ライオンは眠れない          サミュエル・ライダー著

 動物たちが登場する中国の寓話が日本の未来を予言している。龍の国(中国)、鼠の国(日本)、鷲の国(アメリカ)がそれぞれめざましい発展をとげていた。ところが、あるとき、繁栄にかげりが見えはじめたのです。なかでも鼠の国(日本)の場合が一番深刻でした。
 ライオン政権(小泉政権)の改革がスタートしてしてからしばらくして、改革に急ブレーキがかかりはじめた。原因は、百年に一度あるかないかの不景気でした。龍の国(中国)の安価な商品と労働力の進出による経済圧迫と、鷲の国(アメリカ)で勃発した株式暴落による経済失速が引き金となって大不景気が訪れる。失業者があふれ、銀行もつぶれて大恐慌の一歩手前みたいになる。
 そこで、ライオン王(小泉首相)は、やむなく最後の手段、国民の財産を没収するX計画(預金封鎖)に踏み切る。

預金封鎖がやってくる
 預金封鎖は、ある日、突然に起こる。たぶん、連休を翌日に控えた日の夕刻が選ばれる。発表は、おそらく、テレビを通じて首相が行う。百分の一のデノミと同時に新円切り替えを実施する。新円との交換時に、国民ひとりひとりの財産が記録される。国はそれをもとに『財産税』をかけてくる。課税率の平均が30%だったとしたら、長い間苦しんできた財政・金融問題はいっぺんに解決する。  

日本の過去の預金封鎖

昭和恐慌(昭和2年)
 片岡蔵相の『渡辺銀行が破綻した』という失言をきっかけに、つぎつぎに銀行が休業・破綻に追込まれた。結果的には全部の銀行に3週間のモラトリアム(支払猶予)を実施してなんとか収まった。

終戦直後(昭和21年2月16日)
 
その日は土曜日で、夕方になって月曜日からの預金封鎖が発表された。悪性インフレを抑え、取りつけ騒ぎによる銀行の倒産を防ぐために『金融緊急措置令』が発令された。同時に『新円切り換え』も実施された。そのときに国民の資産調査が行われ、10万円を超える資産に対しては、25%から最高90%におよぶ『財産税』がかけられた。

日本の破産を救う道
平成12年度

税収 52兆円
地方を含めた国の借金 666兆円
政府が保証した特殊法人の借金 250兆円
借金の合計 916兆円

 日本の借金の合計は916兆円になり税収52兆円の17.6倍になる。利息を2%とすると、毎年18兆3200億円払わなくてはならない。これは元本返済どころか、利払いだってままならない状態です。
 国民が持っているお金、1400兆円は、すでにかなりの比率で不良債権化している。政府だから安全だと思って預けた郵貯・簡保・公的年金の積立金などが、財政投融資という形でムダな公共事業に費やされ、不良債権になって、かなりの部分が回収不能という状態です。
 郵貯や年金や銀行預金など国民から預かった財産は、これまで『聖域』と呼ばれ、国でさえ手をつけてはいけないものとされてきた。とことが今回は『聖域なき構造改革』と言い『聖域』にも踏みこみ、国民全員が『痛み』を分かち合い、なんとか国の破産を防ぐ。そこにしか復活の道はないのかもしれない。