コロナ後の世界 ジャレド・ダイアモンド ポール・クルーグマン他4名著
ジャレド・ダイアモンド 「独裁国家はパンデミックに強いのか」
日本が直面するさまざまな問題を乗り越えられる。日本の目の前にある危機は1854年の開国(日米和親条約)や1945年の敗戦に比べたらたいしたことはない。以前やったように、時代にあわない価値観を捨て、新たな価値観を取り入れればいい。
ジャレド・ダイアモンドは21世紀は北米とヨーロッパとオーストラリア、そして日本の時代になると思っている。
21世紀は中国の時代だと声も聞きますが、ありえません。中国は4千年の歴史の中で、一度も民主主義国家になったことがないのが致命的弱点なのだ。中国が民主主義を取り入れない限り、21世紀が中国の世紀になることはない。
民主主義の本質は、市民が選挙の投票で国の未来を決められることです。次の世代に対して私たちができることはなんでしょう? それは投票です。投票することで優れた政治家が権力の座につくようにするのです。危機を乗り越えるためにできる最も効果的なことはまともな政治のために投票にいくことなのです。
ポール・クルーグマン 「景気回復はスウッシュ型になる」
今回の新型コロナによるパンデミック不況に最も類似しているケースは第一次大戦終盤の1918年からはじまったスペイン風邪の大流行でしょう。スペイン風邪の流行後、経済的に比較的早く立ち直った地域の特徴がわかっています。それは流行当初に経済的な打撃を大きく受けたものの、ソーシャル・ディスタンスをきちんと守った所であり、結果的には死亡者数も少なかった。新規の感染者数がある程度落ち着いたからといって、早まって経済活動を再開してしまうと裏目に出てしまう。すぐに感染者が急増し、再びロックダウンしなければならなくなる。経済を回すことを優先させるより、感染症対策の最前線にいる医療関係者と、経済的シャットダウンで打撃を受けている人たちをサポートするべきです。早すぎる経済活動の再開は、かえってダメージを大きくするだけです。
このパンデミックからの回復には、かなり長期間かかることを覚悟すべきです。個人レベルから、企業、地方政府のレベルに至るまで、経済的に大きな打撃を受けました。そうなると、先行きの不安から人々は貯蓄をしようと考えます。それが消費に影響してしまう。
景気回復のカーブはU字型でもV字型でもなく、スウッシュ型になるでしょう。ナイキのロゴマークのようなカーブです。最初は急降下でかなり下まで落ちます。それから徐々に回復に向かいます。その回復基調もスムーズではなく、2歩進んで1歩下がるというものかもしれません。
リンダ・グラットン 「ロックダウンで生まれた新しい働き方」
コロナ後の長寿社会を幸せに生きるため、個人の備えとして何ができるか。一般的には、不動産や株式などの有形資産が重視されがちです。ですが、長く働くために強みとなるのは無形資産です。無形資産には次の3種類あります。
@生産性資産
価値ある高度なスキル、自分のキャリアにとってプラスとなる人間関係、会社や組織に頼らない自分自身の評判。それらを得ることによって、社会から求められ続ける人材でいることができる。
A活力資産
百歳まで幸せに生きるためには、肉体的・精神的な健康が不可欠です。運動や食生活を大事にすると同時に、適切なストレスマネイジメントの実践が求められます。
B変身資産
長い人生を歩んでいく中で、ずっと同じ人間でいるわけにはいきません。勤務している会社が倒産するかもしれないし、時代も変化していきます。私たち自身も、年をとれば心身とも変化します。様々な変化についていける力を鍛えるためには、自分と向き合いつつ、自身と違う年代、性別、仕事、国籍の人たちと交わることで、将来こうなりたいというロールモデル(自分にとって、具体的な行動や考え方の模範となる人物)を得るきっかけが生まれるからです。