LINUXがWindowsを超える日    脇英世著

LINUXとは何か?

フィンランド生まれのヘルシンキ大学の学生リーナス・トーバルズによって、1991年に開発された。当初から研究者や学生の間では、注目されたが、インストールに専門的な知識が必要であったので一般ユーザーは利用しづらかった。しかし、ターボリナックス(TurboLinux)やレッドハットリナックス(RedHat Linux)に代表されるように簡単にインストールできる製品が登場し一般に広く普及するようになった。

LINUXはオープン・ソース・ソフトである。オープン・ソース・ソフトはインターネットを介して世界中のボランティアの力を結集して、より良いソフト環境を作り上げていく運動である。またオープン・ソース・ソフトは中味がオープンで公開されており、ソース・プログラムが見える。ユーザーが自分でプログラムを改良することが可能である。

LINUXの名称はLINUSとMINIXの単語の結合したものである。LINUSはリーナス・トーバルズのファースト・ネームであり、MINIXはUNIXを手本に作られたパソコン用OSである。LINUXはMINIXから派生したOSである。

米国の大手調査会社IDCリサーチは、「現在1千万人以上のユーザーがLINUXを使用している。1998年に最も急速に成長したサーバー用OSはLINUXであり、17%以上のシェアを占めている」と発表している。

WindowsNT

156万本(37%)

LINUX

 75万本(17%)

UNIX

 75万本(17%)

Netware

104万本(24%)

LINUXの中でのシェアの内訳

レッドハット

55%

SuSE(スーサ)

11%

カルデラ

 8%

パシフィック・ハイテック

 4%

その他

22%

LINUX環境

Xウィンドウの採用

LINUXはGUIとして、マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発したXウィンドウを採用している。Xウィンドウはグラフィック表示を可能にするシステムとしてUNIXに登場し使いやすさが向上した。

デスクトップ環境

LINUXではデスクトップ環境がたくさん揃っているのが特徴である。CDE、KDE、GNOM(ノーム)などがある。

LINUXとWindows

LINUXは純技術的には、すでにマイクロソフトのWindowsを超えている。しかし、「LINUXがWindowsを超える」という時は、技術的な問題でなくマーケットシェアにおいてマイクロソフトに勝るとか、マイクロソフトの売上げよりもLINUXの売上げが大きくなるということであろう。LINUXは基本的に無料であるから、マイクロソフトのマーケット・シェアを越えることは全く不可能とは言えない。しかし、マイクロソフトの売上げよりもLINUXの売上げが大きくなるということは相当難しい。マイクロソフトはマーケティング主導の企業である。

LINUXの問題点はマイクロソフトのオフィス製品のような強力なアプリケーションがない。また、ボランティアに頼るLINUXではデバイス・ドライバーが揃わず、周辺機器への対応が遅れ気味になることがある。

新しい時代の風と歴史は新しいLINUXの流れの方向を向いている。LINUXの成功の秘密は以下のようになる。
・少数の優れた開発者集団がある
・速いペースでバージョンアップを繰り返す
・きわめて意思の強い指導部が存在する