骨が語る日本人の歴史 片山一道著
著者は自然人類学の研究を専門にし、考古学の遺跡から出土する古人骨や動植物の遺残体などを調査してきた。池田次郎(京都大学)によると、鎌倉時代や江戸時代に背丈が低めに推移したのは、封建制による閉塞的な社会情勢のもと、通婚圏が狭まり「近交弱勢」が影響している。 近代人になり、いくぶんか、背丈が伸びはじめたのは通婚圏のしばりが緩んで「雑種強勢」による。 戦後、日本人の身長が急に伸びたのは、乳幼児期の栄養条件が要因かもしれない。とりわけ乳製品の普及と、それに伴う離乳年齢の大幅な短縮。それにより成長パターンが西欧人型に近づいたのではないだろうか。 |