもとで累進課税を強めることにほかならない。
より多く稼ぐ者と、より多く資産を持つ者から、より多くの税をとり、社会に再分配すべきだと言っている。