金持ち父さん貧乏父さん        ロバート・キヨサキ/シャロン・レクター著

 この本は金持ちになるにはどうしたらよいかを説いた本である。ロバートには二人の父がいる。金持ちの父と貧乏な父だ。貧乏父さんは高い教育を受け、知的レベルも高かった。四年生大学を二年で卒業し博士号を取得、そのあともさらに高度な教育を受けるためにスタンフォード、シカゴ、ノースウェスタンと三つの大学を成績優秀で卒業した。それなのに、死ぬまでお金に苦労した。金持ち父さんは、ハイスクールすら卒業していないが、ハワイで最も裕福な人間になり、家族への遺産だけでなく、慈善事業や教会の活動にも何千ドルという金を遺した。どちらの父も教育が大切なことは共通していたが、学習すべき対象が大きく違っていた。貧乏父さんは、学校で一生懸命勉強し、いい大学を卒業していい仕事につき、できるだけ多くのお金を稼ぐために働くように言った。弁護士や会計士などの専門的な職業につくか、MBA(Master Of Business Administration)をとるために大学院に進むことを望んだ。金持ち父さんは、金持ちになるために学ぶ、つまり、お金がどのように動くかを理解し、お金のために働くのでなくお金を自分のために働かせるにはどうしたらよいかを学ぶことを奨励した。 

 学校ではお金について教えない。学校で教えるのは、学問的知識、専門的な技術だけで「お金に関する実際的な技術」は教えない。学校で優秀な成績をとったはずの銀行員や医者、会計士たちが一生お金のことで苦労しなければならない理由の一部はここにある。国家も同じだ。国家が財政難に苦しんでいる理由の一部は高い教育を受けたはずの政治家や政府の役人が、お金に関する訓練をまったく、あるいはほとんど受けていないまま財政上の決定を行っていることにある。

 お金は力だ。だが、それよりも強いのはお金に関する教育だ。教育を受けてお金がどのように働くか、その仕組みをマスターすれば、お金を働かせて富を築くことができる。この本は、金持ち父さんが三十年間にわたってロバートに伝えた六つの教えについて書いたものだ。

金持ち父さんの六つの教え

金持ちはお金のためには働かない

 みんなわずかなお金のために一生懸命働き、この仕事についているかぎり安定した生活を送れるという幻想にしがみついている。大切なことは、お金がどのようにして働くかを学び、お金を自分のために働かせることができるようになることだ。雇い主に頼ることなく自分のお金を自分で管理し、実際にその場にいなくてもその事業自体がお金を生み出すようにする。お金に働いてもらうのだ。

お金の流れの読み方を学ぶ

 一番大切なことは、資産と負債の違いを知ることだ。その違いが分かったら、次は収入を生む資産を買うことだけに努力を集中する。これが金持ちになるための道を歩む最善の方法だ。この方法を実行し続ければ資産の欄が大きくなっていく。その一方で、負債と支出は低く抑えるように努力する。そうすれば資産の欄につぎ込むお金を増やすことができる。資産の基礎は以外と早く作れる。そしたらもっと投機性高い投資に目を向ける余裕ができる。

自分のビジネスを持つ

 経済的な安定を確保しようとするなら自分のビジネスを持つことが必要だ。自分のビジネスは資産を中心に展開する。資産には次のものがある。1.自分がその場にいなくても収入を生み出すビジネス。2.株、3.債権、4.投資信託、5.収入を生む不動産、6.手形、借用証書、7.音楽、書籍などの著作権、特許権、8.その他、価値あるもの、収入を生み出すもの、市場価値のある物品など

会社を作って節税する

 個人は、稼いだ収入から税金を引かれ、残ったお金で生活をやりくりする。会社は収入を得たら、そこから経費を差し引き、残ったお金に税金が課される。

金持ちはお金を作り出す

 ファイナンシャル・インテリジェンス(会計力、投資力、市場の理解力、法律力)を使ってお金を作り出す。ファイナンス・インテリジェンスを高めるとチャンスが増える。取引が有利かどうか見分けるのが簡単になる。学べば学ぶほど、より多くのお金を作り出すことができる。年月が経てばそれだけ経験も知恵も増すからだ。お金に関する哲学の基本は資産欄に種をまくことだ。はじめは少ない額で種をまく。何粒かの種は育つが、育たない種もある。

お金のためではなく学ぶために働く

 専門をきわめるより、浅く広く知識を増やし、ビジネスシステムのあらゆる側面を学ぶ。ビジネスの実務の全体的な知識を得たり、それぞれの部課がどのような相互関係を持っているかを学んでいく。

まとめ

 金持ちになるためには、専門的な知識を身に付け資格をとればよいと考えていたが、これでは中流の生活しかできない。資産の欄に少しずつ種をまき、出した芽を時間をかけて育て、金が金を生み出す状態にしないと本当の大金持ちにはなれない。